「ナチュラル」の魅力
昨日の日記に書いたような理由で、なるべく急げのはずの石雑記だったのですが、危ない時間になってしまいました。カルサイトについて調べていたら、なんだか長石の時の二の舞になりそうです。そこでピンチヒッターの石にご登場願いました。産地不明ですが、とても美しい非研磨のファントムです。ファントムと言えば、ポリッシュされているものがほとんどです。ファントムが形成されるということは、その水晶の育った熱水には不純物が多いということで、つまりは結晶面がきれいになりにくいのでしょう。また、内包物をきれいに見せようとすれば、磨いた方がきれいなのも頷けます。私のところのファントムたちも、ポリッシュが圧倒的に多いのですが、時にこんな非研磨のファントムを見つけると、うれしくなってしまいます。非研磨だけに、結晶面はやや磨りガラス調なのですが、それもまた風情と言いましょうか。ファントムが色変わりになっているところとか、仲良くツインでファントムなところとか、見どころもいろいろ。こういうふうにツインで磨かれているものってなかなかないです。やはり形が複雑だと、磨き職人(?)さんたちも困るんでしょうか。鉱物系の石屋さんだと、やはり石屋さんなりの美意識があるのか、「水晶はやっぱり、アーカンソーみたいな透明できれいなのでなくちゃ」とか、「ファントムはきれいに見えなきゃ価値がないだろう」とかおっしゃるときがあります。「ファントムでナチュラルなのが欲しいって言われても、いいのがないから困っちゃうんだよ」と嘆いておられました。ごめんなさい~。それはそれで好きなんですけど、そうでないのも好きなんです~。(「パワーストーン」をうたっているお店でロシレムはないかと聞いたら、「あれは見た目があまり良くないから置いてない」と言われたことがあります。うーん……)いろいろな石の情報にふれていると、「ロシレム」とか「ヒマラヤ」とか、ついつい名前に惹かれて選んでしまうことがあります。もちろん、ヒマラヤはヒマラヤの魅力があるわけなんですが、見るべきは石そのものなのだということを、忘れないようにしなければ。産地不明とつい書いてしまいますが、石にとってはあまり関係ないことなのかもしれません。この石は、磨いていないナチュラルさと、産地がわからないことでナチュラルに石の魅力だけを感じさせてくれる石でもあるのです。