アンフィボール入り
ブラジル産のアンフィボール入り水晶です。結晶の約下半分に、ほんのわずか青みがかったグレーのアンフィボール(角閃石)が内包された水晶です。内包されているからにはアンフィボールの方が先に結晶していたことになります。繊維状のアンフィボールがもやもや、もさもさしていた中に結晶したせいなのか、はたまた結晶した後に触像を受けたのか、エッジのあたりがこすれたように丸くなり、表面が磨りガラス状に見えます。そのため、内部をくっきり見ることができないものの、緑泥とは違う質感、雰囲気が感じられ、「幽玄」と表現してみたくなります。霧がかかったようにかすむ中に、ぼんやりと浮かぶ何ものかの影。そんな感じでもあります。さて、冒頭に「内包されているからにはアンフィボールの方が先に結晶していた」と書きましたが、がっちり結晶した水晶の中に、後から他の石が結晶することは無理ですから、中に入っているものは水晶よりも先に、遅くても同時に結晶しなくてはなりません。先に結晶するということは、水晶よりも高温の状態で結晶した、つまり、まだ水晶が結晶することができない環境下で結晶したと言えます。石好き初心者の頃、ルチルは先に結晶して内包されるが、トルマリンは後から、水晶を溶かして内部に成長する……という話を聞いて、「そうなんだ……」と信じていたことがあります。そのほか、「天然のスモーキークォーツのクラスターはない。クラスターになっているのは放射線で加工されたものだ」……なんて説を見かけたことがあります。もちろん、どちらも変なはなしですが、知らないというのは恐ろしいもので、「そうなんだ……」と思ってしまうんですね。実は、スモーキーのクラスターの話は、某有名ショップに掲載されていました。今は掲載されていませんが……。このように、情報はいつの間にかかわっていきます。このブログもすでに3年以上、丸4年も見えてきました。きっと、変化してつじつまが合わない情報も出てきているはず。日々、情報には気を付けているつもりですが、知らないために、理解できないがために、間違いを見落としていそうで怖いです。