ごとばんさん(後鳥羽院)
若草読書会の友人であるリチ女さん(東京在住)からメールが届いた。 それによると、東京は谷中で開催されたワークショップで後鳥羽院の歌に返歌を詠むという企画があり、それに参加したところ、下掲のようなポスターとなって、隠岐島の菱浦港フェリーターミナルで展示されているということのようです。 返歌応募作全てなのか選ばれた歌のみが展示されるのかは不明であるが、彼女によると、若草読書会で参加者が自作の歌を持ち寄って鑑賞し合うというか、批評し合うというか、そういう企画をかつてはよくしたもので、そのことを思い出しながら、久々に歌を詠んでみたとのこと。 我々は、これを若草歌壇と称して楽しんでいたのであるが、いつしかこの企画は途絶え、最近はやらなくなってしまっている。 次の若草読書会は来月17日(日)の予定でヤカモチが万葉関連の話をすることになっているが、来年の読書会新年会では、万葉集や古今集などの歌を数首選定し、それに返歌または追和する歌を詠むというような企画をしてみるのも面白いかもしれない。 前置きが長くなりました。 彼女からのメールに添付されていたのは下掲の3点の写真であります。(メール添付写真1)(メール添付写真2)夕立の晴れ行く空の雲間より入日涼しき露の玉笹 (後鳥羽院) 返しギラギラと焼けつく日々のそのかなたごとばんさんは金色の波 (リチ女) 「ごとばんさん」というのは後鳥羽院のこと。 隠岐に流され都へ帰ること叶わぬまま島で生涯を閉じられた後鳥羽院を、隠岐の島民は親しみを込めて「ごとばんさん」と呼んでいるとのこと。<参考>ごとばんさん/ないものはない海士町公式note ヤカモチも追和して歌を詠んでみるか。我こそはにせ家持よ君に和す返しの歌は心して詠め (偐家持)(本歌)我こそは新じま守よ沖の海のあらき浪かぜ心してふけ (後鳥羽院)銀輪の旅もいつしか秋なかば消えゆく露にも月さやに照れ (偐家持)(本歌)旅の空秋のなかばをかぞふれば答へ顔にも月ぞさやけき (後鳥羽院)(メール添付写真3・菱浦港フェリーターミナル内展示風景) 「ごとばんさん芸術文化祭」については下記サイトをご参照ください。<参考>2024年ごとばんさん芸術文化祭 後鳥羽院の生涯については、上記サイトの「about」をクリックしていただくと詳しく紹介されています。 なお、後鳥羽院の歌についての評論では下掲の本がお薦めです。 50年以上も前(1973年4月出版)の著作ですが、その30年後の2004年9月に三篇からなる第二部を加えた「後鳥羽院第二版」が出版されている。更にその9年後の2013年3月に文庫版が出版されているが、この文庫版をヤカモチは読んだのであるから、それは11年前ということになる。(丸谷才一「後鳥羽院」<ちくま学芸文庫>)<追記訂正:2024.10.26.12:56>上記後鳥羽院の歌の「秋の」が重複していましたので二字削除訂正しました。