偐万葉・どち篇(その8)
偐万葉・どち篇(その8) 本日は、偐万葉シリーズ第324弾記事、どち篇(その8)です。 友人・岬麻呂氏の旅便りに寄せて詠んだ歌も、このどち篇に収録することにしています。従って、これら岬麻呂関連の歌は「岬麻呂旅便り」シリーズ記事にて掲載済みの歌の再掲載となります。1.岬麻呂に贈りて詠める歌21首ふらの麻呂 まさきくありと 旅便り 届きて五月ごがつ 今日は青空 (偐家持)佐保姫は いづち行かめや 葉桜に なりたる道の 今し悔しも (偐家持)(本歌)愛(かな)し妹を 何処(いづち)行かめと 山菅(やますげ)の 背向(そがひ)に寝しく 今し悔しも (万葉集巻14-3577)ジャカランダ 紫匂ふ はつ夏の 見が欲しき花 恋ひてぞまた来し (偐家持) (20210610ジャカランダ)わが来れば 雨に濡れたる 二番花の 今盛りなり かのやばら園 (偐家持) (20210610かのやばら園)沖縄の 景色は何と 変らねど 行けば休業 至れば休館 (古呂奈麻呂) (20210630古宇利大橋)ジャカランダ ケラマブルーの 花と咲け 背子が思ひの 座間味の島に (青家持) (20210630ジャカランダの苗木)安護の浦 潮満ち来らし 夕暮れて 島山はるか 横雲の空 (夕家持) (20210630安護の浦の夕暮れ)鳥沼の みなもに映す さみどりの 影もさやけき 富良野旅行く (富良持) (20210714鳥沼公園)夕されば 遠くやなりぬ 利尻富士 われは礼文の カフカにあれり (海辺のカフカ) (利尻島夕景・香深港)バフンウニ つまみ酒くむ さ夜更けて 利尻の富士に 月かかりける (滝沢馬糞) (20210805バフンウニ丼) (20210805利尻島夜景)青く澄む 海もよけれど 我はもや バフンウニには しかずと覚ゆ (雲丹麻呂) (20210805澄海岬)それ島の 南にあるを なにゆゑに 北のカナリア パークと言へる (鳩屋南北) (20210805北のカナリア公園)君もまた 旅にしありて 思ふかや いづこも同じ 妻が買ひ物 (偐家持)(本歌)さびしさに 宿をたちいでて ながむれば いづこもおなじ 秋の夕ぐれ (良暹法師 後拾遺集333 小倉百人一首70)草もみぢ 岬のひぐま いかにかと ゆくらむ君が 知床の旅 (偐家持) (20210915ヒグマ)オホーツクの 秋はサンゴの 草もみぢ 萩も尾花も さらに用なし (北家持)(本歌)人皆は 萩を秋と云ふ 縦(よ)しわれは 尾花が末(うれ)を 秋とは云はむ (万葉集巻10-2110) (20210915能取岬・サンゴ草)春さらば 花めで酒酌(く)み また語らむ 言ひし悲しき 遺影の友よ (偐岬麻呂)との曇る 旭平あさひだひらの 秋の葉に 心ぞ痛き 面影立てば (偐岬麻呂) (20210928旭岳と鏡池)日(ひ)の本(もと)の 秋はここより 旭岳(あさひだけ) 今年ももみぢ 妹と恋ひ来(こ)し (偐岬麻呂) (20210928旭岳・旭平)禄剛(ろっかう)の 崎にて返し 金沢に 帰りきたれば 月照(て)りにける (偐家持)(本歌)珠洲(すず)の海に 朝開(あさびら)きして 漕ぎ来(く)れば 長浜の浦に 月照(て)りにけり (大伴家持 万葉集巻17-4029) (20211008禄剛埼灯台)それ木々の 水面(みなも)に映す 影清み 神の子池と 名づけけらしも (偐老麻呂)水底(みなそこ)に 沈(しづ)く倒(たふ)れ木(ぎ) ゆるがざる 石(いは)のごとにも 神(かむ)さびにけり (偐家持) (20211022神の子池)※岬麻呂関連の歌掲載の偐万葉・どち篇は(その1、3、4、5、6、7)。歌数は、今回の21首を加えて、全122首になります。2.久麻呂に贈りて詠める歌1首さを鹿の 鳴くなる今夕(こよひ) 逢はぬとも 明けての五月(さつき) 逢はざらめやも (ヤカモチ)(本歌)さを鹿の 鳴くなる山を 越え行かむ 日だにや君が はた逢はざらむ (笠金村歌集 万葉集巻6-953) (牡鹿 撮影者:久麻呂氏)※久麻呂関連の歌掲載の偐万葉どち篇過去記事は(その3,4)、歌数は4首で、今回の1首を加えて合計5首。(注)久麻呂氏はヤカモチの大学同期の友人。夕々の会のメンバー。3.倉麻呂の逝去を傷みて詠める歌2首君逝きて いづちにありや 秋の日の 雨間の空に なびく横雲 (偐家持)今は君 いづちにありや 秋雨に 山は煙りて 泣けと言ふらし (偐家持)(本歌)この水は いづれに行くや 夏の日の 山は繁れり しづもりかへる (中原中也)(なびく横雲)(注)倉麻呂氏はヤカモチの会社時代の後輩。4.国麻呂の兄上の逝去を傷み、国麻呂に代りて詠める歌3首くやしかも 秋明菊(しうめいぎく)の 咲く朝(あさ)に 我が兄(あに)さまは みまかりましぬいつの日か 来(く)べき別れと 知りぬれど 今日(けふ)のこととは 思はざりけるあれやこれ 思ひ尽きせじ 今更に 君が最後の 笑(ゑ)まひに泣かゆ (20211006シュウメイギク オガクニマン氏のブログから転載)※国麻呂関連の歌掲載の偐万葉過去記事は下記の通りで、歌数は66首、今回の3首を加えて合計69首。 オガクニ篇(その1、2) 30首 どち篇(その1,2,4,5,6,7) 36首(注)国麻呂は友人・オガクニマン氏の偐万葉上の呼称。 同氏のブログはコチラ。 偐万葉・オガクニ篇はコチラ。<参考>偐万葉・どち篇の過去記事はコチラ。<追記注:2021.10.26.>久麻呂氏の項の※に記載の歌数に誤記がありましたのでこれを訂正しました。倉麻呂氏の項に写真追加掲載。