トーベ・ヤンソン著 『ムーミン谷の十一月』
☆ものさびしい気配がおしよせるムーミン谷の十一月。ムーミン一家に会いたくて、ムーミン谷へ行きたくて、集まってくる六人。ムーミンママになぐさめてもらいたいホムサ、ひとりでいるのがこわくなったフィリフヨンカ、自分でないなにかになりたいヘムレンさん、養女にいった妹のミイに会いたくなったミムラねえさん、ずっと昔にいったムーミン谷の小川で気ままにすごしたくなったスクルッタおじさん、五つの音色をさがしにムーミン谷へもどったスナフキン。ところが、ムーミン屋敷はもぬけのから。待てど暮らせどムーミン一家はもどってきません。六人の奇妙な共同生活がはじまります。「ムーミン」シリーズ最終巻! ☆昨夜放送された「ビーバップ・ハイヒール」という関西の番組でムーミンを取り上げていたので、最終巻であるこの8巻を読み直しました。ムーミンに出会ったのは小学生の時図書館で借りたのが最初。面白かったので続きを母に買ってもらった。それで、うちにある本は3・4・6・7巻だけでした。でも全巻揃えたくなって、大人になってから欠けている巻を自分で買い足したのですが、今見たらひどいですよ~。最初に買った4冊(昭和43年版)はまだ今でも割合きれいなのに、あとで買ったもの(昭和55年版)はすっかり黄ばんでしまっています。紙の質が悪くなったのですね。わたしも、テレビで放送が始まったとき、あまりに原作の雰囲気と違ってがっかりした方です。原作はあんなに妙に健全で明るい雰囲気ではないし、なによりもその幻想的なところが好きだったから。でも、子供のころに好きだった前半の巻が強く思い出に残っていて、大人になって読んだ最終巻はほとんど忘れていました。最終巻には、ムーミン一家はでてきません。一家の留守に訪れた人たち(いずれもなにか悩みをもつ)が、ムーミン谷で暮らすことによって再生していく話です。深いです。