演奏会の感想を読んで
ネットでいろいろ演奏の感想を読みました。マーラーの交響曲は「巨人」や「復活」などの演奏を聴いたことがあり、大きくてにぎやかな曲であるというイメージがあったので、前回のフェスティバルホールのように大音響がふつうなのだと思っていました。広いホールいっぱいに鳴り響く金管楽器!でだしのパイプオルガンからして豪壮絢爛。でも、客席からの感想は、ソロの声がよく聞こえなかったといいます。ちょっと大きすぎ!とは思っていました。ところが、沼尻さんの指揮では違いました。テンポは軽快。歌が良く聞こえるように、オーケストラの音を絞っていました。ソリストの声が良く聞こえるように。また子どもたちの歌声が出てくるところは、特に小さく小さく、と指示されてました。そして、出だしのオルガンからしてそれほど大きくありませんでした。わたしは舞台の後方にいたので良く聞こえてこないのかと思ったりしていましたが、最後の金管バンダも、むやみに大きくはありませんでした。そのあたりを大変すばらしいと褒めている感想が多かったです。わたしは、前回は威勢良くガンガン歌って気持ちが爽快だったのですが、今回はとても集中力のいる歌い方をしました。それで、なるほど、これがオペラ指揮者である沼尻さんの指揮なのか!と感想を読んであらためて教えられたような次第です。また、ある方の感想では、若々しい男声合唱がすばらしかった、と。男声合唱の部分で一番難しいのは、第2部のはじめの「waldung」の部分。1コラ・テナーが3部、2コラバスが3部に分かれるなんて、人数から考えても難しく(公募合唱団には毎度のことながら男声が少ないので)、練習のときはどうなることかと思っていました。しかしそれもびわ湖ホール声楽アンサンブルほか若いエキストラが大勢入って、なんともいえない美しい響きになりました。この曲の中で男声のいちばんステキなところは、テナーのソリストが歌う「Jungfrau」からはじまるところ、そして「Dir,der Unberuhrbaren」という美しいメロディですが、歌声がとても素晴らしくて毎回聴きほれました。ああ本当に、同時に客席で聴くことができたら!なんて思います。本当に、演奏会は一期一会ですね。同じメンバーで同じ曲を演奏しても、状況によって全然違うでしょう。今回のような演奏会は二度とできないと思います。