親子
娘が帰ってきた。でも、だからといって、といった感じ。今までもずっと一緒にいた感じで、久しぶりな感じも、ラブ~な感じもなく。会った瞬間、一瞬で時を飛び越した。よく、夫のことを、『空気』のような関係、と評す人がいるだろう。好きとか嫌いとか、特別な感情はなく、いて当たり前。いなかったら死んでしまうとは思うのだが、あって当たり前すぎて想像できない、みたいな。あれなのかな。娘とは。だと、いいけど。娘を連れてきてくれた義母は我が家に3時間ほど滞在して、またトンボ帰り。明日、パン教室があるらしい、彼女が先生なのだが。娘だけ連れてくるのも大変だろうに、朝から焼いたパンをいっぱい持ってやってきてくれた。もちろん、息子である夫のためとか、孫のためなのだが。その愛は素晴らしいと思う。勉強になるというか。勉強しても仕方ないんだけど。でも、こういうのを近くで見ると、凄いと思う。例えば、であるが、今回も、こんなことがあった。夫は今日、休みだったのだが、それを伝えて私では行けないような大きな駅まで迎えに行く、というと、たまの休みに煩わせたくないから、という。夫は、車を運転することは大して疲れない人だし、何より、少しでも早く娘に会いたいから、と、迎えに行くというのだが、義母は、だったら着く時間を知らせないで行く、という。私にしてみれば、何時なのか分からなければ食事を作るタイミングもあるし、何より、娘を預けている身としては、心配が全くない、ということもない。お盆のUターンラッシュの真っ最中だし、娘を少しでも疲れさせたくない。ただ、連れて帰ってきてくれるのだし、今まで遊んでもらったわけだし。義母にどういっていいか分からず、まぁ、時間が経てば気持ちも変わるかな、と、そのままにしておいたのだが。当日、の今日。お昼過ぎても連絡なし。やっと連絡があったのは、もう、最寄駅近く。夫は、そういう効率の悪い、私さえ犠牲になれば的な辛気臭い話が嫌いで、ほっとけ、と、お怒り気味。我が家についた義母は、いかにも、褒めて~と言わんばかりの武勇伝口調。それでも、夫が子どもの頃は良かったのだろう。が、今では彼も人の親。娘と会いたいし、娘が心配で、時間に追われる仕事人にもなった。そういうことは全く度外視で、子どものころの想い出だで生きていくのが、母親なのだろうな。もしかしたら、夫だって、そんなポーズをとっているだけで、いや、真剣に怒っているのかもしれないが、心のどこか、奥の奥では愛を感じとっているのかもしれない。いや、たぶん、そうなのだろうな。奥が深いな、親子愛って。…いや違うのかな。本当に怒っているのかな。私には分からない。