ザ・転院
ジャマイカ後遺症;料理をする前にマッチを探してしまう/洗濯する前にタライを探してしまう/耳鳴りのように聞こえるイエローマン・・etc.,体に染み付いたジャマ生活、簡単には抜けません。保険証を取得したので、今日は産婦人科へ転院の手続き&検診へ。初電車にハイテンションのボン。ずっと手をおでこにあて「うんてんしゅさんのぼうし!」・・敬礼のポーズにしか見えない。車で行きたいのはやまやまですが、私の腕では近所のスーパーが精一杯(しかも車はミッション)。ライトを照らしホームに滑り込む列車。鉄ちゃんじゃなくてもちょっと興奮(だって私も久しぶり)。車窓からは一面の田んぼ。ええ、ここも田舎なんです。駅からは徒歩1分、公立病院は市民の健やかな毎日を支えるだけあり、超システマティックに運営されてる。完全予約制。(1)番、(2)番と番号がふられた窓口はコースの順番を示す。膨大な数のカルテを収めた書庫をバックに、制服姿の女性事務員たちが忙しく立ち回る。日本はなんてスバラシくオーガナイズされてるんだろう・・。受付を済ませ産婦人科のある病棟へ。転院の連絡を全くしてなかったのでヒンシュクを買ってしまう。でもノープロブレム。クーラーのきいている待合室で、ボンは備え付けのトラ(プーさんの仲間らしい)相手に遊ぶ。いつの間にか待合の人数が増え、長椅子がほぼ埋まる。さあ、感動(?)のショウの幕が開く。診察タイム。このためにはるばる海を越えてやってきた。ジャマイカでバスの旅に耐えながら獲得した汗と涙(?)の結晶、ドクターの紹介状はデスクに広げられてる。「日本語わかる?」いや、私日本人ですけども・・。先生、ボンを抱き上げ超音波の機械の前に。「これはね、こうするんだよ~」やけに軽い。「逆子ちゃんやね」あぁまたか・・・。本日は内診つきフルコース。アンティーク調、ではない本物の年代もの薬棚とハイテクな機能を備えた(半回転しながら上昇する)内診台が対照的。ボンは下半身丸出しの母の身を案ずるでもなく、そのマシンの動きに目を奪われてる。「ボクは一生乗られへんわなぁ~」気さくな看護婦さん。ラストは助産師面談でしめ。「太りすぎ」を指摘される。妊娠前の体重、サバよみすぎたか・・(というかジャマイカの家に体重計ないし)。もっと大目に申告すればよかった、と後悔。今更訂正してもわざとらしいし。「どうしてもお腹すいたら野菜スティック、とかね」天童よしみ風の助産師に言われる。他人から体重管理を指導される切なさ。日本てキビシイ。所要時間2時間弱。待ち時間だけで2時間とられたジャマイカに比べりゃパラダイス(おもちゃも本もあるし)。帰りの電車まで間があるので、食堂をのぞいてみる。軍艦アパートさながら院内は複雑に入り組み、まるで迷路。コニー・ウィリス「航路」の病院みたい。食堂とは名ばかり、軽食コーナーと言った態の店でおにぎりをオーダー。おばちゃん、珍種親子に釘付け。しかしこんなおばちゃんですら、「ジャマイカやったら踊りがうまいとこや」と言う知的水準の高さ(?)。「将来はEXILEやね」こんなおばちゃんにすら浸透している和製R&Bグループの健闘ぶり。おにぎり以上のホスピタリティをうけつつ、電車の時間が迫ってたのでそそくさと立ち去る。なんせ1時間に1本のスリル。家に帰ってボンの母子手帳を開く。体重グラフを見ると、全く同じ週数で同じだけ増加してた。やっぱり紛れもなく「太りすぎ」か。おいしい日本食を前に食事制限・・拷問~!