ザギマウンテンはどこだ
50万ヒット記念のトップ画像、おめでたいことなのだから、見た目も「祝」な感じで華やかな石を……と思って探してみました。全体像はこんな感じ。2センチ強の小さな石なんですが、照りが良く、水晶の透明度も高く中にぎっしり金色内包物。繊維状……と言うには太くて硬そうな金色のものと、もっと太そうな黒い針状の内包物が入ってます。「ルチル?」……とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれません。私もそう思うんですが……。ちょっと訳ありで、ここは一応「内包物」とぼやかしましょう。というのも、買ったお店の人は「アフガニスタン産でルチル入り。黒いのはトルマリン」。そうかそうかと思っていたら、ネットショップで「パキスタン産のザギマウンテン産、アストロフィライト入り、黒いのはエジリン」……という説明が。もちろん、見かけはそっくり、金色(キャラメル色)の細い内包物と黒い針状の鉱物入りです。……ルチル入りか? アストロフィライトなのか。ショール(黒トルマリン)なのか、エジリンなのか。ルチルはご存じのように、金色繊維状になるのは頷けますが、写真の石では、やや平べったく感じるところ、別の石では極細で細かく縮れたようにも見えるところが若干ルチルっぽくないと言えばそんなような。しかし、星葉石は短めの針状結晶で母岩上にウニのようにへばりついているのは見かけますが、こんな風に繊維状になるのかどうか。アストロフィライト単体の写真を見ると、ちょっと信じられません。検索すると、海外サイトでもルチル説、アストロフィライト説があるようです。最近(……といってもここ1,2年)で見かけるようになった石なので、これからも出てくるようなら、追加情報もあるだろうと内包物については、ただいま保留中。そしてたどるはもう一つの疑問。「ザギ・マウンテンってどこだ?」なんでもパキスタンの「聖なる山」だと言うことですが、私はそれよりも、位置が、インドがユーラシアにぶつかり、潜り込み、大地をたわませたあの現場のどのあたりにあるかが知りたい。ザギマウンテンで検索すると、たいていは「ザギマウンテンクォーツ」で、「パキスタンの山」「ノースフロンティア地方にある」「聖なる山」、どう間違ったのか「ネパール産」。しかたがないので、Zagi Mountainで検索です。すると、いろいろな情報が引っかかってきます。別の鉱物のラベルですが、「Zagi Mountain, Warzak Dam, Pechawar, Pakistan.」とあります。また、「Zagi Mountain: Northwest Frontier Province Pakistan」ともありますから、「ザギマウンテン」で検索して出てきたノースフロンティア地方は、「ノースウェスト・フロンティア地方」が正解なのでしょう。そのほか、「Located approximately 5.5 km southeast of the Warsak Dam」という説明も見つかりました。「Pechawar」と「Wasakダム」「ダムから5.5km南東」が手がかりです。調べると「Pechawar」はすぐに見つかりました。次はWarzakダムです。ダムと言うからには川沿い。そして、今回の写真の石はザギマウンテン産ではなくてアフガニスタン産。アフガニスタンとパキスタンでそっくりな石が出ているということは、おそらく国境沿いではないだろうか。探すべきはPechawarから国境側、そして川。いろいろ地図を検索してみました。ここがザギマウンテンと記された地図は見つけることができませんでしたが、川の流れからして、多分、この位置。ふだんパキスタン産として手にする石の産地、ギルギット周辺よりはかなり南。むしろ、アフガンローズの産地である、アフガニスタンのクナルに近い。クナルは、アフガンローズを始め、トルマリンなどいろいろ産出するようですから、そこに近いザギ山で、いろいろ出てきてもおかしくない。調べていて拾い読みしたところでは、やはりいろいろな鉱物、珍しい鉱物が出ているようす。今後が楽しみな産地です。あー、ザギ山の(だいたいの)位置がわかってちょっとすっきり。追記:さらに詳しく調べてみました。