感動しました。「塙 保己一」と「宮城道雄」
今日は盲人図書館主催の施設見学なんです。点訳者・音声訳者、約６０名の参加がありました。渋谷に１０：００集合でした。見学場所 1,社団法人 温故学会（渋谷区） 塙 保己一（ハナワ ホキイチ）記念文化史料館 2,財団法人 宮城道雄記念館（新宿区飯田橋）見学施設について1,温故学会はＪＲ渋谷駅東口より明治通りを恵比寿方面に行き、国学院大学前徒歩２０分のところに位置します。塙 保己一（１７４６～１８２１）７歳で病のため失明しましたが、一度読み聞かされた書物の内容をすべて覚えてしまうという抜群の記憶力を持っていた人です。１５歳で子供ながらに、自分の生きる為の力を得なければと、江戸に出て、雨冨検校（今の訓練校にあたる）の、盲人一座に入り、針、あんま、琵琶、三味線、琴を学ぶが、不器用なため身に付かなかった。学問はたいそう好きなので、学問で身を立てるべくこの師匠の取り計らいで、３年間の面倒を見てもらうことが出来たのです。目が見えない為、人に本を読んでもらい、一字一句間違わずに覚え、記憶し、苦心をこらえ本気で学問にはげんだのです。そして、賀茂真淵などについて学問をすることになったそうです。４８歳（１７９３年）に日本の古典を研究する和学講談所を開設し、この施設が現在の東京大学史料編纂所の源流になっています。頭の中の記憶を残すために、保己一の編纂した『群書類従』の版木、17244枚は重要文化財として倉庫に大切に保管されていて、見学をしました。版本は注文で一冊でも仕立ててくれるそうです。又、昭和１２年、三重苦のヘレン・ケラーが来日して、温故学会に来られ、保己一の銅像と長い間浸かった机をなでながら「日本に塙保己一先生という大学者のおられるのを知って、子供の頃から勉強に励みました」と感激して語ったということです。お話を伺って、江戸時代の町人の文化である検校という制度はレベルも高く、今の福祉制度とは違うおおらかさを感じたのでした。2,宮城道雄記念館は、ＪＲ飯田橋下車、神楽坂徒歩２０分です。閑静な住宅街にあります。宮城道雄は名曲「春の海」の作曲家として知られています。８歳で失明し、自らの道を筝曲に定め、西洋音楽の要素を邦楽に導入し、新しい音楽世界を開拓し続けました。晩年まで住んでいた敷地にある記念館には、８０本の絃を有する宮城道雄が考案した琴をはじめ、点字の楽譜、点字のタイプライター等、遺品約２００点が、納められていました。点字タイプライターは、盲人用タイプライターの使用者としては、日本の先駆者だそうです。感性豊かな随筆集も出版されているようです。そのうち読んでみようと思いました。そして、生前書斎として使われていた離れ「検校の間」も見学することが出来ました。昭和３１年、演奏のため大阪へ向かう途中、東海道線刈谷駅付近で急行「銀河」から転落し、死去しました。６２歳でした。その時のカバン・ステッキが遺品として展示されていました。日本の文化史に名を残した塙保己一と宮城道雄の遺跡を見学し、”物事を前向きに捉えている精神”に久し振りに感動した一日でした。
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