誠街道まっしぐら
やっと受験が終わった。かつて受験が終わったら何を書こうとしていたのかも忘れた。再受験してよかった。やっと医者になれる。国立だ。私立も受かった。国立に行く。 受験を終えて分かった。医学科に入りやすいもクソもない。どこの大学だろうと、国公立だろうと私立だろうと、難しいのだ。地獄だった。まして6月から本格的に受験勉強を再開した僕にとっては。周りの受験生はみんな落ちたようである。少なくとも、僕の後ろ十数人は落ちた。地獄だった。地獄だった。地獄だった。地獄だった。地獄だった。 一方で、医学科とは対照的な難しさを誇る部門がある。東京大学である。かつて僕は、医学科と東京大学の双方を志し、悩んでいたことがある。古くからの知り合いの多くは浪人し、彼らもまた今年受験した。僕より遥かに優れた連中である。彼らの吉報を待つ。 再受験生で受かった人はあまりいないようである。僕は運が良かったのだろう。学力の面で優れていたとは到底思えないのである。僕が去年別の大学に入学したことや、高校時代にやったこと、評定が推薦入試できないほど低かったこと…。たまたまやってきたことが、たまたま大学の先生方に評価していただけたのだろう。偶然がために、人生を左右する大一番が決まってしまった。受験生の努力も、憂いも、苦しみも、足掻きも、全て運が支配している。適性のある受験生は定員より多いのだから、仕方のないことである。だが、あまりにも酷である。 長い、長い長い、長い受験勉強がようやく終わった。しばらくは、下宿の準備に忙しくなるだろう。 幾千の骸の上に、僕は立っている。少しでも行動を間違えていたら、僕も彼らのようになっていたのかもしれない。彼らの無念を晴らすためにも、立派な学生とならなければならない。南無阿弥陀仏。 山の頂に着いたのだ。