Don't Judge a Book by It's Cover
The Cook, The Thief, His Wife, and Her Lover コック と泥棒 、その 妻と愛人 (1989)グロテスクな極彩色。大げさなセット。ゴシック調コスチューム。全裸の男がいたぶられる場面で始まる冒頭。げぇ、カルト映画かぁ・・。週末の夜、子供が寝て一息入れようって時にはちょっと勘弁。しかも旦那が一緒。かといってほかに選択の余地なし(世界不思議発見!以外には)。そもそも何気なく録画しておいた映画。見ていくうちにこれは紛れもない深夜映画であることに気付かされる。よく夜中にこういうのやってるやん。丑三つ時、不健全な心と体につけ入る映像。次のCMで、もう寝よう!と自分にいい聞かせつつズルズル引き込まれる変な感覚。昼間だと間違いなく見ないってたぐいの。華美な装飾とはうらはら、登場人物もストーリーもいたってシンプル。泥棒(というよりマフィアのボス)の妻が旦那に隠れてアバンチュール。ボスを陥れようと彼女たちの片棒をかつぐコック。それぞれの策略が絡み合い最後は・・。ボスの妻のおびえっぷりと大胆な乱れっぷりが、どないやねん!と突っ込まずにはいられず。「好きになってきたかも、この映画」に「わしも」と旦那。この映画のみどころは、ボスのナンセンスなおしゃべり。酔っ払いの戯言というか、かなり面白い。居酒屋のカウンターの隅っこで酔っ払いのオッサンの独談場みたいな。あと、映画にでてくるイタリアンマフィアには必ずといっていいほど「ミッチ」て名前でてきませんか?ヤクザものの「サブ」みたいな配役なのだろうか?ちょっとネジのゆるい手下のミッチとボスのかみあわないやり取りがまた一種の清涼剤になってた。この映画、舞台は高級レストランにもかかわらず、料理が少しもおいしそうじゃない。むしろオドロオドロしい厨房から運ばれる料理はカニバリズムを連想させて、何作っとんねん、もしや?と見るものに不安とかすかな期待を抱かせる。その予感は最後に的中。ラストの妻の衣装、アルモドバルの映画で見たことありそうな・・と思ったら、やっぱゴルチェだった。わかりやすい勧善懲悪。結局最後まで見てもうた~!と思ったら夜中の授乳タイムの時間です。息子が起きた。