楯野川と上喜元遠征
s先日ささやかな忘年会を眞喰櫓料理(まぐろりょうり)一本さんでしました。いつも、まるごと山形の数少ないお客様としてご利用いただいております。本当に本当にありがとうございます!ひょんなところから店長笹原さんから蔵に行きたいという話があり、山形県酒田市の楯の川酒造さんと上喜元でおなじみの酒田酒造さんへおうかがいしました。楯の川さんの蒸米が出来上がる時間は、午前7:30。その時間に間に合うためには、山形市を午前4:30に出発しなければなりません。幸い1週間前に降った雪は路面からなくなり、時間通りに到着できました。蒸しあがり前の甑(こしき)湯気がもうもうと立ち込めています。本日の蒸しあがりは2種類、40%の山田錦と55%の出羽燦々です。山田錦は酒母(しゅぼ)の掛け米として使用します。大吟醸を仕込むための酒母となる蒸米。手でほぐし、晒(さらし)にしいてほぐします。立ち込める湯気が寒さを物語っています。出羽燦々は3段仕込の2回目の仕込、仲仕込の掛け米として使われます。出来上がった酒の酵母などを殺菌するのが、火入れ作業。楯の川では、全て瓶火入れを行っています。手間と保管スペースが必要な瓶火入れ貯蔵ですが、酒質の安定と、急温急冷ができる理にかなったやり方です。瓶火入れの脇には今大人気の子宝用に増設された熱交換機やラベラーなどがあります。これからパストライザーという瓶火入れ、急冷を行う機械も導入されるようです。恐るべし子宝。山形の果物たちをこんなにすばらしい形に変えてくれています。3種類をきき酒させてもらいました。我が社でも定番で扱っている3種類の今年度新酒生酒です。左から吟醸仕込清流、中取り純米美山錦、中取り純米出羽燦々です。清流は飲み口よく、わかりやすいはっきりとした香りとキレ、香りは少なめ美山はサッパリと食中酒向き、出羽燦々はふくよかなバニラの香りと旨みがあるそんな3本。コストパフォーマンスが抜群にいいのはすばらしい!全て1800mlでも2500円以下。しかも清流は2000円!!脱帽です。1月に入って子宝のテレビ取材がある模様。「若いうちは甘いリキュールで、いずれは日本酒を飲むようになってほしい。 そんなときは、飲んだことのあるリキュールを造っている蔵元”楯野川”を選んでほしい」そんな願いが込められています。リキュールが日本酒をしのぐ勢いで伸びている楯野川ですが、日本酒離れやお酒離れが深刻な昨今において、今までになかった取り組みとチャレンジをしている酒蔵です。大いに楽しみな楯野川でした。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~途中「産直たわわ」によって鳥海高原ヨーグルトを購入。これが旨いんです。子宝鳥海山麓ヨーグルトの原料にもなっているヨーグルト。最高に旨い!!~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~車で走ること20分。上喜元を醸す蔵元酒田酒造に到着。周辺には映画「おくりびと」のロケ地が点在。NKエージェントや港座がありました。蔵に入ると佐藤正一社長が出迎えてくれました。「居酒屋さんが頑張ってくれれば、我々の仕事も増えるからぜひ頑張ってください!」とエールを受け、蔵の中へ。相変わらず活気のある蔵です。この日は午後に屋根の補修があるため、蒸米の蒸しあがり引き込み後、即明日の洗米と吸水を行っていました。室では引き込んだばかりの山田錦55%の麹米、そして2日目になる麹を見せてもらいました。総はぜに見える麹ですが、手にとって見るとパラパラと7~8割方白くなっています。もと場~仕込蔵へ。仕込蔵では様々なもろみの状態のものを店長が試飲させていただきました。その後は3種類の試飲。お燗純米、純米出羽の里、特別純米夢錦の3本です。お燗純米は味がサッパリ酸味がありながら、ふくらみもあるタイプ、出羽の里は酸味と爽快感、夢錦は複雑な旨みがたっぷりのタイプでした。いやはや食中酒にしてもぴったり、しかもぐいぐいいけそうな3本です。しかもこれまた安い!全て2600円以下。出羽の里にいたっては1990円!すばらしい。20種類以上の酒米を使いこなす上喜元のすばらしさと酒造りの旨さの秘訣は、その時々の臨機応変さにありました。正一社長いわく、「今年は米が溶けやすいのであえて蒸した米を半日さらしてから仕込に使う」とのこと。キレイに、そして旨みを持たせて仕上げる妙技をここに見た気がします。また吸水時間も秒単位。この日の米の吸水(種類は忘れました・・・)は9分20秒とのこと。うーんこれもまたすごい。昨年のデータは参考になるがあてにならない。今年の米で吸水の同様の工程を10kgづつ何度も何度も繰り返すことで、より良い吸水歩合を見つけるのだということ。学ぶことが多いものです。毎年米の出来は違いますからね。さすがです。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ということで2蔵にお邪魔し、昼ごはんを酒田の魚屋富重で食べました。たらふく食べて大満足。そんなこんなで帰路に。笹原店長は夜勤明けそのまま連れ出してしまったため、お疲れのご様子でした。申し訳ございません。でも、とても貴重な体験と酒造りを少し垣間見ることができたのではないかと思います。これからが酒造りの最盛期。しびれるような寒さの中、酒造りに取り組む蔵元に頭が下がる想いです。