ブラックタイガー
先日、何気なく書いた『中国製品不買運動』に反応してくださった方がいて嬉しくなった。今のご時世。食や衣などは中国製品を除いたら不便を生じるほどである。例えば、にんにく、など、3個で100円のところ、青森産などは1個が300円位する。メイン料理で食べるならともかく、パスタの前にオリーブオイルと一緒に炒めるくらいなのだから…、と、ついつい中国産に、ほだされてしまいそうになる。(そして、時には、ほだされる…)しかし、まぁ。『障害』と『障碍』の違いについて知ったときもそうだったが、厳密に考えず、とにかく、やってみる、ことが大切で、その完成度は二の次だ、と、『自然食品』『添加物、保存料、不使用製品』などなどについても、『継続は力なり』と思って、なるべく、やれる限りで行っている。『中国製品不買運動』をはじめる背景については、居酒屋で談義する程度の知識しかないし、こういったことを熱く議論する場もネット上ではあるので、そちらに譲りたいと思う。(きっかけは、やられたらやり返せ、という、非常に感情的なものだった…)ここで書きたいのは、だから、そこまで大それたことではなくて、エビについて、である。それも、ブラックタイガーである。学生時代、出会った友人は、インドネシア通であった。旅行マニア、とか、そういうのではなくて、なんというのか、体の半分がインドネシア人、といった感じで、ルックスもどこか東南アジア系だった。だから、インドネシアが好き、とか、インドネシアに住みたい、とか、そういった発言ではなくて、インドネシアをどうにかしたい、インドネシアのために出来ることをしてあげたい、と言ったような発言が多かったし、事実、そういった行動で示してきた。語学で有名な大学のインドネシア語科から、私と同じ大学に学士編入してきた彼は、その堪能な語学を生かして、日本で就労しているインドネシア人のために、日本の企業とかけあったり、様々な場面で通訳をしたり、デモに加わったり、モスクで祈ったり(実際にはたぶん、モスクに行く人に付き添っているのだろう)、と、どこの国の人か分からない人だった。お金がなくなると、企業の通訳の仕事を、どこからともなくもらってきて、英語の通訳のときなどは、適当に通訳して、食いつなぎ(インドネシア語の方が堪能らしい)、後はひたすら、ボランティアに勤しんでいた。(もっとも、企業通訳には、この『適当さ』も重要だ、というのが彼の持論だった)そんな彼の目標は、インドネシアでのエビ(ブラックタイガー)の養殖だ、という。もう何度もアジアをはじめ、インドネシアに行っている彼だが、そのエビの養殖場の劣悪さに閉口し、エビを気持ちが悪くて食べられなくなったぐらいだった、という。衛生面の話ではなく、薬、である。エビの養殖場は、池で大量のエビを育てるのだが、エビが早く育つように、水質が悪くなって死なないように、大量の薬を投入するそうだ。それも、まさにヤク漬けといった感じで、水が多いか、薬が多いか、というところで、それを食するのは地元民ではなく、日本人だということもあって、行政もそこまで口を挟むことはなく、むしろ、産めよ増やせよで経済が潤う、ということで、ノータッチなのだそうだ。彼は、こんなやりかたでは必ず破綻する、と言っている。いつか誰かが気がつく。そうなったとき、インドネシアをはじめとして、ベトナムや、その周辺のブラックタイガーの養殖業は暗礁に乗り上げることになる。それを見越して、自分がインドネシアに、安全で、環境をも考えた、正しい養殖場を作っておきたい、と言う。いや、こんな風に書くと、なんだか崇高な精神の持ち主のように見えてしまうが、日本人とエビはなくてはならない関係で、そこにビジネスチャンスがある、といったことも話していたような気がする。。…なにせ、もう何年も前の話なので、話し半分にして、いずれにしても、ブラックタイガーの養殖が薬漬けという話を聞いてしまってから、私も怖くて食べられなくなってしまった、という話をしたかった。こんな話は、知らないだけで、もっともっと色んなところに転がっているのだろうな、と思う。特に、自分たちが口にしない、輸出用の食物では。そんなことを考えてしまうと、日本人以上に几帳面な民族はいない上に、自分たち生産者の口にも入る食べ物を作っている、そんな自国製品を買おう、と、思ってしまうようになった。特に、子供を授かってからは。そうやって口に入るものを気をつけながらも、授かった子供には障碍があって、自分の足元からガラガラと崩れるようなショックを受けたんだったな。ただの『食』の話として終えられないのが、辛いような。。人間味があるような。。