ニュージーランドからの旅人
今日は朝から弱い雨。累計で3mmぐらい。予定していたムギの脱穀は延期した。シートで被っていても少し濡れてしまっているだろうから明日一日ぐらいは再び乾燥させるほうが良いか。それとも多少無理しても脱穀してから乾燥させるか。微妙。ニュージーランドからの旅人ということで今日一日OFFかと思っていたのだけど、僕の畑に珍しいお客さんが来ることになった。妹の友人がなんとニュージーランドからお客さんを連れてきた。日本の田んぼと畑が見てみたいのだという奇特な(失礼)女性だ。かなり御年配だが元気な方。僕の片言の単語の羅列のような英語がどこまで通じていたのかはわからないけれど顛末を紹介しようと思う。まずは家でお茶を一杯。当地の名物宇治茶と茶菓子。日本家屋が珍しいのか、なぜか仏壇をバックに記念写真。その折にざっとお話を聞いた。その方お国では牧場を経営しているそうで。まあまたその規模がすごい。60エーカー!換算すると24万平方メートルの農場でウシ1,000頭、ヒツジ2,000頭を放牧しているそうだ。24ヘクタールにたったそれだけの家畜。畜産には疎い僕でもこの数の少なさはわかる。まあこれが普通よ?なんていわれても感覚が違いすぎる。お国事情もあるだろうが旦那さんと二人でこの面積で経営して暮らすには充分なのだそうだ。日本の平均的な農家はおそらく1ヘクタールちょっと、4ヘクタールでやっと認定農業者。北海道でやっと張り合える程度。それでもおそらくニュージーランドでは小規模なほうだと推察する。まあ面積だけ比べてもしかたない。耕地と牧草地ではまったく違うし。とまあこのギャップに唖然としつつ僕の畑などみてどうなるんだろうという気分も少ししてきた。がせっかくきてもらったのだし田んぼや畑を見てもらうことに。地面に水をたっぷり入れてどろどろにしたところに苗を植えるという光景はお国では見られないはずで、ずいぶん好奇心旺盛に苗は何本あるのか?(数えたことないなぁ)とか聞かれる。で、たった20アール程度(僕の地域では一枚の田んぼは大体この程度の広さ)で1トン以上の米が採れるといった時には驚いていたようだ。確かに日本の集約的な穀物生産というのはあまり例がないだろう。この一枚の田んぼでよく米を食べる家族なら3家族分程度は養えるといったら「あなたはリッチね」などと冗談か本気かわからないお答え。実際はひとり平均年間60kg程度しかコメを消費しないのだから4~5世帯分はあることになるだろう。他の田んぼではちょうど田植え作業も行われていたのだけど、手では植えないのかと聞かれてさすがにそれは…と思っていたら、挿し苗している人がいてまたその風景をパチリ。田んぼには一度入ってもらったほうが面白いし手で植えなくなった理由もわかってもらえるのだろうけど、御年配だし今朝まで高血圧で体調を崩していたという話しだしそれは言わないことにした。で畑のほうへ。外国人だからといっても畑を案内するときにやることといえばひととおりくるっとまわって何を植えているかを紹介するしかないし、誰が来ても同じ。畑のほうは洋菜が多いのでおなじみのものが多いのだろう。これは○○ね、とほとんど知っていて日本の人を案内するよりもかえって楽だった。ただシソは見たことがないらしい。こちらも英語名を知らないし、ジャパニーズバジルということになってしまった。オーガニックかどうかを聞かれたが、あちらでもやはり気になるのかもしれない。狭い中にたくさんの種類を植えているのを見てあなたは忙しい人ね~などとも言われたがおっしゃるとおり…。というか飽きっぽいので同じものだけ植えようという気になれないだけなのだけど。しかし全面有機物マルチしているとはいえ雑草の目立つ僕の畑を見ていられないのか、時おり草引きなんかをしてくれたり。2年前まで耕作放棄地だったと説明すると「あと7年は草との戦いよ」とさすがに本場の開拓者なのかこともなげに言われた。お土産に紫ニンジン(これも見たことがないらしい)などもって帰ってもらったがお口に合うのだろうか?しかしお話ぶりなどを聞いているとゆったりと生活しているのだなと思えてうらやましい限りだ。さすがに少し緊張してしまっていて(というより英単語を思い出すのに必死)写真も撮れず、すべてを思い出せないけど、また細かいことを思い出したらこの方のことは書こうと思う。僕にとっては貴重な体験だったし、楽しんでもらえてよかった。さて、大きな出来事もあったのだけど、その後また少し野菜を出荷して今日の作業は終わり。あとは足踏み脱穀機のカバーを作ったりしていた。