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  Lenox Avenue Breakdown　／　Arthur Blythe

  フリー系ながら1980年代にはＣＢＳなどのメジャーレーベルにも結構な作品を残したアーサー・ブライス。キャノンボールを思わせるような躯体から噴出されるアルトは実に力強く、明快で、そんなところがウケたのかもしれない。でもやはりどこをどう取ってもロフトの音で、そこが魅力なのであった。そのＣＢＳ作品群は残念ながらＣＤ化されておらず、現在聴けるのは権利が他所に移った数作くらいである。ＣＢＳ第２作目となった本作はメンバーに有名どころを揃えた豪華版。盟友ボブ・スチュアート（チューバ）ももちろん参加している。1.Down San Diego Way2.Lenox Avenue Breakdown3.Slidin' Throug4.OdessaArthur Blythe (as)James Newton (fl) Bob Stewart (tb) James Blood Ulmer (g) Cecil McBee (b)Jack DeJohnette (ds) Guilherme Franco (perc)

  Jun 2, 2008

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  Mingus at Carnegie Hall　／　 Charles Mingus

  ミンガス軍団による1974年1月のライブ。ミンガス親分は５２歳。亡くなる５年前だ。何といってもメンバーが凄い。当時のレギュラーグループの面子（アダムス、ブルーイット、プーレンそして重臣ダニー・リッチモンド）も濃いが、ゲストが更に濃い。中でもローランド・カークに注目である。本ＣＤに収録されているのはエリントンの「Ｃジャムブルース」とスタンダードの「パーディド」の２曲のみ。各人のソロがたっぷり聞けるが、特にカークである。「Ｃジャムブルース」ではアンサンブルの後、まずハンディが１５コーラスのソロを取る。次いでブルーイット９コーラス、アダムス１５コーラスと続き、いよいよカーク登場。まずはアダムスをそっくりに真似てみせる。アダムスの苦笑いが見えるようだ。アダムスの後はロリンズ、コルトレーン、イリノイ・ジャケー、デクスター・ゴードン、ベン・ウェブスターといった巨人達を真似ながらのオマージュを展開。ソロは２４コーラスに及ぶが、実に見事だ。カークは「パーディド」でもソロを取るが、こちらはブルーイットもなかなか良い。ミンガスはライブに傑作が多いが、私は本作が一番だと思う。1.C Jam Blues2.PerdidoThe Mingus Group:Charles Mingus (b)George Adams (ts)Hamiet Bluiett (brs)Don Pullen (p)Dannie Richmond (ds)guests:John Faddis (tp)John Handy (as,ts)Rahsaan Roland Kirk (ts,strich)Charles McPherson (as)

  May 26, 2008

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  Asian Games　／　Yosuke Yamashita + Bill Laswell

  1988年録音。正確にはYosuke Yamashita + Bill Laswell・Ryuichi Sakamotoとなる。ラズウェルと坂本龍一とはもっと以前から接点があり、当時のライブ・アンダー・ザ・スカイで共演する予定もあった（直前に坂本氏は不参加となった。体調不良だったように覚えている。他の共演者はシャノン・ジャクソン、サムルノリなどだったか）。ラズウェルと山下洋輔とは初対面だったろうが、この頃山下洋輔はラリー・コリエル、レスター・ボウイ、はたまた交響楽団などとの他流試合が多かったので、その延長線上ともとれる。一方ラズウェルはアンダーグラウンドながら世界中のミュージシャンとの無数のプロジェクトを立ち上げつつあり、ラズウェル側からしてもグローバル戦略の一環として違和感はない。といっても二人が一緒に演奏したわけではなく、それぞれの演奏をミックスして加工したもの。ラズウェルの録音を聞いて山下が即興したり、山下のソロにラズウェルがリズムを乗せたりというのを東京とＮＹでそれぞれ行ない、ラズウェルや坂本が仕上げたわけだ。坂本の参加は２・５の２曲のみで、この２曲に限りプロデュースも坂本。山下はまだシンセに堪能ではなかったので坂本がフォローしたようだ。こうして出来上がったのはいつものラズウェル流無国籍ダブとは異なり、やや隙間の多いアーティスティックな音空間。ラズウェルとの共演が多いピアニスト、ハービー・ハンコックとはまた違ったサウンドで楽しめる。1.Melting Pot2.Chasin' The Air3.Asian Games4.Ninja Drive5.Napping On The Banboo6.A Parade Of Rain, The Moon And A BrideYosuke Yamashita (p,syn)Bill Laswell (b,sitar,samples)Nicky Skopelitis (g)Aiyb Dieng (conga,perc,voice)Ryuichi Sakamoto (syn)

  Feb 13, 2008

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  Magic Touch　／　Stanley Jordan

  1980年代のブルーノート復活期に登場したギタリスト、スタンリー・ジョーダン（1959～　）を一躍有名にした３作目のアルバムで、プロデュースはアル・ディ・メオラ。初めて聴いた時には驚いた。私はギターの奏法は全然詳しくないが、それでも凄い演奏であることはわかる。特に１曲目、有名なEleanor Rigbyの一人二重奏（？）にはおったまげた。もちろんテクニックが凄いのだが、曲の流れが実にスムーズで、見事にまとまっている。私が好きなのは２曲目のFreddie Freeloader。ご存知マイルスの「カインド・オブ・ブルー」所収の曲だが、これをチャーネット・モフェットとピーター・アースキンの３人でアコースティックでやっている。オリジナルのムードを壊さずに彼なりの表現を試みており、なかなか良い。他にもモンクの３とか、ロッド・テンパートンの５だとか、ジミ・ヘンの６だとか、かなりバラエティに富んでいるので楽しめる。結構スタンダードにも取り組んでいて、それは本作以降の諸作でも顕著。アクの強さとか強烈なクセはないので、物足りなく感じる向きも多いかもしれないが、スマートに聴く分にはもってこいである。1.Eleanor Rigby2.Freddie Freeloader3.'Round Midnight 4.All the Children5.The Lady in My Life6.Angel7.Fundance8.New Love9.Return Expedition10.A Child Is BornStanley Jordan (g)Onaje Allan Gumbs (kb)Charnett Moffet, Wayne Brathwaite (b)Peter Erskine, Omar Hakim (ds)Sammy Figueroa, Bugsy Moore (perc)Al di Meola (cymbals)

  Feb 12, 2008

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  The Roland Kirk Quartet　／　Roland Kirk

  1965年の名作『Rip, Rig and Panic』（ライムライト原盤）と1967年の『Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith』（ヴァーヴ原盤）がカップリングされたお得盤。カーク（1935-1977）はリード３本（テナーサックス、マンツェロ、ストリッチ）を同時に吹くことで知られ、ゲテモノ扱いされることもあったり、盲目ゆえ多くの音を出すことに取り憑かれたなどと言われたりもしたが、パワフルかつ自由奔放な演奏は今でもとても楽しめるし、かえって現在のほうが受けるかもしれない（そう言えば、映画『オースティン・パワーズ』に使われていたような気がする）。循環呼吸の達人で１曲まるまる息継ぎなしで吹いたりする。『Rip, Rig and Panic』と『Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith』とではかなり趣が異なり、前者はハードなところもある先進的なジャズで、後者はリラックスしたひたすら楽しい演奏。従ってこのカップリングはなかなか効果的だ。『Rip, Rig and Panic』はドン・チェリーの娘ネーナ・チェリーが参加していたバンドの名にもなったっけ。メンバーでは『Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith』の方が面白い。リストン・スミスはなかなか相性がいいし、サン・ラ配下のボーイキンスもご機嫌。初めての方にもお勧めできるアルバム。「Rip, Rig and Panic Limelight」 全７曲Roland Kirk (ts,manzello,stritch,perc)Jaki Byard (p)Richard Davis (b)Elvin Jones (ds)「Now Please Don't You Cry, Beautiful Edith」全８曲Roland Kirk (ts,manzello,stritch,fl) Lonnie Liston Smith (p)Ronnie Boykins (b)Grady Tate (ds)

  Jan 31, 2008

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  Heavy Metal Be-Bop ／　The Brecker Brothers

  ランディ、マイケルのブレッカー兄弟。トップクラスのスタジオ・ミュージシャンであると同時にＢＳＴ、ラリー・コリエルのイレブンス・ハウス、ドリームス、ステップス・アヘッドなどのバンドの主要メンバーとして1970～1980年代に大活躍した。兄弟揃ってのユニット、ザ・ブレッカー・ブラザーズ名義でも１０枚超のアルバムを残しており、本作は代表作と言われる。ＮＹでのライブ盤。タイトルは「ヘビー・メタル」と付いているが、ロック色は薄く、どちらかというとヘビー・ファンクに近い。もちろんベースはフュージョンなので、アクの強さはなく、そこが好みの分かれるところ。トム・スコットの『アップル・ジュース』同様、ライブならではのノリが楽しい演奏だ。もともとテクニックは申し分なく、バリー・フィナティら共演メンバーも熱演。歴史に残る一作には違いない。そういえば、弟マイケルが亡くなってもう１年経ったのか・・・1.East River2.Inside Out3.Some Skunk Funk4.Sponge Brecker5.Funky Sea, Funky Dew6.SquidsThe Brecker Brothers：Randy Brecker (tp,kb)Michael Brecker (ts)Barry Finnerty (g)Neil Jason (b)+Allan Schwartzberg (ds)Sammy Figueroa, Kash Monet (perc)Paul Shaffer (kb) etc.

  Jan 30, 2008

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  Memphis Underground　／　Herbie Mann

  ハービー・マンはジャズ史においては軽視されがちなミュージシャンであるが、リーダー作は非常に多く1954年以来１００作近くにのぼる。中でも最もポピュラーな作品の一つがこの『メンフィス・アンダーグラウンド』(1969)であろう。「Hold On! I'm Comin'」が知られているが、やはりこの時期のメンバーに目（耳）が行く。ラリー・コリエルとソニー・シャーロックの２ギターである。ベースとなるものに共通点がなくはないが、それぞれ強烈な個性を持つ二人である。その二人がほとんど違和感なく演奏しているのが、今日からみると何とも面白い。その点ではベースのヴィトウスも同じだ。志向の違いから２年後にはこのグループを飛び出し、ウェザー・リポートの設立に参加する。曲はどれもノリがよく楽しいが、やはり「Hold On! I'm Comin'」である。メンフィス音楽界の大ボス、アイザック・ヘイズの作。マン～コリエル～エアーズ～と渡された、シャーロックのソロのまあ凄いこと。シャーロックは1994年にわずか54歳で亡くなってしまった。ソウル好きの方も楽しめる一作。1.Memphis Underground2.New Orleans3.Hold On! I'm Comin'4.Chain of Fools5.Battle Hymn of the RepublicHerbie Mann (fl)Larry Coryell, Sonny Sharrock (g)Miroslav Vitous (b)Roy Ayers (vib,conga)+Memphis Rhythm SectionBobby Wood (p,elp)Bobby Emmons (or)Reggie Young (g)Mike Leech, Tommy Cogbill (b)Gene Christman (ds)

  Jan 21, 2008

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  The Pied Piper　／　Chico Freeman

  シカゴ派テナー、チコ・フリーマン全盛期の頃のリーダー作。1984年録音。彼の全作品中でもベスト５には入れたい秀作である。長くロフト界で活躍してきたが、『ヤング・ライオンズ』などで注目され、そろそろメジャーレーベルにも録音しようか、という頃のもので、なかなか豪華なメンツが魅力。曲ではスタンダードの２や５より、何といってもラストの「Amor Sona Dor」である。ちょっぴりラテン風の憂愁を帯びたメロディも素晴らしいが、メンバーの演奏がこれまた凄い。見事なバックをつけるピアノのカークランドや、かつての親分マクビーの渋いベースも良いが、やはりエルビンである。本作では大技こそ見せないが、次々に繰り出す小技が冴え、またその一つ一つが見事に決まる。エルビン自身はこの時約６０歳。全盛期から２０年近く経ったが、まだこの後２０年も活躍したのである。あと忘れちゃいけない、かつての同僚パーセルも好サポート。1.The Pied Piper2.The Rose Tatoo3.Blues on the Bottom4.Monk20005.Softy, As in a Morning Sunrise6.Amor Sona Dor 音量にご注意くださいChico Freeman (ts,ss,as,bcl,fl)John Purcell (as,brs,fl,pic,ob)Kenny Kirkland ,Mark Thompson (p)Cecil McBee (b)Elvin Jones (ds)

  Dec 19, 2007

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  Album Album　／　Jack Dejohnette's Special Edition

  【ポストＷＲと呼ばれたバンド(5)・・スペシャル・エディション】ジャック・デジョネット率いるスペシャル・エディションもＷＲ同様1980年代を代表する有力バンドの一つであり、1984年の本作リリース時にはポストＷＲ最有力候補とした扱いを受けていた記憶がある。それは本作の４曲目「New Orleans Strut」のせい。思いっきりエレクトリックで固めたユートピア・サウンドはＷＲに酷似しており、路線転換か？とも思われた。しかし他の曲は従来の純ジャズであり、やはり突然変異だったのだろう。本作では１作目以来となるデビッド・マレイの復帰が話題となったが、次回作以降も若手・新鋭を加えつつ、ややフリー系の高度な音楽を展開。ＷＲ解散後は名実ともにトップ・グループとなったのだった。1.Ahmad the Terrible2.Monk's Mood3.Festival4.New Orleans Strut 音量にご注意ください5.Third World Anthem6.Zoot SuiteJack Dejohnette's Special Edition：John Purcell (as,ss)David Murray (ts)Howard Johnson (brs,tb)Rufus Reid (b)Jack Dejohnette (ds,kb)

  Dec 4, 2007

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  Heads Up　／　Stone Alliance

  【ポストＷＲと呼ばれたバンド(4)・・ストーン・アライアンス】ストーン・アライアンスは故ドン・アライアス（1939-2006）とベースのジーン・パーラによるユニット。結成初期はスティーブ・グロスマンが準レギュラーとして参加していたが、基本的にこの２名にその都度ゲストを加えて活動していた。ゲストではヤン・ハマーと相性がいい。このグループは1980年代をリードする素質ありと言われ、ポストＷＲの最有力候補とも呼ばれた。実際、この３作目の音はＷＲにかなり似ている。ドンはウェザーの『ブラック・マーケット』に参加しており、後年ジャコ・パストリアスのワード・オブ・マウスに加入することからもフュージョン観はかなり近かったのかもしれない。本作はなかなか出来が良かったと思うのだが、結果的に最後の作品となってしまい、以後はそれぞれ活動の場を異にしてしまう。しかし交流は続いていたようで、1990年代後半には新しいグループを検討していたらしい。しかし昨年ドンが66歳で急死してしまい、実現はしなかった。非常に残念である。1.Georgia O'音量にご注意ください2.Pedra da Lua3.Aunt Remus4.Tribute to Afreeka5.Uncle Jemima6.Kimmy and Donnie7.Trampoline8.Para los PapinesStone Alliance:Don Allias (ds,perc,g)Gene Perla (b,kb)+Bob Mintzer (ts,ss)Kenny Kirkland (kb)withRandy Brecker (flh)Michael Brecker (ts)David Liebman (ss)Bob Smith ,Jim Pugh (tr)Alan Rubin (cor)Jan Hammer (kb)Alex Acuna (ds)

  Nov 22, 2007

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  Modern Times 　／　 Steps Ahead

  【ポストＷＲと呼ばれたバンド(3)・・ステップス・アヘッド】このバンドが最もポストＷＲと呼べるのかもしれない。ヴィブラフォンのマイク・マイニエリが結成したグループで、最初はステップスと言っていた。テナーの故マイケル・ブレッカーがＷＲにおけるショーターと同じようなサブ・リーダー的存在。そして何と言っても歴代メンバーの中にピーター・アースキン、ヴィクター・ベイリーという二人のＷＲ経験者がいることが、ポストＷＲ的色彩を強くした。本作はステップス・アヘッドに改名後、２作目となるアルバムで1984年のリリース。キーボードはマイケルの義姉イリアーニ・エリアスからウォーレン・バーンハートに代わった。アースキンはダイエット（ひたすらサウナ通いをしたらしい）してＷＲ時代よりずっとスリムになって登場。ベースはエディ・ゴメスだ。ＷＲより軽めの音ではあるが、凝った構成、判りやすいメロディで楽しめる作品。エレクトリックな中にゴメスのアコースティック・ベースが光る。次作の「マグネティック」もなかなかよろしい。1.Safari2.Oops3.Self Portrait4.Modern Times5.Radioactive6.Now You Know7.Old Town Steps Ahead：Mike Mainieri (vib,syn)Mikchael Brecker (ts,ss)Warren Bernhardt (kb)Eddie Gomez (b)Peter Erskine (ds)

  Nov 21, 2007

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  Blown Away　／　Elements

  【ポストＷＲと呼ばれたバンド(2)・・エレメンツ】当時、ポストＷＲとしてこの「エレメンツ」の名前がよく出ていた。パット・メセニー・グループを脱退した、マーク・イーガンとダン・ゴットリーブが結成したグループで、彼ら自身ウェザー・リポート指向である旨の発言があった記憶がある。メンバーとしてはサックスにマイルス・バンド出身のビル・エバンスを迎え、キーボードにクリフ・カーター、ギターにジョー・カロを加えた５人編成で、エバンスは明らかにＷＲのウェイン・ショーターを範としており、ポストＷＲに相応しいバンドであった。ただ、テクニック的には何ら問題がない反面、意外性や力強さにやや乏しく、時代を背負って立つバンドにはなれなかった。1985年録音の２作目である本作もＢＧＭとしては最適だが、同年のＷＲ最終作「This Is This」やステップス・アヘッドの「Magnetic」には及ばないだろう。非常にキレイな音ではあるが。1.Waveland2.Swells3.Surf Blues and Greens4.Calypso Coast5.Blown Away6.Brazilian Waves7.Mango Pie8.Reef DanceElements：Bill Evans (ts,ss)Joe Caro (g) Cliff Carter (kb)Mark Egan (b,kb)Danny Gottlieb (ds,perc)

  Nov 20, 2007

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  Mahavishnu　／　Mahavishnu Orchestra

  【ポストＷＲと呼ばれたバンド(1)・・マハヴィシュヌ・オーケストラ】ウェザー・リポートが1970年代後半にピークを迎えた頃、ＷＲに次ぐバンド、ポストＷＲと呼ばれるバンドが続々と出現した。ギタリストのジョン・マクラフリン率いるマハヴィシュヌ・オーケストラはＷＲと同じマイルス門下生のバンドとしてＷＲとほぼ同時期に活動を開始しているので、ポストＷＲと呼ぶにはややベテランすぎるかもしれないが、本作の１曲目を聴くとまさにポストＷＲの音だし、実際に当時そういうコピーで売られていた記憶がある。1976年の「In Retrospect」以来８年ぶりのマハヴィシュヌ名義によるアルバムであり、1972年の「火の鳥」以来となるビリー・コブハムの復帰も話題だった。またミッチェル・フォアマンやヨナス・エルボーグ、ダン・ゴットリーブらメンバーも豪華で、当時マクラフリン夫人であったカティア・ラベックも参加している。私の好きな「黙示録」などの初期名作群に聴かれるような精神性は希薄となったが、その分ＷＲのサウンドに近づいたともいえる。全体の出来としてはまあまあと言ったところで、次回作に期待したのだが、本作限りとなってしまった。1.Radio-Activity 2.Nostalgia3.Nightriders4.East Side, West Side5.Clarendon Hills6.Jazz7.The Unbeliever8.Pacific Express9.When Blue Turns GoldMahavishnu Orchestra：John McLaughlin (g,syn)Bill Evans (ss,ts,fl)Mitchel Forman (p,kb)Katia Labèque (p,syn)Jonas Hellborg (b)Billy Bobham (ds,perc)Danny Gottlieb, Hariprasad Chaurasia, Zakir Hussain (perc)

  Nov 19, 2007

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  The Jack DeJohnette Piano Album 　／　 Jack DeJohnette

  ドラマーのデジョネットがピアノに専念した1985年のアルバム。作曲をするジャズ・ミュージシャンなら大抵ピアノは弾けるものだが、デジョネットはかなり上手いほうではないか。ピアノに専念した作品としては既に1973年の『Jackeyboard』があるが、その後も自己のバンドでは時折ピアノの腕前を披露しており、腕を上げた感じ。『Jackeyboard』ではマッコイ・タイナー風のアプローチが見られたが、今回はビル・エバンスやデニー・ザイトリン、ハービー・ハンコック的なタッチが聴かれる。もちろんマッコイ、エバンス、ハンコックとは共演歴があって影響を受けたのだろうが、知る限りではザイトリンとの共演はない(と思う)。しかし８の「Quiet Now」はザイトリンの曲だし、どこかで接点があったのだろう。ドラムはフレディ・ウエイツに任せ、ベースは相性のいいエディ・ゴメス。２・５・６でジャックはシンセも弾く。５はおなじみシンディ・ローパーの曲で、同時期にマイルス・デイビスも『You're Under Arrest』で採り上げていた。1.Minority 音量にご注意ください 2.Lydia3.Countdown 4.Spiral5.Time After Time6.Milton7.Ahmad the Terrible8.Quiet Now Jack Dejohnette (p,syn)Eddie Gomez (b)Freddie Waits (ds)

  Nov 15, 2007

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  This Is This　／　Weather Report

  ＷＲ結成１６年目にして遂に訪れた最終作。発表したアルバムは１６枚（「Live in Tokyo」含む）だから１年に１枚の割合でリリースしていたことになる。全作品を一つのレーベル（ＣＢＳコロムビア）から出せたというのもジャズ界では珍しい。本作は最初から最終作として制作されたので１６年の歴史を締めくくるのに相応しいゲストが招かれている。カルロス・サンタナである。ギタリストの参加は1971年「I Sing the Body Electric」のラルフ・タウナー以来だ。１曲目から弾きまくっており、いつもよりエキサイティングなＷＲが聴ける。やや平均的だが５もよろしい。リズム陣がフィーチャーされるのは７。しかし本作のドラムはコ・プロデューサーでもある旧メンバーのピーター・アースキンがメインなのである。ハキムの方が強力なのだが先輩に花を持たせたのだろう。そして何よりも素晴らしいのは３曲目の「I'll Never Forget You」である。賑やかな２が終わり、３が静かに始まる切り返しの見事さ。そして３はＷＲ全作曲中での１０指に入る感動の名曲である。ＷＲは決してファンを忘れない。ファンもまた・・というところか。この曲をアルバムのラストに持ってこなかったのは余りにも決まりすぎるからだろう。1.This Is This2.Face the Fire 3.I'll Never Forget You4.Jungle Stuff, Pt. 1 5.Man With the Copper Fingers6.Consequently7.Update 8.China BluesWEATHER REPORT：Joe Zawinul (kb,syn)Wayne Shorter (ts,ss)Victor Bailey (b)Peter Erskine, Omar Hakim (ds)Mino Cinelu (perc.vo)+Siedah Garrett, Marva Barnes, Colleen Coil, Darryl Phinnessee (vo)with Carlos Santana (g)

  Oct 26, 2007

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  Sportin' Life　／ Weather Report

  1985年にリリースされたＷＲの第１５作目。この頃は新作のインターバルも短く、２年連続で来日したり（両方とも観た）と新生ＷＲは完全に軌道に乗っていた。本作ではパーカッションがマイルス・バンド出身のミノ・シネルに交替。すでに1984年の来日時には交替しており、シネルがアコースティック・ギターで弾き語った「コンフィアンス」が感動的だった。それはグレードアップして本作に収められている。そしてボーカリストが増えたのも特徴。前作のカール・アンダーソンに加えディ・ディ・ベルソン、アルフィー・サイラス、そして当代きっての技巧派ボビー・マクファーリンが参加。４人でコーラスをつけている曲もある。４以外で一番良いのは５の「Pearl on the Half Shell」だろうか。ハキム～ベイリー～シネルが刻むリズムとマクファーリンのボーカルが見事。他の曲もなかなかの出来で私は好きだったし、このメンバーで次回作も作って欲しい・・と思っていたのだが、フュージョン全盛期は過ぎ去りつつあり、ＷＲの活動も次第に停滞していってしまったのでした。1.Corner Pocket Zawinul 5:43 2.Indiscretions Zawinul 4:03 3.Hot Cargo Zawinul 4:38 4.Confians Cinelu 5:03 5.Pearl on the Half Shell Shorter 4:04 6.What's Going On Benson, Cleveland, Gaye 6:26 7.The Face on the Barroom Floor Shorter 3:55 8.Ice-Pick Willy Zawinul WEATHER REPORT：Joe Zawinul (kb,syn)Wayne Shorter (ts,ss)Victor Bailey (b)Omar Hakim (ds)Mino Cinelu (perc,g,vo)Carl Anderson, Bobby McFerrin, Dee Dee Bellson, Alfie Silas (vo)

  Oct 25, 2007

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  Domino Theory ／ Weather Report

  ジャコ、アースキンの脱退でメンバーを一新したＷＲが「プロセッション」に続けて発表した1984年の作品｡本作の特微はなんと言ってもポーカリストの採用だ。前作「プロセッション」とその同年のプレイポーイ・ジャズ・フェスティバルのライブ盤（ＷＲは１曲のみ）においてマンハッタン・トランスファーと共演したが、正式なボーカリストの採用は初めて（過去の諸作にはメンバーやゲストがちょこっと歌った曲は存在する）。そのボーカリストはカール・アンダーソン（1945－2004）で、ロック・ミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」のユダ役で有名なシンガー。正式参加が決まった時にはちょっと驚いたが、結構グループの雰囲気にあっていて、１の「Can It Be Done」なんか実にいい。本作がリリースされた頃、新宿の厚生年金会館で来日ステージを観たが（この時、パーカッションはホセ・ロッシーからマイルスバンド出身のミノ・シネルに代わっていた）、「D Flat Waltz」や「Predator」は凝ったリズムに躍動感が溢れていて素晴らしかった。後期作品群の中では最もよくまとまっている好作品。1.Can It Be Done2.D Flat Waltz3.Peasant4.Predator 5.Blue Sound - Note 36.Swamp Cabbage 7.Domino Theory Weather Report：Joe Zawinul (kb,syn)Wayne Shorter (ts)Victor Bailey (b)Omar Hakim (ds)Jose Rossy (perc)Carl Anderson (vo)

  Oct 23, 2007

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  El Pampero　／　Gato Barbieri

  アルゼンチン出身のテナー奏者ガトー・バルビエリが1971年6月のモントルー・ジャズ・フェスティバルに出演した時のライブ盤。即席のメンバーながら白熱した演奏が繰り広げられている。今頃ガトーを聴く人もいないだろうが、1960年代後半から1970年代にかけて結構な人気を博したミュージシャンであった。ホームグラウンドはフリージャズであるが、その出身から南米の音が滲み出ており、哀感と激情を表現する独特のテナーはファンも多かった。このガトーが当時所属していたのが、名プロデューサー、ボブ・シールのフライング・ダッチマンであり、ラリー・コリエルなども所属して勢いのあったレーベルだった。1971年のモントルー・ジャズ・フェスティバルにおいては「フライング・ダッチマン・ナイト」というステージが設けられ、そこでの演奏が収められたものである。この時の正式なメンバーはピアノのロニー・リストン・スミスとパーカッションのナナ・ヴァスコンセロスだけ。しかしガトーの呼びかけに応じて、アレサ・フランクリンのバンドで来ていたバーナード・パーディとチャック・レイニー、レオン・トーマス・バンドのメンバーで来ていたソニー・モーガンが急遽参加。それぞれ相当疲労困ぱいだったはずだが、凄まじい熱気が迫ってくる。収録曲はトラディショナルが３曲、ガトーのオリジナルが１曲。ガトーのテナーは良くも悪くも個性が強く押しも強い。だがこういうライブではピッタリである。収録時刻は午前０時をまわっていたらしいが、聴衆の盛上がりも凄く、当時の人気のほどがうかがえる。1.El Pampero2.Mi Buenos Aires Querido 3.Brasil 音量にご注意ください4.El ArrieroGato Barbieri (ts)Lonnie Liston Smith (p)Chuck Rainey (b)Bernard "Pretty" Purdie (ds)Sonny Morgan (conga) Nana Vasconcelos (perc)

  Sep 27, 2007

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  Don't Ask 　／　 Sonny Rollins

  ロリンズのマイルストーン第８作。1979年5月の録音。前作はライブ盤だったのでスタジオ録音は「Easy Living」以来２年ぶり。今回の目玉はラリー・コリエルの参加だ。「Easy Living」は実にオーソドックスな作品だったが、今回はなかなかユニークに仕上げた。コリエルは１・６以外の全曲に参加しているが、かなり活躍の場を与えられており、２と４はロリンズとのデュオとなっている。特に２ではコリエルの鋭く素早いバックにロリンズが堂々と応じていてとても良い。極めてオーソドックスな７を除いてどの曲も個性的なのだが、最も変わっているのは３だろう。文字通りディスコ調の曲で、合間合間に静かなパートが入る珍品。ロリンズの作曲中で最も変な曲かもしれない。１もフュージョン調。幻想的な６ではロリンズはリリコンを吹いている。「ニュークス・タイム」とか「サキソフォン・コロッサス」がお好きな方には見向きもされないだろうが、なかなか面白いアルバムだ。＜amazon.com　で試聴可能＞1.Harlem Boys2.The File3.Disco Monk4.My Ideal5.Don't Ask6.Tai-Chi7.And Then My Love I Found YouSonny Rollins (ts, lyricon) Larry Coryell (g)Mark Soskin (p,elp,syn)Jerome Harris (b)Al Foster (ds)Bill Summers (perc)

  Sep 22, 2007

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  Easy Living 　／　 Sonny Rollins

  ロリンズのマイルストーン第６作となる1977年の作品。今回はメンバーをぐっと押さえ、シンプルにした。したがって顔合わせよりも曲の方に焦点が移る。ロリンズのオリジナルは２・４・６。１は言わずもがなのスティービー・ワンダーの名曲。奇をてらわずストレートに演奏する。２はなかなかノリのいいアップテンポのナンバーで、これはフュージョンではなく完全にメインストリームのジャズ。ジョージ・デュークの長めのソロも良い。ご存知スタンダードの３ではロリンズはソプラノにチェンジ。４もソプラノだがこちらは明るいフュージョン。そしてこれもお馴染みアルバムタイトルのイージー・リビング。冒頭のソロから聴かせる。やはりロリンズのフレーズは素晴らしい。マイルストーンの作品中でもかなりの出来だと思う。そしてアップテンポの６でシメ。目新しさはないが、じっくり聴ける好盤である。1.Isn't She Lovely2.Down the Line3.My One and Only Love4.Arroz con Pollo5.Easy Living6.Hear What I'm SayingSonny Rollins (ts,ss) Charles Icarus Johnson (g)George Duke (kb) Paul Jackson, Byron Miller (b)Tony Williams (ds)Bill Summers (conga)

  Sep 20, 2007

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  The Way I Feel　／　Sonny Rollins

  ロリンズのマイルストーン第５作で1976年の録音。前作「Nucleus」は多彩なメンバーが目を惹いたが、本作ではホーンセクションの採用とリー・リトナーの参加が特徴だろうか。曲はロリンズ作が４曲、キーボードのパトリース・ラシュエン作が１曲。残る2曲は今回参加はしていないがジョージ・デュークの手によるものである（３はフローラ・プリムとの共作）。ロリンズの曲はハッピーなものが多く、ジョージの２曲はどちらかというと静かに聴かせる。ブラジル色豊かな３は特に素晴らしい。そしてラシュエン作の５は非常にパンチの効いた曲で、ロリンズのテナーとそれに絡むホーン・セクションが秀逸。こうして聴いてみるとリトナーが意外と目立っていないのに気付く。ジョージの２曲でのバックの付け方などはサスガだが、ちょっと物足りないか。コブハムは相変わらず。やはり朗々と響くロリンズのテナーが一番なのでありました。1.Island Lady2.Asfrantation Woogie3.Love Reborn4.Happy Feel5.Shout It Out6.The Way I Feel About You7.Charm BabySonny Rollins (ts)Lee Ritenour (g)Patrice Rushen (syn,kb,p,clavinet)Alex Blake, Charles Meeks (b)Billy Cobham (ds)Bill Summers (perc)+Oscar Brashear, Chuck Findley, Gene Coe (tp)Alan Robinson, Marilyn Robinson (frh)George Bohannon, Lew McCreary (tr)Donald Waldrop (tb) Bill Green (fi,piccolo,ss)

  Sep 19, 2007

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  Nucleus ／ Sonny Rollins

  マイルストーンのミュージシャンといえばまずはマッコイ・タイナー。私自身がマッコイ・ファンであり、マイルストーン作品についてはほとんど採り上げてきた。他にはジョー・ヘンダーソンやロン・カーターなどもいるのだが、やはりロリンズを忘れるわけにはいかない。ＢＮ時代やコンテンポラリーの諸作に比べ、ロリンズのマイルトーン時代の評価は芳しくない。ちょうどフュージョン全盛期であり、多少なりとも迎合しなくてはやっていけなかったという事情もある。よく言われることだがマイルスに比べてロリンズのフュージョンは中途半端であり、そのためフュージョン・ファンと純ジャズ・ファンの両方から省みられないのかもしれない。しかし今改めて聴きなおすと、その中途半端さが実にユニークで面白い。そして音は間違いなく1970年代の音であり、もうちょっと評価されてもいいのではないかと思う。本作は1975年のマイルストーン第４作。バグパイプを加えた珍品にして名盤『カッティング・エッジ』の次にあたる。何といってもメンバーがユニーク。南米出身のラウル・デ・スーザとデビッド・アマロ、フランク・ザッパとの共演が長いジョージ・デューク、ハンコックのヘッドハンターズからベニー・マウピンとブラックバード・マックナイト、ソウル畑と言ってもいい？チャック・レイニー、ジミー・ヒースの息子でマイルス・バンド出身のムトゥーメなどなど。この中ではその後Ｐファンクに深く関わっていくブラックバードが珍しいか。曲は５・７を除きロリンズのオリジナル。４と６はオーソドックなジャズ調で、特に４はマイルストーンというよりはミューズ・レーベルのようで面白い。５はムトゥーメの作で７は元ネタがドビュッシーである。ロリンズのテナーはかなりワイルドながら、４・６・７などでのソロはサスガの見事さ。まずまずお勧め。1.Lucille2.Gwaligo3.Are You Ready?4.Azalea5.Newkleus6.Cosmet7.My ReverieSonny Rollins (ts)Raul de Souza (tr)Bennie Maupin (ts,bcl,lyricon)David Amaro ,Dewayne Blackbird McKnight (g)George Duke (p,elp,syn)Bob Cranshaw ,Chuck Rainey (b)Eddie Moore ,Roy McCurdy (ds)Mtume (conga,perc)

  Sep 18, 2007

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  ザビヌル死す。

  首相の辞任には驚いたが、もう一つ驚いたのがジョー・ザビヌルが11日に亡くなったという新聞記事。７５歳だった。ザビヌルと言えばオーストリア出身で、メイナード・ファガーソンのバンドを皮切りにダイナ・ワシントン～キャノンボール・アダレイのもとでキャリアを積み、マイルス・バンドに加入。そして1970年にウェイン・ショーター、ミロスラフ・ヴィトウスと共にウェザー・リポートを立ち上げてフュージョン全盛期の一翼を担ったキーボーディストだ。ウェザー解散後は自己のバンド、ザビヌル・シンジケートを結成し、10枚あまりのアルバムを発表したが、ほとんどがウェザーの延長とも言えるような音楽、ハッピーな多国籍ユートピア・サウンドと呼べるような作品だった。それらは決して悪くはなかったのだが、ややもすると飽きてしまうのもまた事実であった。私としては、初期の作品、マイルス・バンドなら『In A Silent Way』、自己リーダー作ならアトランティックの『Zawinul』がベストだと思う。そしてウェザーでは・・・どれも名作で、優劣は付けがたい。初期は牧歌的・神秘的な曲が多かったが、当人はリズミカルなビートの利いた曲が好きだったようで、ウェザー時代にはそれが遺憾なく発揮された。来日時にオマー・ハキムのドラムとインタープレイを行い、意表をついたリズムの応酬でハキムを「いじめ」て楽しんでいたのを思い出す。亡くなったのはウィーンの病院だと言う。故郷に帰っていたんですね。合掌。【ＷＲ以外のザビヌル名盤】In A Silent Way (1969) マイルス時代ならこれか。言わずと知れた名盤で、マイルスの音楽史上でも極めて重要な作品。Zawinul (1970)ショーター、ヴィトウスの他、ハービー・ハンコック、ウディ・ショウらが大挙参加。（以前の記事参照）My People (1992)シンジケート時代ならこれか。世界各国のミュージシャンが参加したまさにワールド・ワイドな作品。尊敬するピアニスト＝バンドリーダーであるデューク・エリントンの生前の声がミックスされていたりする。

  Sep 12, 2007

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  at The Lighthouse 　／　 Joe Henderson

  マイルストーン所属のサックス奏者と言えば何と言ってもロリンズだが、故ジョー・ヘンダーソン(1937-2001)も１２枚のアルバムを残している。ドン・フリードマンと組んだ『Tetragon』やハンコック、カーターを迎えた『Power to the People』もいいし、アリス・コルトレーンとの共演『Elements』やジェームズ・ブラッド・ウルマーを従えた『Multiple』のような意欲的な作品もある。しかしやはりヘンダーソンの本領が発揮されるのはオーソドックスな編成においてであって、この『at The Lighthouse』も捨てがたい。西海岸の有名なジャズ・カフェであるライトハウスでのライブであり、フロントには相性のいいウディ・ショウを迎えた。エレピはジョージ・ケイブルス。エレピを弾かせたらこの人の右に出る人はいないだろう。リズム陣も豪華だ。曲はブルーノート時代のレパートリー中心だが、そこがいいのだ。『Page One』から２曲、超超名盤『Mode for Joe』から３曲も採り上げている。その「Mode for Joe」はケイブルスのエレピでスタートし、レニー・ホワイトが細かくリズムを刻み始め、ジョーが一気にスタートする。なかなか面白い。そして本作のためのオリジナルでアルバムのサブタイトルでもある「If You're Not Part of the Solution, You're Part of the Problem 」はまるで映画『ダーティー・ハリー』のテーマのようなリズムに乗ってビビッドな演奏が繰り広げられる。まさしく1970年の音だ。1.Caribbean Fire Dance 2.Recorda-Me 3.A Shade of Jade 4.Isotope 5.'Round Midnight 6.Mode for Joe 7.Invitation 8.If You're Not Part of the Solution , You're Part of the Problem 9.Blue Bossa 10.Closing Theme Joe Henderson (ts)Woody Shaw (tp,flh)George Cables (elp)Ron McClure (b,elb)Lenny White (ds)Tony Waters (conga)

  Sep 6, 2007

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  Open Your Eyes, You Can Fly　／　Flora Purim

  女性ヴォーカリストのフローラ・プリムも1970年代にマイルストーン・レーベルで活躍した。アルバムは７枚。どれも素晴らしいのだが、あえて一つとなるとこの作品。１曲目からして力強い。テーマは「自由」である。何で自由かというと、録音時、フローラは刑務所を出所したばかりだったのだ。罪状は麻薬所持で刑期は３年だったが、１年半で仮釈放された。そのため自由を噛みしめたというが、これは身から出た錆というもの。とはいえ、音楽は素晴らしい。メンバーも豪華で、夫君のアイアートはじめヘルメート・パスコアール、エグベルト・ジスモンティなどのブラジル勢にロン・カーター、ジョージ・デュークなどのアメリカ勢が程よくマッチしている。曲は１～３がＲＴＦで一緒だったチック・コリアの作で、５・７・８はパスコアールの手になる（一部共作）。一番好きなのは８だが、夫婦共作の４も捨てがたい。フュージョン系ヴォーカル作品としては最高峰といえる一枚である。1.Open Your Eyes, You Can Fly 音量にご注意ください2.Time's Lie 音量にご注意ください3.Sometime Ago4.San Francisco River5.Andei (I Walked)6.Ina's Song (Trip to Bahia) 7.Conversation8.White Wing/Blank WingFlora Purim (vo,g,perc)David Amaro (g,vo)Egberto Gismonti (g)George Duke (kb,syn)Ron Carter ,Alphonso Johnson (b)Ndugu Leon Chancler (ds)Airto Moreira (ds,conga,perc,vo)Laudir DeOliveira (conga,perc)Hermeto Pascoal (vo)

  Sep 5, 2007

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  Pastels　／　Ron Carter

  ジャズ・レーベルというとまずはブルーノートであり、プレステッジ、リバーサイドとなる。私が好きなメジャー系レーベルはマイルストーン。リバーサイドの名プロデューサーだったオリン・キープニューズによるレーベルだが、最盛期が1970年代前半であり、フュージョン全盛の頃だったので、意外に目立たない存在。しかし私にとっては贔屓ミュージシャンが多く在籍していた魅力あるレーベルである。マイルストーンレーベルのミュージシャンと言えばまずはマッコイ・タイナーとソニー・ロリンズ。マッコイについては本欄でマイルストーン作品のほぼ全作を採り上げたし、ロリンズについては別の機会に譲るとして、その他のミュージシャンである。ジョー・ヘンダーソン、フローラ・プリムあたりが有名だが、ロン・カーターも忘れられない。ＴＶＣＭに出たこともあって日本では1980年代後半にやたら人気の出たロン・カーターだが、やはり彼らしさはこのマイルストーン時代にあったように思う。ロンのマイルストーン作品は９作ある。本作は移籍１作目であり、カーター自身のソロをオーバーダブしているほか総勢１５名からなるストリングス（ヴァイオリン９名・ビオラ３名・チェロ３名）を加えているのが特徴。メンバーから想像がつくが、曲は明るくユーモラスなものが半分（１・３・５）、残りはカーターのベースがフル稼働する美しいバラードである。１ではギターのマクラッケンがハーモニカも吹く。バラードでは４の方が感動的か。５は１２小節を２度繰り返す、そのまんまの題名だが面白い曲で、この後しばしば再演された。マッコイ同様、この後ロンも様々なフォーマットを試していく。1.Woolaphant 音量にご注意ください2.Ballad3.One Bass Rag4.Pastels5.12+12Ron Carter (b)Kenny Barron (p)Hugh McCracken (g,harmonica)Harvey Mason (ds)+Strings

  Sep 4, 2007

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  Weather Report (1982) ／　Weather Report

  ＷＲの1982年の作品。デビューアルバムと同じタイトルなので「（1982）」を付けられることが多い。メンバーは前作と同じでザビヌル～ショーター～ジャコ～アースキンの４人にパーカッションのボビー・トーマスを加えた５人編成。メンバーチェンジがなかったので、非常に安定した印象を受ける。ジャズ＝フュージョンのリーディング・グループだけあって、集団表現としての完成度は非常に高い。しかし逆に面白みに欠けるのも事実である。ザビヌルは非常に厳しい完璧主義者で、気に入った音になるまで平気でメンバーを缶詰にしたらしい。だから作品は完璧でも各メンバーの魅力という点ではちょっと厳しいように思えるのだ。実際、ジャコはこの状況に耐え切れず、本作録音後アースキンを伴ってＷＲを退団してしまう。曲の方はサスガに出来は良い。前作あたりからオーソドックスな４ビートに回帰する傾向が見られたが、本作では組曲形式の３にそれがよく現れている。まあ、その傾向はＷＲだけでなく、ほとんどのジャズ系フュージョンに見られたことではあるが。個人的には２あたりも好き。ジャコ～アースキンに抜けられたＷＲは（ボビー・トーマスも本作限り）若手３人を登用。そして発表したのが『プロセッション』である。1.Volcano for Hire2.Current Affairs3.N.Y.C.4.Dara Factor One5.When It Was Now6.Speechless7.Dara Factor Two Weather Report：Joe Zawinul (kb,syn) Wayne Shorter (ts) Jaco Pastorius (b) Peter Erskine (ds) Robert Thomas Jr. (perc)

  Aug 31, 2007

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  Black Bone　／　Craig Harris

  サン・ラやダラー・ブランドなどとの共演が多かったトロンボーン奏者、クレイグ・ハリスのリーダー作。1982年の「Young Lions」あたりから注目され、1983年のロフトジャズのレーベル「インディアナヴィゲーション」から初リーダー作「Aboriginal Affairs」を発表。そして同年イタリアのソウルノートから出した第二弾が本作である。タイトルからも分かるとおり、自らのルーツであるブラック・アフリカをイメージして創り上げられた作品。１は割と穏やかな曲でハリスもジョージ・アダムスもまずは小手調べといった感じ。緩急自在のテンポが素晴らしい。２はもちろんエド・ブラックウェルに捧げられた曲で、ここではチャーリー・パーシップが活躍する。パーシップはどちらかといえばオーソドックスなドラマーだが、この曲では手の込んだポリリズムを見事にこなし、ベテランの意地を見せた。３はワルツ調のリズムが面白いが、作曲に当たってはジミ・ヘンドリックスが念頭にあったそうだ。４の曲名はハリスの生年月日。５のConjure Manとはアフリカの先住民族のことらしく、冒頭に全員が雄叫びをあげるシーンがある。思い切り低音を響かせるハリスのトロンボーンと、それに続くアダムスのソロが素晴らしい。1.Homeland 音量にご注意ください2.Blackwell3.Song for Psychedelic Souls4.September 10, 19535.Conjure Man 音量にご注意くださいCraig Harris (tr)George Adams (ts)Donald Smith (p)Fred Hopkins (b)Charlie Persip (ds)

  Aug 20, 2007

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  Night Passage　／　Weather Report

  ＷＲの1970年代最後の作品で、ジャコ～アースキンがリズムを担う中期作品群の一つ。本作からボビー（ロバート）・トーマスがパーカッションで参加し５人体制となる。曲は結構バラエティに富んでいる。従来型の演奏だがエネルギッシュさ迸る３などを含む旧ＬＰのＡ面（１～４）もいいが、何といっても旧Ｂ面（５～８）の４曲である。５はエリントン・ナンバーとしておなじみ。当時はちょっとしたエリントン見直しブームで、ＷＲに限らずダラー・ブランドやサン・ラなどの個性派ミュージシャンまでトリビュート作品やエリントンの曲を演奏していた。ＷＲのこの曲はかなり異色ではあるが、どこかノスタルジックなところもあって面白い。ジャコ作の７は後にジャコが自身のリーダー作でも繰り返し演奏していた名曲中の名曲。そして６である。アレンジされた集団演奏を身上としていたフュージョンにもそろそろ陰りが見え始め、ジャズは個人プレイ重視へと方向転換を始める。この「ファスト・シティ」なんかその典型で、こうなると俄然力を発揮するのがショーターである。この曲は1983年にＷＲがライブ・アンダー・ザ・スカイで来日した時にも演奏していたが、ショーターがとにかく凄かった。「コルトレーンを超えた」との声もあったほど。あまり目立たないが、意外な名作である。1.Night Passage2.Dream Clock3.Port of Entry4.Forlorn5.Rockin' in Rhythm6.Fast City7.Three Views of a Secret8.MadagascarWeather Report：Joe Zawinul (kb,syn)Wayne Shorter (ts,ss)Jaco Pastorius (b)Peter Erskine (ds) Robert Thomas (hand-ds)

  Aug 8, 2007

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  September Ballads　／　Mark Murphy

  マーク・マーフィーの1980年代の作品だったらこれか。マーフィーのヴォーカルは秋の夜長に聴くのが最適で、本作のタイトルも２ヶ月ばかり早いが、落ち着いたバラッドが集められている。今回もメンバーが豪華。アート・ファーマーとラリー・コリエルの２大ゲストがしっかりと秋のムードを盛り上げる。そしてマーフィーのヴォーカルは軽く聴こえながらも、ちゃんとしたジャズ・ヴォーカルであり、しかもセンスが良い。曲の方も面白く、１はパット・メセニー＆ライル・メイズのコンビの作だし、２はマイケル・フランクス、６はチック・コリアのオリジナルだ。ゲイリー・マクファーランドの５や当時のランディ・ブレッカー夫人、ピアニストのイリアーニ・エライアスの９もなかなかよろしい。「Mark Murphy Sings」ほどお勧めできる作品ではないが、じっくり聴き込むことのできるアルバムである。1.September Fifteenth2.When She Is Mine3.When This Love Affair Is Over 4.Night Life 5.Sack Full of Dreams6.Crystal Silence7.I Never Went Away8.Sausalito9.Para Nada10.Spring Is Where You AreMark Murphy (vo)withArt Farmer (flh)Larry Coryell (g)Larry Dunlap (p)Bob Mocarsky (syn)David Belove, Jeff Carney, Scott Steed (b)Vince Lateano (ds)John Santos (perc)Donald Bailey (harmonica)Oscar Castro-Neves (g)

  Jul 26, 2007

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  Mark Murphy Sings

  マーク・マーフィーの1960年代の代表作がリバーサイドの「ＲＡＨ」とすれば1970年代を代表するのがミューズの本作。全キャリアを通しても屈指の名盤で、この人から何か一枚と言われれば、私は迷うことなく本作を挙げる。本作もメンバーが超豪華。アレンジを担当したのがデビッド・マシューズなので曲にはフュージョンぽい部分もあるが、彼のヴォーカルはジャズそのもの。４のようなポップな曲でもそれは変わらない。選曲もユニークであり、１はフレディ・ハバードの同名アルバムのタイトル曲。とにかくカッコいい。２はおなじみコルトレーンの曲であり、６と８はハンコックの名作だ。ミルトン・ナシメントの５やスタンダードの３も良い。隠れた名盤である。1.On the Red Clay2.Naima3.Body and Soul4.Young & Foolish5.Empty Faces6.Maiden Voyage7.How Are You Dreaming?8.Cantaloupe IslandMark Murphy (vo)withRandy Brecker (tp)Michael Brecker (ts)David Sanborn (as)Joe Puma (g)Don Grolnick (p,kb,or)Harvie Swartz (b)Jimmy Madison (ds)Sue Evans (perc)

  Jul 25, 2007

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  Rah!　／　Mark Murphy

  マーク・マーフィーは私の好きなジャズ・ヴォーカリストの一人。男声ヴォーカルではジョー・リー・ウィルソンなども好きなのだが、少々クセがあって重い。といってメル・トーメなどでは軽すぎるし、私にとっては黒人ならジョニー・ハートマン、白人ならマーク・マーフィーがちょうどいいのだ。マークは当年とって７５歳。それにしては若く見えるがデビューから軽く半世紀は経っている大ベテランである。それにしてはヒット曲やベストセラーというものに縁がないのだが、これは本人のポリシーによるものでもあり、そんなところも好きなのだ。そのマークの1960年代の代表作と言えるのが本作。参加ミュージシャンも豪華だが、曲もヴァラエティに富んでいる。「Angel Eyes」や「On Green Dolphin Street」「My Favorite Things」といったスタンダードに混じってホレス・シルバーの「Doodlin'」やマイルスの「Milestones」が。特にスキャットを多用した「Milestones」が小気味良い。時々聴きたくなる名盤である。1.Angel Eyes2.On Green Dolphin Street3.Stoppin' the Clock4.Spring Can Really Hang You up the Most5.No Tears for Me6.Out of This World7.Milestones8.My Favorite Things9.Doodlin'10.Li'l Darlin'11.Twisted Mark Murphy (vo)withBlue Mitchell, Ernie Royal, Clark Terry, Joe Wilder (tp)Urbie Green, Jimmy Cleveland, Melba Liston (tr)Sam Herman, Barry Galbraith (g)Bill Evans, Wynton Kelly (p)George Duvivier, Art Davis (b)Jimmy Cobb (ds)Ray Barretto (conga) etc.

  Jul 24, 2007

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  ８：３０　／　Weather Report

  1979年の1月から2月にかけて録音されたＷＲ第１０作。当時はＬＰ２枚組で、Ａ～Ｃ面（1～8）がライブ、Ｄ面（9～12）がスタジオ録音だった。ザビヌル～ショーター～ジャコ～アースキンのメンバーが固定した絶頂期のライブが何と言っても凄い。どれもお馴染みの曲ばかりで、特にＷＲを初めて聴く方にお勧めできる内容。２や３はオリジナルアルバムよりも素晴らしい。そして忘れられないのがショーターがフィーチャーされるスタンダードの７。必聴である。リーダーのザビヌルは完璧主義者ゆえスタジオ録音中はメンバーを完全に拘束しコントロールしていたようだ。それだけにライブの時のメンバーの解放感・はじけっぷりは凄まじい。ショーターもジャコもライブの時の方がいい。ライブの影に隠れがちだがスタジオ録音の４曲も大変良い出来で、特に１０の何気ない盛り上がりが素敵だ。1.Black Market2.Teen Town 3.A Remark You Made4.Slang5.In a Silent Way6.Birdland 7.Thanks for the Memory8.Medley: Badia/Boogie Woogie Waltz 9.8:30 10.Brown Street 11.The Orphan12.Sightseeing Weather Report：Joe Zawinul (syn,kb,b,vo,vocoder)Wayne Shorter (ts,ss)Jaco Pastorius (b,ds)Peter Erskine (ds,perc)+Erich Zawinul (perc)West Los Angeles Children's Choir (chorus)

  Jul 19, 2007

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  Mr.Gone　／　Weather Report

  ＷＲ全作中でもかなり評価の低い方に入るだろう。「Black Market」「Heavy Weather」と名作を立て続けに発表した後、アレックス・アクーニャの後任のドラムが決まらなかった過渡期の作品。そのためアルバムとしての統一感は薄いが、色々なものをごちゃ混ぜにしたような賑やかさがあって、私は結構好きな作品である。ドラムではまずスティーブ・ガッドが３、８を担当。トニー・ウィリアムスが５と６、そして晴れてレギュラーとなったピーター・アースキンが１、３、７に参加している。２、４はザビヌル、ショーター、ジャコの三人だけで演奏。１は前２作の流れを引き継ぐような曲で、前作のメンバーだったバドレーナが吼える。続く２は次作「８：３０」の「ブラウン・ストリート」につながるような曲。６は勿論パンク・ジャズではないが、作曲者ジャコのベースが素晴らしい。そしてザビヌル作８はデニス・ウィリアムスとＥＷＦのモーリス・ホワイトのヴォーカルが入る、相変わらず素晴らしいラストナンバー。もうちょっと評価されてもいい作品である。1.The Pursuit Of The Woman With The Feathered Hat 2.River People 3.Young And Fine4.The Elders5.Mr. Gone6.Punk Jazz 7.Pinocchio8.And Then Weather Report：Joe Zawinul (syn,p,kb,ds,vo,melodica, kalimba, b)Wayne Shorter (ss,ts,vo)Jaco Pastorius (b,ds,timbales,vo)Tony Williams, Steve Gadd, Peter Erskine (ds)Manolo Badrena (perc,vo)+Maurice White ,Deniece Williams, Jon Lucien (vo)

  Jul 18, 2007

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  Heavy Weather　／　Weather Report

  ＷＲの８作目のアルバムとなる1977年の作品。彼らの代表作とされる。ジャコを加え、メンバーが安定した絶頂期の本作は名曲が目白押し。「バードランド｣「お前のしるし」「十代の街」という後にライブ定番となる３曲を頭に持ってきたのも唸るが、旧ＬＰでＢ面だった５～８も聴き逃せない。私はどちらかというと後者の方が好きだ（「お前のしるし」と「十代の街」はライブアルバム『８：３０』の方が凄い）。マノロ・バドレーナとアレックス・アクーニャによる短いパーカッションアンサンブルである５と間髪を入れずに続く６のダイナミックさ。そして恒例のラスト名曲である８。「バードランド｣等の影に隠れがちだが、なかなか侮れない曲たちである。1.Birdland2.A Remark You Made 3.Teen Town4.Harlequin5.Rumba Mamá6.Palladíum7.The Juggler8.Havona Weather Report：Joe Zawinul (syn,kb,p,g,b,ds,vo,mellophonium, tabla) Wayne Shorter (ss,ts)Jaco Pastorius (b,mandolin, ds,vo)Alex Acuña (ds,perc, handclap) Manolo Badrena (perc, conga, tambourine, timbales, vo)

  Jul 17, 2007

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  Black Market　／　Weather Report

  ジャコ・パストリアス登場。前作「Tale Spinnin'」はなかなか良いアルバムであったが、録音終了後にまたメンバー変更が発生。ドラムがチェスター・トンプソン、パーカッションがアレックス・アクーニャに替わる。そして本作録音中にベースも交替。アルフォンス・ジョンソンが抜け、新鋭ジャコ・パストリアスが参加する。曲ごとに新旧メンバーが入り乱れ、アディショナルメンバーもいたりするので、過渡期的な印象はあるものの、中身は充実。特筆すべきは楽曲の素晴らしさである。何といっても表題曲の１が有名だが、ショーター作の４「優雅な人々」も劣らない。凝った構成とショーターのソロが素晴らしく、私は１よりもこちらの方がいい。パストリアス作の６は曲自体は平凡だがベースワークはやはり非凡。ジャコは次作以降大活躍することになる。そして私のベストトラックはジョンソン作の７。ＷＲのアルバムは最終曲に佳曲が多く、これもその一つ。なお２の「Cannon Ball」はもちろんザビヌルのかつてのボスで前年に亡くなった Cannonball Adderleyの思い出である。1.Black Market2.Cannon Ball3.Gibraltar4.Elegant People5.Three Clowns6.Barbary Coast7.Herandnu Weather Report：Joe Zawinul (syn,kb,p )Wayne Shorter (ts,ss)Alphonso Johnson, Jaco Pastorius (b)Chester Thompson, Narada Michael Walden (ds)Alejandro Neciosup Acuña, Don Alias (conga,perc)

  Jul 13, 2007

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  Tale Spinnin'　／　Weather Report

  ＷＲの６作目となる1975年の作品。邦題「幻祭夜話」。前作「Mysterious Traveller」と続けて聞くと違いが明らか。宇宙的・神秘的な楽曲が減少し、非常に明るい雰囲気になったのだ。この作品からＷＲの活動は中期となる。メンバーでは４年間在籍したドン・ウン・ロマン(perc)が抜け、前作から参加したイシュマエル・ウィルバーン(ds)も退団した。代わりに参加したのがアリリオ・リマ(perc)とレオン"ンドゥグ"チャンクラー(ds)。チャンクラーは「千手観音」と呼ばれたほど手数が多く、また正確無比。ドラムは強化された感が強い。もっとも両名とも本作のみでまた退団してしまう。曲はどれも明るく、リズムは強力。ザビヌル作の４曲、特に４が有名となったが、私が好きなのはショーター作の残り２曲２・５で、特に５「凍りついた炎」がいい。のちに未発表演奏曲集にライブ演奏版が収録されていた。チャンクラーが凄い。本作で勢いをつけたＷＲ一行はいよいよ全盛期へと突入。次作が「Black Market」となる。1.Man in the Green Shirt2.Lusitanos3.Between the Thighs4.Badia5.Freezing Fire6.Five Short StoriesWeather Report：Joe Zawinul (p,kb,mellophonium)Wayne Shorter (ts,ss,syn,kb) Alphonso Johnson (b)Leon "Ndugu" Chancler (ds)Alyrio Lima (perc)

  Jul 12, 2007

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  Mysterious Traveller　／　Weather Report

  名作「Sweetnighter」の次となる通算５作目。初期作品群のトリを飾る。1974年リリース。注目されるのは何と言ってもヴィトウスの退団である。神秘趣味に拘るヴィトウスとより明快なリズム路線を指向するザビヌル～ショーターとの間でバランスが崩れ、ヴィトウスが身を引いてしまった。２曲目「American Tango」が最後の楽曲となる。ヴィトウスはその後ソロとなり「Miroslav」「Magical Shepherd」「Majesty Music」といったアルバムを発表したが、結局リズム重視路線を取らざるを得なかったのが皮肉だった。ヴィトウスの後任はアルフォンス・ジョンソン。ドラムも交替し、ショーターの従兄弟イシュマエル・ウィルバーンが務めた。曲ではやはり３の「Cucumber Slumber」である。単純なリズムが延々と続くが、その中で繰り広げられるショーターのソロ、ザビヌルのバック、そしてロマンのパーカッションが素晴らしい。後にビル・ラズウェルが採り上げるが、一部にこのマスター音源をそのまま使っていた。アルバムタイトルに相応しいのは最終曲の７。まるで桃源郷を思わせるような音世界だ。1.Nubian Sundance2.American Tango 3.Cucumber Slumber4.Mysterious Traveller5.Blackthorn Rose6.Scarlet Woman7.Jungle BookWeather Report：Joe Zawinul (kb,p,syn,or,perc,g) Wayne Shorter (ts,ss,p)Miroslav Vitous , Alphonso Johnson (b)Ishmael Wilburn (ds) Dom Um Romão (perc,ds)+Ray Barretto (perc) Skip Hadden (ds) Isacoff (tabla,cymbals) Don Ashworth (ocarina, woodwind) Billie Barnum, Marti McCall, Jessica Smith, Edna Wright (vo)

  Jul 11, 2007

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  I Sing the Body Electric　／　Weather Report

  ＷＲの２作目。1971年のスタジオ録音と1972年来日時の東京公演ライブ録音が半々という変則的な構成。東京公演ライブは一部編集されている。このライブは後に「Live In Tokyo」として日本限定で２枚組ＬＰが発売された。メンバーでは前作からドラムとパーカッションを一新、エリック・グラヴァットとドン・ウン・ロマンが加わった。両名とも手数は前任に引けを取らないし、ロマンにはアイアートに少ない神秘性も感じられてメンバーチェンジはまず成功と言えた。そして加えて本作の特徴は多彩なゲスト陣にある。まず１曲目が大編成。tp、fl（ヒューバート・ロウズ）やイングリッシュホルンに複数のヴォイスも加わったドラマチックな曲。「無名戦士」とは十字軍の戦士を指すらしい。続く２も関連で、ここでラルフ・タウナー登場。ＷＲはギタリストを入れないグループとして有名で、ギターを弾いたとしてもメンバーが持ち替えただけ（オマー・ハキムなど）。ゲスト・ギタリストが加わったのは本作と最終作「This Is This」（カルロス・サンタナ）のみである。神秘的な３に続く４もこれまたドラマチックだ。ＬＰではＢ面だった東京公演ライブは聴くなら「Live In Tokyo」を。しかし端折って聴きたい方にはこれもまた可かと。1.Unknown Soldier2.The Moors3.Crystal4.Second Sunday in August5.Medley: T.H./Dr. Honoris Causa6.Surucucu7.DirectionsWeather Report：Joe Zawinul (kb)Wayne Shorter (ss,multiple) Miroslav Vitous (b)Eric Gravatt (ds)Dom Um Romão (perc) +Hubert Laws (fl)Ralph Towner (g,12 String-g)Wilmer Wise (tp,horn,pic) Andrew.N.White III (b,horn, English horn) Joshie Armstead, Joshie Armstrong, Yolande Bavan, Rob Chapman (vo)

  Jul 10, 2007

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  Weather Report　／　Weather Report

  1970年から1985年までの15年間、ジャズ＝フュージョン界を引っ張っていったウエザーリポートの記念すべき第一作。当時はマイルスバンド出身のザビヌル、ショーターとハービー・マンのバンドから独立したヴィトウスの３名によるトロイカ体制だった。ドラムはアルフォンス・ムザーン、パーカッションはアイアート・モレイラ。当時のコンセプトは「宇宙」だったので、それらしい曲がならんでいる。神秘的な１「天の川」からヴィヴィッドな２「アンブレラ」へ移るあたりはスリリングだ。ヴィトウスの作曲も比重が大きく、フリージャズ調の３や何気にドラマチックな５などなかなかである。一番受けそうなのはショーター作の７。躍動的なリズムとショーターのソプラノが素晴らしい。神秘的なヴォイスを聞かせるのはムザーンだ。ザビヌル～ショーター～ヴィトウスのバランスも完璧な、最初の傑作。1.Milky Way2.Umbrellas3.Seventh Arrow4.Orange Lady5.Morning Lake6.Waterfall7.Tears8.EurydiceWeather Report:Joe Zawinul (elp)Wayne Shorter (ss)Miroslav Vitous (b)Alphonze Mouzon (ds,voice)Airto Moreira (perc,ds)+Burbara Burton (ds)

  Jul 9, 2007

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  Afro Cubano Chant　／　Lenny White　etc.

  【これからの時期に聴く５枚　(5)】ドラマー、レニー・ホワイトのプロデュースによる企画盤。タイトルどおりサルサ色がやや強いフュージョンである。ホレス・シルバーの「ニカの夢」があったりと面白い選曲だが、メンバーもユニーク。ドラムは当然レニーだが、ヴァイブラフォンにマイク・マイニエリ、ピアノはボブ・ジェームスとヒラリー・ジェームス父娘だ。そしてテナーは何とガトー・バルビエリ。全盛期の迫力には及ばないが相変わらずで嬉しい。結局ラテン・ジャズ系のミュージシャンはベースとパーカッションだけだが、結構雰囲気があって楽しい作品である。1.Cubano Chant2.Tanya3.Suave4.Mui Tarde Amor5.Los Dos Lorettas6.Nica's Dream7.CasablancaGato Barbieri (ts)Mike Mainieri (vib)Bob James , Hilary James (p) Andy Gonzalez (b)Lenny White (ds,timbales)Steve Berrios (perc)

  Jun 22, 2007

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  La Cuna　／　Ray Barretto

  【これからの時期に聴く５枚　(4)】サルサのベテラン・パーカッショニスト、レイ・バレット(1929-2006)の洒落たＣＴＩ盤。ＣＴＩだから当然フュージョンで、サルサ色はかなり薄い。選曲がユニークで１のようなサルサ調の曲もあれば２などのいかにもＣＴＩといった曲もある。４は実はムソルグスキーの「展覧会の絵」だし、スティービー・ワンダーの５も入っている。残り２曲はピアノで参加しているカルロス・フランゼッティの曲だが、３の「マンボタンゴ」がいい。マンボ＋タンゴの意味だがラテン色は薄く、アップテンポのスマートなフュージョンである。ここでソロを取るのがジョー・ファレル。まるでガトーのような音で面白い。他のメンバーにも注目。1.La Cuna2.Doloroso3.Mambotango4.The Old Castle5.Pastime Paradise6.CocinandoRay Barretto (perc, conga)Joe Farrell (ts,as,ss,fl)Carlos Franzetti (p)Charlie Palmieri (p,perc)Jeremy Wall , Suzanne Ciani (syn) John Tropea (g)Francisco Centeno (b)Steve Gadd (ds)Tito Puente (timbales)and more...

  Jun 21, 2007

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  Dom Um Romao　／　Dom Um Romao

  【これからの時期に聴く５枚　(3)】ウェザー・リポート初期のパーカッショニスト、ドン・ウン・ロマン (1925-2005)。この人のリーダー作としては以前パブロの「Hotmosphere」について書いたけれど、こちらの方が知られているか。「Hotmosphere」はかなり土着な部分が強いが、本作はよりこなれたフュージョンになっている。ウェザー・リポートではとにかく無数のパーカッションを駆使した変幻自在のリズムが印象的だったが、本作では意外なほど哀感漂う素晴らしいブラジリアン・フュージョンを展開。シヴーカ、ドナートのブラジル勢に加えて、ＷＲでの同僚エリック・グラバットなどのアメリカ勢もなかなか頑張る。そういえばジョー・ベックとスタンリー・クラークはガトーのアルバムにも参加していたけど、どこかつながる部分が感じられる。1.Dom's Tune2.Cinnamon Flower3.Family Talk4.Ponteio5.Braun-Blek-Blu6.Adeus Maria FuloDom Um Romao (perc, ds, chorus) Joe Beck (g) Sivuca (g,or,p, chorus)William Campbell Jr. (tp)Jimmy Bossey (tr)Jerry Dodgion (as,fl)Joao Donato (p, harpsichord, chorus)Stanley Clarke (b) Eric Gravatt (conga)and more...

  Jun 20, 2007

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  Fingers　／　Airto Moreira

  【これからの時期に聴く５枚　(2)】ブラジル出身のアイアート（エアルトとも）のリーダー作２作目となるＣＴＩ作品。１作目「フリー」はリターン・トゥ・フォーバーのメンバー全員やキース・ジャレットらを迎えた豪華盤だったが、本人はもっとブラジル色の強いものをやりたかったようで、本作ではアイアートの要求どおりブラジル出身の若手ミュージシャンが集められた。妻であるフローラ・プリンももちろん参加。どの曲も出来がよく、ブラジルらしい明るさに加え、適度に哀愁を帯びた素晴らしい演奏である。特に７の「Tombo in 7/4」は結構知られるようになった。サンバなどのブラジル音楽とジャズ＝フュージョンのバランス感が見事なアイアートの代表作である。1.Fingers2.Romance of Death3.Merry-Go-Round4.Wind Chant5.Ranana6.San Francisco River7.Tombo in 7/4 Airto Moreira (perc, ds,vo)David Amaro (g)Hugo Fattoruso (kb, harmonica, vo) Ringo Thielmann (b, vo)Jorge Fattoruso (ds,vo) Flora Purim (perc, vo)

  Jun 19, 2007

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  Cannonball's Bossa Nova　／　Cannonball Adderley

  【これからの時期に聴く５枚　(1)】キャノンボールがブラジル音楽の名手達と組んだボサノヴァ集。ゲッツのボサノヴァは非常にクールであるが、コチラは暑い。なので暑い夏本番には向かないが、これから暑くなるという時期にはいいかもしれない。もっとも録音されたのは1962年の12月だけど。メンバーではセルジオ・メンデスが目を惹くが、初期ウェザーリポートで活躍したドン・ウン・ロマンが入っているのも嬉しいところ。キャノンボールとブラジルのミュージシャン達との交流が始まったのもこの辺りからで、キャノンボール死亡時（1975年）には多くのミュージシャンが曲を捧げたのが思い出される。1.Clouds2.Minha Saudade3.Corcovado4.Batida Diferente5.Joyce's Samba6.Groovy Samba7.O Amor Em Paz8.Sambop9.Corcovado10.CloudsJulian "Cannonball" Adderley (as)Pedro Paulo (tp)Paulo Moura (as) Durval Ferreira (g)Sergio Mendes (p) Octavio Bailly Jr. (b) Dom Um Romao (ds)

  Jun 18, 2007

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  Third Plane　／　Ron Carter

  1976年のニューポート・ジャズ・フェスティバル。ＶＳＯＰが一夜限りのスペシャル・プロジェクトとして登場したが、あまりに好評だったので以後度々集まってはツアーを行うようになる。その中のリズム隊はハービー・ハンコック・トリオとして1977年7月13日にトリオ作品『Herbie Hancock Trio ('77)』を録音。ハービーにとっては初のトリオアルバムとなった。だがその時のセッションではもっと多くの曲を演奏していて、『Trio』に収録されなかった曲がロン・カーター名義でマイルストーンからリリースされた。それが本作である。収録曲のうち１・２・５がロンの作曲。３はトニー、６はハービーのお馴染み。４はご存知スタンダードである。ロン名義のためか、心持ちロンの音が大きく全面に出ているようなミキシングがされている気がする。ロン名義のためあまり目立たない作品だが、『Trio』と比べても遜色のない傑作である。1.Third Plane2.Quiet Times3.Lawra4.Stella By Starlight5.United Blues6.Dolphin DanceHerbie Hancock (p)Ron Carter (b)Tony Williams (ds)

  May 18, 2007

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  Live in New York　／　Heribie Hancock

  1993年、アコースティック・トリオによるニューヨークでのライブ。当時は４年程続いた低迷期からようやく脱してきた頃で、同年にはマーキュリーからエレクトリック作『Dia Is Da Drum』もリリースした。本作のメンバーはジェフ・リトルトンとジーン・ジャクソンの若手２名だが、ドラムのジャクソンが強力。ジャクソンはケヴィンとロビンのユーバンクス兄弟との共演が多いが、デイブ・ホランドやロニー・プラキシコなどのベーシストの作品への参加が目立つ。この時の共演でハービーに認められたのか、1998年の『Gershwin's World』にも呼ばれていた。若手に触発されたのかハービーの演奏も力強く、心なしかアグレッシヴ。曲はハービーの名作がズラリ。録音もよく、かなりの傑作。1.I Love You2.One Finger Snap3.Cantaloupe Island音量にご注意ください4.Maiden Voyage5.Just One Of These ThingsHerbie Hancock (p)Jeff Littleton (b)Gene Jackson (ds)

  May 17, 2007

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  The Herbie Hancock Trio in Concert　／　Heribie Hancock

  ハービーが"ロック＝イット・バンド"を率いて『サウンドシステム』などを発表していた頃に録音されたアコースティック・トリオによるライブ。1984年、スイスでの公演でメンバーはロン・カーターと、珍しやビリー・コブハム。いつものトニーとはまた違ったパワフルなドラムでなかなか面白い。曲は１・４などのハンコック・オリジナルの他、ロン作の２・７、スタンダードの３などヴァラエティに富んでいる。結構いい出来だと思う。1.The Eye Of The Hurricane音量にご注意ください2.First Trip3.Willow Weep For Me4.Dolphin Dance5.Lli's Treasure6.Princess7.WalkingHerbie Hancock (p)Ron Carter (b)Billy Cobham (ds)

  May 16, 2007

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  the Blow Up Extra-Sessions　／　Herbie Hancock

  ハービーが音楽を担当したミケランジェロ・アントニオーニの映画『欲望』(1966)のサントラ盤未収録音源集のようなタイトルだが、どう聴いてもそうは思えない。曲目のうち１～３は「Jamin' with Herbie」と同じである。４～１０は別のセッションかもしれないがハンコックがフィーチャーされているとは言えリーダーとは思えないし、メンバー構成からもサントラ盤の別テイクではなく、全く別物のセッションではないだろうか。ジャケットも映画とは全く関係なく、このような人物は出てこない。珍妙なアルバムだ。1.Herbie's Blues2.Rock Your Soul3.Jamin' with Herbie4.Hot & Heavy5.Night Walker6.Hot Piano7.Live & Awake8.Scoochie9.Afro Boogie10.Far OutHerbie Hancock (p)and more...

  May 15, 2007

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  Jamin' with Herbie　／　Herbie Hancock

  よくAmazonなどで見かけるが、録音年月日・パーソネルなどが不明とされているアルバム。ジャケットとは異なりかなり古い演奏のようで、ハービーがリーダーとは言えないような感じだ。ペッパー・アダムスらしきバリトンとトランペットをフロントとするクインテット演奏なので、1961年のペッパー・アダムス名義「Out Of This World Import」あたりと同一のセッションではなかろうか。そうするとメンバーは、Pepper Adams (brs)Donald Byrd (tp)Herbie Hancock (p)Laymon Jackson (b)Jimmy Cobb (ds)ということになるのだが。どなたか、ご存知の方がいらしたら教えていただきたいものだ。　1.Jamin' with Herbie2.Herbie's Blues3.Rock Your Soul4.TCB with Herbie5.Soul Power6.Cat CallHerbie Hancock (p)and more...

  May 14, 2007

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