やすくんのエッセー

[創造性・教育] カテゴリの記事

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• 才能の公共性

  才能はその人のものであって　その人のものではない。才能は確かにその人のものではあるが公共のために役立たせるものであるという発想も必要である。各家は家主のものだけど家主の希望だけを通してはいい町並みはできない。いい町並みをつくることは　家主の希望が制限されるけど町並みがよくなることで　家の価値はあがる。日本では　家における場合、私有性が強調され、公共性はほとんど考慮されずごく限られた環境でしか特徴的な町並みが存在しない。才能も同じである。個人の希望だけで才能を消費していてはいい社会はできない。いい社会をつくることは　個人の希望が制限されるけど社会がよくなることで　個人の環境はよくなる。才能の私有性が強調され公共性が考慮されないとみんなが才能を生かすことのできるよい社会は生まれない。

  2006.02.25

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• 自分の経験には限りがあるから本を読む

  今の世の中は長い歴史の上に成り立っている。本を読まず自分の経験に頼ればいいという人はこの長い歴史を無駄にしていると言ってもいい。確かにその人が生きて行くには自分の経験だけに頼れば　それでかまわないかもしれない。しかし、社会に対して新しい貢献をしようと思うとまたは　その分野でトップになろうと思うと社会が進めば進むほど　先人の教えをいかに生かすかが問題になる。いかに効率よく　自分のものにするか。そのために必要なものが　本である。根拠のないまま結論だけ書いたノウハウ本はあまり意味がない。ある目的に役にたつように最適化されているものは応用が効かない。先人の失敗したドラマを読めば自分が何をしてはいけないかを学ぶことができる。まるで自分が体験したように。実際に体験すれば数十年かかるようなことも１日で読んで疑似体験できる。もちろん　実際の体験が大切であることはいうまでもないが本を速読して吸収することを軽視してはいけない。

  2006.02.20

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• 受験のための勉強が大学生の学力を低下させる

  大学生の学力低下の原因を、信濃毎日新聞の「教育を読む」の欄で佐藤学東大教授が解説していた。　すでに受験競争は終わっている。受験生によって大学が選択される時代になってきた。　生徒たちが学びから逃避している。わが国の中学生の校外学習時間は世界で最低レベル。　学習指導要領が改訂されるたび教材を削減し、教育内容のレベルダウンをくりかえしてきた。　高校の教育課程において選択科目が大幅に拡大した。　一人でも多くの受験生を獲得するために試験科目を最小限にし試験の内容を平易化する傾向を強めている。「勉強しないと大学にはいれない」という言葉が現実感をもたなくなってきたと私は思う。つまり「学ぶことは受験のために必要」は常識ではなくなっている。確かに今でも、いい大学にはいるためには勉強をしなければならない。しかし、受験のために勉強をがんばってきた人は、大学にはいってからは目標を失う場合が多い。受験は勉強のほんとうの動機にはならないと思う。受験が勉強の動機にならない現在、何のために勉強するかが問われている。受験のための勉強を意識するから学力が低下してしまう。これからの自分に必要な勉強を心がければ学力の低下は抑えられるだろう。

  2006.02.18

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• 文章力を軽視するなかれ

  リーダーにとって「たかが文章」とあなどることは許されない。文章を書くと言うことは、その人物の日常の過ごし方、仕事の進め方、心のありようを映す鏡であるからだ。心のゆがみは、文章のどこかに現れるもの、つまり文章を書くということは、その人の生き方と密接に連動しているということなのだ。ビジョンを示し部下の士気を喚起しなければならないリーダーにとって 文章一つにしても、こうした気構えがなければ人を説得することはできない。「文は人なり」「文は心である」と認識すべきである。文章を書くということは　単に書くことではない。文章を書く技術をマスターすれば企画力がアップされ、スピーチの腕も上がるのである。主題のつかみ方がはやくなり、話の要点も理解されるしキーワードも容易に駆使できるのだ。たとえば、アブラハム・リンカーン大統領が１８６３年１１月に行った有名なゲティスバーグの演説は次のように語りだしている。「８７年前、われわれの父たちは、 自由という理念によって打ち立てられた国家、　そして、すべての人は生まれながらに平等である という理念に捧げられた新国家をこの大陸に建設した」リンカーンはさらに、この短いスピーチの最後に歴史に残る名文句を用意した。「神の下にこの国家は、 自由の新たなる誕生をもたらさなければならない。　人民の、人民による、人民のための政治が、 この地上から決して消滅することはない」言うまでもなく、素晴らしいイントロと素晴らしい結びである。主題がはっきりと示され、しかも人の心を打つキーワードが使われている。だが、このスピーチは一朝一夕になったものではないことが肝心なのだ。リンカーンは日頃からスピーチの下書きは秘書官任せにせず、自らペンをとって推敲していたのである。特に書き出しと締めくくりには注意を払い要所要所のキーワードにも力を注いだそうだ。こうした積み重ねがあればこそ、ゲティスバーグのスピーチが誕生したのである。文章を書くということを会得しなければ、とても名スピーチは生まれてこないのである。 タイトルが決まり、サブタイトルも用意され、各章ごとの小タイトルが決まれば、半分仕事が終わったようなものだ。したがって書くことばかり全力を挙げるのではなく実はこうしたコンテ作りに時間の半分をかけるべきだ。大宅壮一の言葉である。出典：飯塚昭男著　ＷＥＤＧＥ２０００年１０月号日記やブログに書かれている文章を読んだときに私が魅力を感じるのは文章の言い回しがうまいというものより中身がおもしろいものだ。文章の構成や中身というのは書き手の日常を反映するものだと思う。おもしろい文章を書いている人と話してみるとやっぱり魅力的だなと感じることが多い。

  2006.02.09

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• 史上空前の論文捏造

  ＮＨＫが制作した「史上空前の論文捏造」。この番組は村松秀ディレクターによる丹念な取材に基づいてまとめられた力作であり数々の受賞をしている。昨年放送されたものだが２２日の晩に総合テレビで再放送された。この番組は、アメリカ・ベル研究所に所属し、ネイチャーやサイエンスに計１６本もの論文を掲載してノーベル物理学賞受賞も確実視されていた天才若手物理学者ヘンドリック・シェーンによる、空前規模の論文捏造の真相を丹念に取材したものだ。捏造を犯した者の問題もさることながら、そうした捏造を許し、告発できなかった科学界の構造的な問題点を数十人におよぶインタビューなどを元に紐解いている。一度捏造に手をそめてしまうと画期的な成果を期待されて次から次へと捏造を重ねてしまう。捏造した研究者のまわりも一度捏造した論文を出してしまうと捏造と認めたくない雰囲気ができあがる。恋愛コミュニケーション天女さんが取り上げているＥＳ細胞論文は捏造とソウル大黄教授辞職へも同じような問題であり論文捏造がめずらしくないことがわかる。チェックするしくみがあるはずなのに実際には機能していない。専門は細分化されその論文を評価できる専門家はわずかしかいない。仮に専門家が疑わしいと思ったとしても論文を捏造だと決めつけることはできず疑惑のまま捏造した論文が掲載されてしまう。捏造論文が掲載されるとその真偽を確かめるために多くの研究者が追試を試み多くの研究資金と時間が無駄になってしまう。社会的損失はかなり大きい。

  2005.12.22

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• 漂う“ポスドク”１万人

  研究の世界に「流動化」の波が押し寄せている。科学技術政策の指針となる「科学技術基本計画」は、人の入れ替わりを盛んにすることで研究は活性化する、とうたい、流動化を奨励した。教授のイスに「任期」をつける大学が現れる一方で、３０代半ばになっても定職が見つからない博士たちが大量に生まれている。長い間、終身雇用を前提に動いてきた日本の大学や研究機関が直面する、流動化の理想と現実を取材した。毎日新聞の特集　理系白書’０５　第３部　流動化の時代にこのような記事が掲載された。http://www.mainichi-msn.co.jp/science/rikei/news/20051102ddm016070133000c.htmlポスドクは博士号を取得した後、大学の助手や研究所研究員など常勤（終身）の職についていない研究者を指す。政府は第１期科学技術基本計画（９６～００年度）で、研究を推進する貴重な人材として若いポスドクの量産を目指し、「ポストドクター等１万人支援計画」を打ち出した。大学や研究所、民間企業などで３～５年の任期で働く若手研究者に、公的資金で一定の年収を保証するシステムで、研究現場の人手不足も追い風となり、ポスドクの数は急増した。背景には、博士号取得者の増加がある。大学院の重点化政策で定員が２倍に増え、大学院に進学する学生が増えた。博士号取得者は０２年度には年間約１万４５００人に上り、９２年に比べて倍増した。文科省で人材政策に携わってきた有本建男・内閣府経済社会総合研究所統括政策研究官は「ポスドクの増加が原動力となって、　日本発の論文・特許が質量ともにレベルアップした。　一方、任期満了後の進路に明確な方針を示していなかったことが、　身分の不安定さにつながっている。　貴重な人材を活用する多様な進路を具体的に提示することが必要だ」と話す。小林信一・筑波大大学研究センター教授は次のように述べている。「ポスドク等１万人支援計画」は「科学技術創造立国」という掛け声の下、慌てて作られた政策だ。９６年には科学技術基本計画に盛り込まれ、国家目標になった。当時はプロジェクト研究が増えて新たな人手が必要になり、一方、行革で国立大や公的研究機関の定員が削られていた。１万人計画はいわば、人件費以外の資金を使って、実験の手足となる若手を雇える便利な方法だった。しかし、限られた時間で成果を出すために、論文にならない力仕事をどんどんさせ、終われば放り出すというひどい使われ方も増えた。自分のテーマを研究することさえ許されないポスドクもいる。そして直面するのが「３５歳の壁」。第２期の基本計画に「３０代半ばまでは流動的に」と書いてあるのを額面どおり受け取った研究機関が、公募の際「３５歳未満」という上限を設けたわけだ。ポスドクは研究活動のかなりの部分を支えており、数を減らせば、途端に研究は停滞する。一方で来年度以降には、大学の優れた研究に優先的に研究費を支援する「２１世紀ＣＯＥプログラム」が最終年度を迎え、任期切れで職を失った博士が大量に出て、対策が必要になる。学位をどんどん出してきた大学院は、一度反省すべきだ。博士自身も、研究だけでなく周辺の仕事まで視野を広げてキャリアを考えてほしい。しかし根源は政府の認識の甘さだ。「素晴らしい制度だ」と評価するだけで、十分な分析もなく、大学や研究機関の拡大志向を放置した。本来のポスドク政策とは「優れた若手研究者の武者修行の場」だったはずだ。ところが、研究費が増えて仕事も増えるから、人を増やせ、という論理が出てきて思考停止した感がある。とはいえ、若い人に頑張ってもらわなくちゃいけないことは確か。現状は博士を取ったら「後はお前たちの責任」という姿勢で、これはよくない。将来のために人材をどうするか、長期的な視点での再考が不可欠だ。ポスドクを使い捨てにしないための国の方策が問われていると思う。もし使い捨てにされれば、今後優秀な若者がポスドクになるのをためらうだろう。大学は少子化でポストが削減されておりポスドクが常勤の職を見つけるのは容易ではない。現在のところ国のプロジェクト研究費は多いので今後国家予算の削減にともない研究費も削減される可能性も高い。研究者冬の時代に向けて、どのような対策をとったらいいか効果的な方法がみあたらない。

  2005.11.09

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• 専門職大学院の成功の鍵

  大学院における人材養成機能は，1.研究者の養成2.高度で専門的な職業能力を有する人材の養成に大別される。我が国の社会においては、米国のプロフェッショナル・スクールのように高度専門職業人養成に特化した教育を行う大学院設置に対するニーズが必ずしも高くなく、結果として我が国の大学院は研究者の養成を中心とした発達を遂げてきた。大学院の中には、工学系や薬学系などの大学院修士課程のように、社会的需要や科学技術の進展に応じて、研究者養成より技術者等の実務家養成の比重が大きな割合を占めるようになってきたものもある。近年の科学技術の進展や急速な技術革新、社会経済の急激な変化と多様化、複雑化、高度化、グローバル化等を受け、大学院における社会的・国際的に通用する高度専門職業人養成に対する期待が急速に高まってきている。このような要求に応えて設置されたのが専門職大学院。内容としては1.国家資格等の職業資格と関連した分野 （例）法科大学院、会計大学院 2.社会的に特定の高度な職業能力を有する人材の養成が必要とされる分野 （例）公衆衛生・医療経営、公共政策（行政）など 3.国際的に共通の水準の人材養成が必要とされるような分野 （例）国際開発・協力、経営管理、技術経営、ファイナンス、知的財産など のようなものがある。これまでの大学院との違いは特定の研究課題についての研究を行わせ、その成果をまとめさせるという方法ではなく、体系的な授業を中心に教育を展開するというところである。国際水準の高度で実践的な教育を行い、社会経済の各分野で指導的な役割を果たし、国際的にも活躍できる人材を養成するためには事例研究，討論，現地調査，実習などの授業が中心となる。専門職大学院として最も知られているのが法科大学院である。法科大学院ができるときには法科大学院で理論と実務に関する専門教育を受けた者に受験資格を与え、新司法試験の合格率を50～70％以上に引き上げることを目指している、法学部卒業者だけでなく、他学部卒業生や社会人も入学できるということから多くの人が関心をもち中には仕事をやめて入学する人もいました。ところが、現実には、法科大学院を卒業しても、新司法試験に合格しなければ、裁判官、弁護士、検察官などの職に就くことはできず合格率が低そうなことから新司法試験合格に有利な法科大学院を選ぼうという動きになっている。こうした専門職大学院が成功するかどうかは専門職大学院の修了生となることで社会に出て職を選択する場合に有利になるかにかかっている。制度ができたばかりのときは専門職大学院を修了したからといって有利になるわけではない。専門職大学院修了生に実力があれば優遇しましょうというのが社会の見方になる。つまり専門職大学院においてどの程度ほんものの実力をつけられるかが鍵となる。どんなに専門家の先生をそろえても専門職大学院で学生にほんものの実力をつけさせられなければ評価されないのである。そうなるとほんものの実力とは何かという問題になる。専門職大学院の目的は高度で専門的な職業能力を有する人材の養成であるので専門知識を身につけることに力がおかれそうである。確かに社会は専門知識をもった人を必要としているのであるけれども課題設定力、問題解決力、コミュニケーション力をもっていることが前提となる。それらの力がないのに専門知識を身につけても不必要な人材のままである。専門職大学院の成功の鍵は課題設定力、問題解決力、コミュニケーション力をもった人材を輩出できるかにかかっている。

  2005.11.05

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• 教育はフィンランドに学ぼう　ヘイノネン氏のインタビュー

  オリ＝ペッカ・ヘイノネン氏は現在３７歳で、フィンランド国内最大のテレビ局の社長を務める。彼は２９歳で教育大臣に抜擢され、２００１年までは運輸通信大臣を務めた。 ヘイノネン氏のインタビューの内容である。 http://www.shinshu.co.jp/lensai/finland/fin61_65.html フィンランドは１９９０年代当初、日本とは比べ物にならないほどの大不況に見舞われた。しかし、現在は世界の競争力第２位に輝く国である。大不況に陥ったとき政府が行ったのは、フィンランドのほかの国にはない強さ、そして弱点を考えることであった。そしてたどり着いたのがＩＴ産業。既にＩＴ産業のいい地盤がフィンランドにはあったので、それをより一層伸ばすために、投資を惜しみなくすることに。そして同時に大学と産業、地域をつなぐネットワークを全国に築いていった。その一方、ほかの部分では徹底的に予算の切りつめを行った。それは企業、省庁であっても同じで、１番大切なものは何なのかと考える一方、厳しいリストラ、切り詰めを行っていった。そして一時は失業率が２０％以上にまで上がる。不況克服のため、次に必要だと考えたのはこの変化、改革を担う人材への投資。そのためには国民全体の教育水準を高めることが必至であった。その結果、９０年代以降、教育制度の改革が行われ、全ての人に高等教育の機会が与えられるように様々な制度が整えられていった。また、教育を担う教育者の質も高めるため、教育者の再教育も盛んに行われていった。もちろん支出をできるだけ抑える努力も忘れていない。そのなごりは現在でも残っている。例えば、義務教育の小中学校であっても、一部の教科を除いて、教科書の使いまわしが当たり前。一年、その教科書を使い終えたら次の学年の学生にそれを渡す。そのため、丁寧に教科書を使うことが要求される。もちろん、教科書を個人所有できないのは問題ではないかという意見もあるが、個人で持っていてもいずれは捨ててしまうことの多い教科書なので、こういう使い方もいいのではないかと思う。現在もフィンランドでは教育への投資は盛んに行われている。フィンランドのこれからの課題は、新しい技術の開発、製品化ということだけではなく、世界に商品を売る力をもっとつけることだという。「教育で大切なことは情報を与えることだけではない。　自分で考える力、問題解決能力、想像力、理解力、　適応力を養うことである。」 日本では国民全体の教育水準が高いことを生かして経済発展をしてきた。しかし、そのありがたさがわからず現在では国民全体の教育水準を高くすることより一部の人だけ教育水準を高めればいいという発想になっている。教育に関する支出を抑えようとするあまり全員に教育するのは無駄と考えてしまっているようだ。フィンランドを見習い、切り詰めるべきところと投資すべきところを間違えないようにする必要がある。教育によって伸びない人に投資をすることが無駄なのではなく投資しても伸びない人をつくりだしている教育に問題がある。

  2005.11.03

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• 知識そのものよりも知識の獲得法利用法を学ぶ

  いまの教育は知識偏重と言われる。「優等生が社会の役にたつとは限らない」と言われるのは「知識が豊かでも社会の役にはたたないことのが多い」と言うことだ。「知識を身につけても社会の役にたたないのだから　勉強なんかしなくてもいい」という人もいる。勉強を役にたたせる力が自分にないことが問題なのに役にたたないから勉強が無意味だとするのはおかしい。勉強とは、本来知識そのものを学ぶことだけではなく知識をどのように獲得するか得た知識をどのように利用するかを学ぶことも含まれる。与えられた知識だけを得るのでは時代の変化に応じて知識を得ることができない。また得られた知識の利用法を知らなければ役にたてることはむずかしい。勉強法はマニュアル化され参考書には知識が効率よく学べるように詳しい方法が書かれている。自分でどのように知識を身につけたらいいかを考える必要がないのでいくら勉強しても知識の獲得法は身につかない。また知識を利用して世の中の問題について考える機会がないので知識の利用法も身につかない。問題の解決には正解がない。試行錯誤の中でみつけるものなので時間もかかる。正解がなく時間がかかるものは知識を効率よく身につけることを目的とすると無駄な作業になってしまう。このような環境では知識の利用法は身につかない。

  2005.11.01

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• ショッピングモール・ハイスクール

  教育の格差化を進めようとする新自由主義の考え方が日本では主流になろうとしている。佐藤学氏は新自由主義がもたらす危険を次のように述べている。アメリカで１９８０年代半ばに『ショッピングモール・ハイスクール』という本がベストセラーになったことがある。個々のニーズを出発点として自由な選択を尊重する新自由主義の論理でいくと、学校のカリキュラムは恐ろしく多様化する。しかし、一人当たりの先生の授業コマ数は限られており子どもが履修するコマ数も限られている。その結果、学校は、お店がいっぱい並んだショッピングセンターと化す。教師の方は「いらはい、いらはい、こんないい商品がありますよ」と、手をかえ品をかえて生徒をひきつけようとする。一方生徒の方は、店から店へとふらふら歩き回って、ジャスト・ルッキング、ちょっと見るだけだ。能力のある子どもは品物を選ぶことができるかも知れないが、ふつうの子供達は安物ばかり掴まされて、おまけにクレジットまで背負ってしまう。こういう新自由主義にもとづくショッピングモール・ハイスクールでは、教師も子どもも居場所を失い、お互いのかかわりを失ってしまって、疲れ果ててしまう。ショッピングモールには疲れた人がたむろするゲームセンターがある。これがクラブ活動だ。教師も生徒もクラブ活動に熱心になる。クラブ活動にも熱心になれない生徒や教師たちは孤独を味わい、よるべなさを感じてショッピングモールの端にあるクリニックセンターでカウンセリングを受けることになり、やがては学校を去っていく。この本はきわめて卓越したメタファーで、新自由主義のレトリックが学校をどのように解体するか指摘したのだが、今まさにその通りのことが日本の学校に起ころうとしている。たいへんわかりやすい説明である。必修科目で構成されるカリキュラムよりも選択科目で構成されるカリキュラムのほうが自由に好きな科目がとれると好まれる傾向にある。教育をサービスという面でとらえればいいのかもしれない。これを学ぶことが必要だという科目を選択科目としてしまうと学校では授業をしているのに生徒は必要な授業を受けずに卒業してしまう。教育の責任という面は果たされていない。学校の生徒数が多い場合、全員に授業を提供する必修科目を用意することはたいへんだ。選択科目とすれば先生の数も少なくてすむ。必要な科目を提供はしているが生徒がとらなかっただけという言い訳も成り立つ。質の確保を放棄してコスト削減をはかっている。

  2005.10.15

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• 小グループによる教育

  教育改革と世界平和のために生涯を捧げた、ロバート・ハンフリー教授の教育改革論を紹介する。http://www.sweetnet.com/education.htm「人間の八つの特性を生かした教育」の中のひとつに「小グループを好む」というのがある。現在、ほとんどの学校において、ひとクラスの収容生徒数が多すぎる。そのために教師は一人一人の生徒に注意を払うことはとてもできませんし、生徒達は、ただ座って教師の言うことを聞いているだけで、授業に参加しているとは言えない。理想を言えば１５人前後のクラスが望ましい。たとえ３０人のクラスでも、各々の生徒の興味が満たされるようでなくてはならない。教育者である息子は、常に「それぞれの子どもがカリキュラムだ。」と言っている。教師の中には「一人の子どもでも救うことができたら、　教師として幸いだ。」というようなことを言っている人がいるが、息子は教師の卵達に「一人でも生徒を失うようなことがあれば、　教職を辞めることを考えるべきだ。」と教えている。つまり、カリキュラムは、生徒一人一人のレベルに合ったものでなければならない。もし、３０人の生徒のために一つのカリキュラムしか用意されていなかったとしたら、少なくとも２９人の生徒は高すぎるレベルか、低すぎるレベルの勉強を強いられ時間を無駄にしているわけだ。このような話を教師達にすると３０人の生徒、一人一人の面倒を見る時間など、とてもないという意見が必ずある。それには、教師が教室の前で、講義のようにしゃべり続ける時間を減らすことだ。そして、一人一人の創造力および想像力をフルに生かした授業をすることだ。子供達は、個人的に先生に注意を払ってもらっていると感じれば感じるほど、一生懸命勉強しよう、がんばろうという気持ちになるものだ。少人数授業は効果があがると言われているのに公教育のスリム化によって実現はかえって遠のくだろう。

  2005.10.14

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• 教育に格差をつける方向に進んでいる

  教育の格差化を一層スピードを上げて実施し徹底することを主張する人々が台頭としてきている。渡辺治氏は「いまなぜ教育基本法改正か？」において語っている。現在の教育体制ではエリートも先端技術の開発能力も育っていないことを不満とする新自由主義派の人々である。しつけ教育や道徳教育の徹底、奉仕活動の導入などによっていじめや不登校といった「教育荒廃」の解決を図るべきとする権威主義派の人々が主流に思われがちだが教育改革国民会議の主流はむしろ新自由主義派であるようだ。教育改革国民会議が最終答申を出した2000年12月には文部科学省は改正にかならずしも積極的でなかった。教育基本法改正により文部科学省の権限を拡大できると考えて積極的に推進する立場に転換した。教育基本法改正は、三つの勢力の考えを反映したものとなっている。第１の柱は、教育の格差化を一層スピードアップして進めることである（新自由主義派）。新自由主義派は、これまでの全員横並びの競争を、コスト的に過剰あるいは非効率であると判断している。そして新自由主義派は、公教育をスリム化し、先端技術の開発やエリート養成に重点投資すべきと主張している。第２の柱は、社会統合の破綻（青少年の凶悪犯罪の増加、いじめ、不登校など）に対処した、しつけ教育、道徳教育の強化、奉仕活動の義務化、問題児の排除などである（権威主義派）。第３の柱は、文科省の権限拡大である。文科省は、改正・教育基本法に「教育新興基本計画」の策定・実施を盛り込むことで、文科省の権限を一気に拡大しようと狙っている。この基本計画は、中長期の教育目標をきめるものであるが、他の基本法同様、関係審議会の議を経れば、国会審議を経ることなく、文科省が自由に策定することが可能なものになると見られる。このうち問題なのが教育の格差化をスピードアップして進めることである。学習指導要領の３割削減、義務教育の国庫負担の見直し（＝公教育のスリム化）、学区制の廃止による学校間競争と淘汰の促進、国立99大学の再編・淘汰（＝徹底した序列化、重点投資）などが実施、提案されている。佐藤学（教育学者）氏は公教育のスリム化を唱える人々の考えを次のようにまとめている。人間には生まれながらに能力の差異があるのだから無駄な金は使うなという論理ですね。資金は有効なところに投資せよと。現在の学校教育の内容は三割の子供にしかわからない、七割は理解できない。解りようがない七割の人間に難しい教育をする必要はないではないか、要するに、三割の有能な人間が社会を担い、後の七割の人間は有能な三割の人たちに支えられればいい。この論理で教育システムを二分すべきだと言う議論です。露骨な差別の論理ですが、受験体制から子供たちを解放してあげますよという語り方で登場したんです。斎藤貴男氏は、『機会不平等』（ブック・カタログへ）という本で、日本の財界、教育界のトップが優生思想―わからない子供に無理に教える必要はない―をあからさまに語る現実を明らかにしている。ちなみにこれは、わかる子とわからない子を、単なる個性の違いとして等しく扱おうというものではなく、両者を根本的に異なるものとして扱っていこう―そのような社会のあり方を　自然なものとして受け入れていこう―という考えである。新自由主義教育は二割のトップエリートによって国際競争をやって、後の八割はそこにパラサイトするような国を作ろうとしている。教育に格差をつけるという日本の将来に対して重要な政策が進められようとしているのにマスコミは関心もなく、抵抗する運動もない。日本の教育は画一的だという思い込みがあるが、日本ほど能力で子供を振り分けている国は存在していない。競争させればいい結果がでるという発想は、豊かな社会の発想ではない。このままでは日本はだめになってしまう。

  2005.10.13

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• “読書ゲーム”で本に夢中

  ゲームを通して、読書の習慣をつける塾に注目が集まる。読売新聞の企画　教育ルネサンス 読み解く力第９回目の「“読書ゲーム”で本に夢中」にとりあげられている。本や新聞を繰り返して読むよう言い聞かせてみたが、「本に興味がない子は、本も新聞も読む訳がない」という、当たり前の結論に行き着いた。 本を読ませて内容を要約する教室も始めた。「読む力は上がったが、すぐ飽きてしまう子がいる。　今の子は、テレビゲームなど刺激が多いから、　退屈だと思うと続けられない」そこで、「楽しませるにはゲームだ」と単なる遊びに終わらない内容を厳選した。「読書へのアニマシオン」という、子供たちを本に親しませるスペイン生まれの手法も参考にした。 登場人物になりきり、日記を書いて発表する。物語のある個所を講師がわざと違う内容で読み上げ、子供たちが間違い探しをする。２人１組で交互に詩を音読するゲーム。最後に読んだ人が負けというルールなので次はどこまで読めばいいのかなと考えながら読み進める。この記事の中にある「読書へのアニマシオン」について調べてみた。スペインのモンセラ・サルト氏の考案した読書教育法。「アニマシオン」というのは、スペイン語の活性化する、躍動するという動詞「アニマール」の名詞形である。創造的な遊びを通じて子どもの読む力を引き出していくこと、本を読みたい、という心が動き出すのを待って、楽しみとしての読書活動を行うというところに特徴がある。現在サルト氏の著作の翻訳「読書へのアニマシオン 75の作戦」（柏書房2001年）で、読書活動をもっと楽しくして、子どもの読む力考える力を引き出すための作戦が75種類紹介されている。基本的に１冊の本全部を読んで、読書を楽しめるよう考案された様々な作戦（知的に子供たちを刺激する創造的な「遊び」）を通して、個人の読書の質を高めて行く。この本の解釈はこうだ、ここはこう読む、といった決め付けは一切しないで、子供たちが自分の考えを自由に発言し表現するように導く。結果的に友達の発言を聞き合い、学び合う場が形成されるので、読書能力、思考力はもちろんのこと、表現力、コミュニケーション能力という総合的な知力を伸ばしていける。１．静かに考える沈黙の時間の確保。２．個人の解釈や意見の優先。３．その上で、同じ本を読んだという　　共通体験をもとにした集団の学び合いを行うこと。この３段階をきちんと踏むことが必要で本１冊全部を読んで１作戦のみ実施、１回だけで終わりの原則がある。本を読まない子が増えている。まったく本を読まない子でも本を読もうと思わせることが解決につながる。「読書へのアニマシオン」が学校でももっと取り入れられるといいと思う。

  2005.10.11

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• 国語軽視　“考えない”生活

  読解力向上は、国語への考え方を改めることから始める必要、読売新聞の企画　教育ルネサンス 読み解く力第１２回目の「国語軽視　“考えない”生活」にとりあげられている。解答の理由を尋ねると、『何となくそう思う』『勘で答えた』と言う生徒が増えている。読解力低下の根底に論理力や思考力の低下がある。書き方を教わる前に、自分の力で不思議だと思うこと、感動することだと口酸っぱく言っている。書き方さえ教われば文章はうまくなると思い込み、感じ方にも正解があると思い込んでいる大人たちの意識改革も必要だ。という先生の意見が述べられている。この２つの主張はまったく違う内容であり考えないと一緒にしてはいけないと思う。知には暗黙知と形式知がある。知っていても言葉にできない経験的な知を暗黙知。暗黙知を言葉や体系にした知を形式知。暗黙知を豊かにするためには好奇心をもって感じること。好奇心から不思議だと思い感動する。形式知を豊かにするためには論理力や思考力を鍛えて、言葉に表現できることが大切だ。考える作業は言葉が用いられるので何となくそう思うという暗黙知の段階にとどまらず言葉にできる必要がある。暗黙知を豊かにする教育と形式知も豊かにする教育は違うのであるから両方を意識して教育をしてほしい。

  2005.10.10

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• あいまいな文を拡大解釈するのが国語力か？

  小学校３年生の算数「あまり」のあるわり算を勉強する文章題の例が読売新聞の企画　教育ルネサンス　読み解く力第６回目の「社会で算数で「国語力」」にとりあげられている。２３個の箱を運ぶ仕事を頼まれました。車には１回に６個ずつ積むことができます。何回で運ぶことができますか。多くの生徒が最初は「３回」と答えた。理由を尋ねると、「６個ずつ」の「ずつ」から、１回に運ぶのは「必ず６個」と判断していたという。残り５個は「あまり」で、「運べなくても仕方がない」。 ４回目に運ぶ箱は５個でも構わないということに気付かせるのに必要なのは、生活実感に裏づけられた「国語力」だと先生たちは実感したという。私は、この話を読んで国語力のない子供たちだなとは思わなかった。むしろ悪い問題文の影響で子供たちがよい文章を書けなくなるのではないかと心配になった。「１回に６個ずつ積むことができます」という文は意味があいまいだ。この文を読んで「１回に６個ずつ積むことができますが　６個より少なくてもかまわない」という意味にとるのは拡大解釈ではないか？子供は素直である。わからないものを拡大解釈しない。「１回に６個まで積むことができます」というのが正確な表現であり誤解を生じる恐れのある「１回に６個ずつ積むことができます」を使うのが間違っているのではないだろうか。本来指導すべきなのは「１回に６個ずつ積むことができます」という文の拡大解釈をすることよりもこういう文は誤解を与えるから「１回に６個まで積むことができます」と書こうねだろう。誤解を与えやすい文を解読することを鍛えるよりも誤解を与えやすい文を書かない指導が大切だ。

  2005.10.08

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• 教科の枠超え「読解力」を養成

  教科の枠超え「読解力」を養成文科省、論理的思考を重視日経新聞にこんな記事が掲載された。文学的な文章を味わう指導に偏りがちだった「読解力」の定義を広げ、文章や資料、データを解釈し論理的に思考できる力を養成するため、国語だけでなくすべての教科や総合学習を活用していく方針を文部科学省が固めた。昨年末に公表されたＯＥＣＤ学習到達度調査（ＰＩＳＡ）で、論理的思考力を含む読解力の低下が明らかになったことを受けた対策で、文科省はこれからの時代に求められる読解力の養成には、教科の枠を超えた共通理解と取り組みが必要だとしている。PISA＝Programme for International Student Assessmentこの内容を補うものとして読売新聞の企画教育ルネサンスのコーナーに掲載されている読み解く力が参考になる。第１回目の「記述問題　お手上げ日本」では与えられた資料に基づいて自分の意見を述べるような欧米基準の具体的なテストに対して日本の今の国語教育を受けた子供たちが対応できなかった実例が示されている。欧米で重視されるのは自分の考えを論理的に組み立てたうえ、いかに分かりやすく表現するかであり実社会で役立つ表現技術を身につけるため、物語の分析や本の要約などを徹底的に行っているそうだ。これに対して、日本の国語は、情緒的な読みに偏り、技術を嫌う傾向があるとのこと。学校教育は社会で必要な能力を身につけさせるためにあるのだから欧米の国語教育のほうが妥当である。日本では、文学部がほとんどで言語やコミュニケーションに関する学部は少ない。したがって国語教育というと文学部的なものに偏ってしまっているのかもしれない。文学は心を豊かにしてくれるかもしれないが社会生活で文学が読めなくても困らない。しかし必要なことが報告できて報告内容を理解できないと社会生活が成り立たない。事実を正確に報告する力がなにより大切だ。さらにその事実から自分で考えて今後どうすべきかを判断し理由も表現できる力を育てることも必要だろう。

  2005.10.07

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• 学習する前後の自分を比較できる教育

  一生懸命学習すれば自分がどの程度の段階にあるかが気になるものだ。通常の教室における学習となるとまわりの人と自分を比較することになる。他人より優れている場合はやる気になるが自分には才能がないと思ってしまう場合も多い。すでにかなりの差がついてしまっている場合がんばってもできるような気がしないので能力の違いとあきらめてしまう。これでは何のための教育かわからない。努力したという成果が現われるためには学習する前の自分の状態と学習した後の自分の状態を比較できるとよい。たとえば学習する前に小テストを実施してから学習にはいり最後に再び同じ小テストを行う。通常小テストの結果はアップするはずであり学習の効果が確認できる。仮に学習効果があがらないとすれば小テストと学習そのものを見直す必要がある。英語の教育は競争が激しいのでトレーニング法としてこの方法が取り入れられているものがある。以前の自分と比較することによって他人と比較しなくなる。現在の競争相手に勝ったからといって将来何かいいことがあるわけではない。むしろ一緒に学習する相手を競争仲間として相手のいいところを吸収し、自分を高めて行くほうが将来のためになる。以前の自分と比較する教育は学習の雰囲気をよくし、効果を高める。

  2005.09.19

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• 高校では進路選択のための教育をしたらいい

  現在の日本ではほとんどの人が中学を卒業したら高校に進学する。中学の段階では将来を考えられなくても高校に進学してから考えればいいということになる。一方、高校を卒業すると様々な進路にわかれる。大学や専門学校に進学する人、就職する人。高校在学中に将来の進路を選択しなければならない。卒業後ほとんどの人が大学へ進学する場合でも大学は専門が分かれて教育されるので高校在学中に学びたい専門を選ばなければならない。ところが高校在学中に進路選択のための教育があるのだろうか？確かに大学の先生や社会で活躍している人を呼んで話を聞く機会はあるかもしれない。他人の仕事の話を聞くことによってその人の関連の仕事はイメージできるだろうけども自分からこんな仕事をしたいというイメージはわかない。仕事というのは社会の要求に応えてそれに対するお金を得ることだ。仕事のイメージがわかないのは社会の要求がよくわからないからという場合が多い。どのような産業があるか。それぞれの産業が世の中のニーズにどう答えているか。そこには科学技術がどうからんでいるのか。毎日製品を使っていても、まったく知らないことさえある。現状を把握できず、将来のために何を学ぶか将来どのような仕事をしたいかを判断できるとは思えない。

  2005.09.13

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• 松茸はとられる前に千人の股の下をくぐる

  こんなところに松茸はない、と思っている場所にあんがい松茸がある。ただし、「なさそうなところを探せばいいのだろう」と思って、砂漠や雑木林のなかを探しても見つからない。定説を疑いつつ、いつも「なにかおかしい」と気づく独特のカンが働かないと、松茸は見つからない。発明、発見も同じである。カンは夢中になって仕事に打ち込んでいないと働かない。自分のなかに咀嚼した知識がなかったり、研究の流れを知らなかったりすると、カンの働きようがない。つまり、生半可な研究生活を送っていたのでは、深い知識も得られなければ、カンも働かない。深い知識を持った人が、集中力を発揮して、死にもの狂いになって研究しているときにこそ新しい発見、発明に結びつくカンが働くものである。換言すれば、徹底して「守」を磨いた人にのみあるとき突然ひらめくような「破」の境地が訪れる。【西澤潤一「技術大国・日本の未来」朝日文庫1993】西澤潤一氏は、文字通り「独創開発」を信条とし、半導体や光電子工学の世界でそれを自ら実践してきた日本には珍しいタイプの研究者である。出版されてずいぶんになるが創造性を考える上で貴重な本だ。

  2005.09.12

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• 社会の要求に応える教育２コミュニケーション力をつける

  コミュニケーションにはいくつかの要素がある。そのいくつかの要素をバランスよく身につける必要がある。コミュニケーションで最初に重要なのは言葉によらないコミュニケーションだ。しっかり相手とかかわる姿勢を示さないといくら言葉を磨いてもコミュニケーションはうまくいかない。表情や声の調子などが大きく影響する。相手の目を見ること、ゆったりとしてゆっくり話すことが大切だ。あいさつはかかわる第一歩であり気持ちのいい挨拶は円滑なコミュニケーションをもたらす。挨拶運動は馬鹿にならない。次に聴くことだ。自分は相手の話を聴いているというサインを送らないと相手は聴いていると思ってくれない。うなずきやあいづち、オウム返しが大切だ。オウム返しでは聞き手として意味がないように思うかもしれない。話し手は意見を求めているのではなく話すことによって自分の考えを整理したいと思っていることが多いので、オウム返しが有効なのだ。そして伝えることだ。自分自身の意見や考えをしっかり伝えないと意思の疎通がうまくいかない。自己主張をすると人間関係が壊れるという考え方にとらわれて意思を伝えられない人も多い。一般的な話としてごまかさず自分の考えであることを明確にすることが大切だ。みんなが言ってるという言葉であいまいにすると信頼を失ってしまう。自己主張は相手の主張に勝とうとせずあくまで共感してもらおうと努力しないと受け入れてもらえない。

  2005.09.06

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• 社会の要求に応える教育１モチベーションを高める

  教育はこれまで知識を獲得することを目標として行われてきた。ところが、世の中の変化が激しくなると獲得した知識は時代遅れになることもある。知識をもっていることではなく知識をすばやく獲得できることが重要になる。上司に「君は○○について知っているかね」と聞かれたとき、その時点では知識がなかったとしても「明日までに簡単にまとめておきましょうか？」と答えて、次の日までに調べてまとめられたら「君はいろいろよく知ってるね」ということになるのである。知識を獲得するためには、知識の網がある程度なければいけない。まったく網のないところに新しい知識はかかってこない。ポイントを抑える力も大事である。何に使うかを予想して必要な情報をまとめなければ使いにくい。最も大事なことは知識を獲得することを楽しいと感じることである。仕事だからしかたなくという気持ちでは楽しくない。楽しくなければ精神的に重荷となり、続いていかない。モチベーションの力とは現在モチベーションが高いかどうかではなく自分のモチベーションを高められるかである。与えられた仕事というのは最初から楽しいかどうかわからない。その仕事の中に楽しみを見出していける力それがモチベーション力だろう。

  2005.08.27

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• ものをもつより自分の能力をもつことに価値を感じる社会

  昔はやすければ試しに買ってみようと思ったものも今は捨てるのがたいへんだから買うのをやめようと思う。現在は地球環境を守ることが重視されている。不要なものをつくらない、持たないことが大切だ。不要なものがまわらなくなれば　その分お金もまわらなくなる。地球環境を守ろうとすれば不要な流通は削減され一時的に不景気になる。ものを増やさずに景気回復するためにはサービスにお金を使う必要がある。 アメリカでは、全労働人口の７割がサービス産業に従事しており 金融や情報サービスの分野こそがアメリカ繁栄のいしずえになると考えられている。 これらの分野は世界の情報が集まってくるところが強いため日本が必ずしも強いとは言えない。日本に適したサービス産業を考える必要がある。お金を払ってもいいと思うサービスの中には教育がある。 教育によって自らの能力が向上するならば投資してもいいと思うだろう。 「ものを持っていること」より「能力をもっていること」が価値をもつようになれば、「ものを持つため」ではなく「能力を身につけるため」にお金を使うようになる。ものへの投資から教育への投資にかわるということである。教育とは多分野にわたる。必要とされる能力の種類が増えれば、必要とされる教育の分野も広がる。人の数が増えなくても、必要とされる能力の種類が増えれば教育によるお金のやりとりは増え、経済はよくなっていく。教育が盛んになれば人々の能力が高まり他の産業も盛んになっていく。

  2005.08.26

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• 創造性はまねから、個性は踏まれることからはじまる

  創造性を高めるために個性を大事にしようという傾向があるが私は間違っていると思う。麦踏というのを子供の頃に習った。晩秋に蒔かれた麦の芽を踏むことだ。麦は茎葉ばかりが成長すると根が発育しない。麦を踏み付けると茎葉の成長は一時止まるがその分根の発育が良くなり寒さに対して強くなる。この話は説得力のあるものでずっと私の心の中に残っている。個性も同じだろう。個性は踏まれることによってたくましくなる。大事に育ててはひ弱になって役にたたない。守破離という言葉が言われる。簡単に言うと「守」まねることによって基礎力をつける。「破」基礎力をつけることによって本質がみぬけるようになる。「離」本質をみぬく力を生かして創造する力をもつ。ということになるだろう。創造をする力をもつためには本質をみぬく力が必要で、本質をみぬく力のためには基礎力が必要だから基礎力をつけるために、まず「真似からはじめよ」ということだ。日本人の創造性は決して低くない。日本は真似上手といわれてきた。だからこそ日本はたくさんの新しいアイデアを生み出してきたのである。問題はそのアイデアを体系化できないところにある。体系化できなければ小さなアイデアに終わってしまう。体系化のためにはアイデアを言葉で表せることが大切である。言葉で表さないと他の人は理解してくれないしアイデアが広がっていかない。仮に個性を育ててもアイデアを言葉で表せるようにはならない。アイデアを言葉で表す力をつけるためには論理的思考を鍛える必要がある。

  2005.08.25

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• 才能の公共性

  才能はその人のものであってその人だけのものとはいえない。日本の家は、私有が強調され、公共性はほとんど考慮されない。確かに家は家主のものではあるが家主の希望だけを通していてはいい町並みはできない。日本では家主の希望を制限できないので特徴的な町並みは限られている。本当は町並みがよくなることで家の価値はあがるのであるから。私有が制限されても長い目で見れば家主に利益をもたらす。こうした私有と公共性の問題は才能についてもあてはまる。確かに才能はその人のものではあるが才能がある人の勝手にさせてしまっては社会全体がうまくいかない。才能を社会のために役立てるには「才能はたまたま自分に与えられたものであり　社会のために有効に活用する使命が与えられている」と考える必要がある。

  2005.08.21

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• 企画をする人の覚悟

  イベントを開催するからには盛り上がって欲しい。「たくさん人の意見を聞いて　みんなに参加してもらいやすくしよう。」こう考えるのは自然だ。しかし意見を聞けば批判もでる。その結果を集約するうちに最大公約数となり、最初の魅力は失われてしまう。主催者の質問に答えた一般人はイベントに対して責任をもっていない。「魅力があれば参加するけど　魅力がなければ参加しない。」と考えている。質問された人は今まで自分が経験したイベントを思い出して自分が過去におもしろいと思ったイベントを推薦する。仮にその通りにイベントを実施したとして、質問に答えた人は一度経験したイベントに魅力を感じるだろうか？同じようなイベントでは新鮮さがなくいいと思わないかもしれない。新しいイベントのイメージというのは企画者の頭の中にしかない。他の人に理解を得てもらうためにイベントを現実化するのであって他の人にイメージを理解してもらってからイベントをするのは不可能だ。企画者は確信のもてない中自らのイメージを信じて実施するしかない。企画を大きくすることは簡単だ。テクニックの問題の解決ですむ。しかし企画が面白いかどうかは企画をする人の意志と覚悟にかかっている。

  2005.08.19

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• 硬派のすすめ

  若い頃の　世俗的な栄誉や利益というのは異性にもてる　ことが大きなポイントとなる。異性にもてることを行動の規範としてしまったらものごとの本質を見失ってしまうような気がする。異性にもてるためだけに徹すると考え方が表面的になりやすい。基本から論理的に徹底して考えることは理屈っぽいと敬遠され単純に感じたことを述べたほうが共感が得られ異性にもてることにつながる。ものごとに興味をもち、探求することが好きであるのは大切だ。もてることばかりに気をとられ探求することによろこびを感じない人には本質が見えてこない。もてなくてもよいからとつきつめて考えることを続けるためには執念がなければならない。執念とは自分自身の内部からでる積極的なものであって根気強さのような何かに強いられた受け身のニュアンスとは違う。社会の風潮や流行とは関係なくこんなものが創れたらいいなと思う気持ちや欠乏しているものを求める気持ちを自分自身の中にもっていることが本質を探究する執念につながる。

  2005.08.18

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• スキルより大切なもの

  「スキルを身につけたほうがよい」という意識は世の中に浸透している。しかし、実際にはスキルを身につけても十分ではない。コンピテンシーを身につける必要がある。コンピテンシーとは行動特性、思考特性と訳されるものだ。ワードやエクセルが使える力というのはスキルである。確かにスキルがないと仕事に支障がでる。ワードやエクセルのスキルを身につけた人は仕事を頼まれてワードやエクセルを使うことができる。しかし、ワードやエクセルのスキルを持っていてもワードやエクセルを使って何をするかを考える力があるとは限らない。スキルを活用してどのように問題を解決していくかを考える力、それがコンピテンシーである。英語を不自由なく話せる力というのはスキルである。確かに英語を自由に操れれば有利である。でもそれだけで十分かというとそうではない。日本語ができても日本で仕事ができるとは限らないように英語ができても英語圏で仕事ができるとは限らない。言語が堪能であっても、文化を知らなければ国際的なコミュニケーションはうまくいかない。英語を活用してどのように考え、行動し、仕事をしていくかのコンピテンシーが大切である。「スキルを身につけるなら大学より専門学校のがいい」と言われる。確かにその通りであろう。専門学校ではスキルに特化しているため大学より効率的にスキルを身につけることができる。大学はコンピテンシーを伸ばすところに存在意味がある。世の中では、スキルを活用して問題を解決していく人材すなわちコンピテンシーに優れた人材が求められている。大学は、ただ卒業証書を出す機関としてでなくコンピテンシーを鍛えるという役割を果たす必要がある。大学がその役割を果たすならば社会人が入学しても十分価値のあるものになる。

  2005.08.16

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• 時間とともに変化するゴール

  学校での勉強と実社会の勉強の違いはゴールが時間とともに変化するかどうかではないだろうか。学校の勉強で身につける内容というものは時間とともにほとんど変化しない。普遍のものを勉強の対象として選んでいる。こういう環境では「時間をかけても完全に身につけたほうがよい」ということになる。内容が少なければますますこの傾向は顕著になり、完全に丸暗記したほうがいいとなる。学校の勉強のスペシャリストになると状況が時間的に変化することを忘れてしまう。もちろん同じようなことに対処するだけなら強みを発揮できる。丸暗記だとしても暗記したとおりに行動すればよいのだから。一方、実社会の勉強で身につける内容というものは時間とともに変化する。技術は日々進歩をとげているし、取り巻く社会状況も同じではない。こういう環境では「大事なポイントだけ時間をかけずに身につけたほうがよい」ということになる。時間をかけていたら把握したころには状況が変わってしまうからである。この場合、応用がきかない丸暗記では対応できない。変化をしたときに、その暗記がそのまま使えるかどうかその都度判断しなければならないので結局、原理原則を理解して、自ら判断できる力をつけたほうが有利になる。

  2005.08.05

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