こころに映るよしなしごと

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• 早起き出掛け人と静かなひととき

  気がつけば、もう５月も半ばを過ぎてしまった。時の経つのは速いものだ。朝晩のひんやりはいまだ続いているが、手袋が必要な風は無くなった。知らぬ間に花粉症の薬も不要になった。朝早く起きて、人気の無い街を歩き、職場近くのビルで静かなひとときを過ごす。博物館のはにわも静かにたたずんでいる。

  2011.05.16

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• 私を離さないで（カズオ・イシグロ）～春の夜の雨は静かに部屋で本を読むのに適しているということ

  連休明けの一週間は、平穏だが何かとささくれが立った日々だった。春寒は解消されず、雨が降ると肌寒さが増した。唯一、屋根を打つ遠い雨音を聞くともなしに聞きながら読書灯ひとつだけ点けた部屋で読む本は、スムーズに読める。映画を観たくなった。

  2011.05.13

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• 最近、昼にラーメンばっかり食べてんな

  今日はようやく気温が20度を越える予報の秋田県となった。だからというわけではないが、出張にでかける。秋田県の日本海側の最南端の象潟（現在は、にかほ市象潟）まで行く。天気はいいし、車は少ないし、仕事は思ったよりうまくいくしで、気分よく国道沿いのラーメン屋「トントンラーメン」に入って、ねぎ味噌ラーメンを食べる。何だか最近、昼飯にラーメン系ばかり食っているような気がする。でもまあいいや、冷たい水がうまい位、味噌ラーメンを堪能する。出張にでかけると、一日が速く過ぎる。秋田市に戻ってくると天気はいいがもう夕方だ。田植え前の水を張った水田に、近くの民家の明かりが映って、幻想的な光景が現れる。そんな短い期間にだけ味わえる風景が眼に心地良い。

  2011.05.12

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• ここ最近の朝御飯～こしあぶら味噌～

  隠れ家に行った際に買い求めてきた、熱々のご飯に載せて食べると美味しそうな「こしあぶら味噌」が最近の朝食の定番になっている。こしあぶら、なんて聞いたことも見たこともなかったが、どうやら山菜らしい。朝５時に起きて味噌汁と炊きたてのご飯と熱くて濃いお茶を準備して、こしあぶら味噌をご飯に載せて食べる。蕗味噌のようなくせがなく、控えめでちゃんとした味がする。そんなわけで、残り少なくなったけれど、食べきる頃には、気温が初夏と呼べるようになっていることだろう。朝早く起きて、ちゃんと朝御飯をゆっくり食べて、余った時間でお弁当を作ろう。

  2011.05.11

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• 寒いので今日は食堂で野菜たっぷりのタンメンを食べる

  不思議なくらいに寒い日々が続く。一月ほど前、節電で暖房がほとんど入っていなかった盛岡市の「危険」の張り紙のある建物で仕事をしていた時と何ら変わらない。仕方が無いので、職場のある雑居ビルの食堂に行って、人気のあるというタンメンを食べる。野菜が沢山入っているのは良かったが、月曜から金曜まで毎日タンメンを食べている男のアドバイスでごま油と辛味噌を入れてみたが、これが辛くて味があまりわからなかった。いずれにせよ、遅かれ早かれ、タンメンを食べると汗が出るような初夏がやってくるとは思うのだけれど、何かの影響で、ここ暫くはタンメン日和の寒雨が続くのかも知れない。

  2011.05.10

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• ひさしぶりに仕事再開、ひさしぶりにお弁当製作

  途中で日にちと曜日が分からなくなるくらいの長い休みが終わった。久しぶりに倉庫だった仕事部屋に行く。５月になっても寒々とした部屋は、来る猛暑を乗り越えられそうで頼もしい。早寝早起きになってしまったので、朝御飯を食べても時間があるので、スパムを炒めて、トーストを焼いて、スライスチーズとトマトを載せて、スパムサンドを作る。お弁当を食べた後、時間があるので、職場の周りを散歩する。桜は散って、店は潰れて、人通りも無い。夕方、帰り道で、暗闇の向こうから、蛙の鳴く声を今年初めて聞いた。

  2011.05.09

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• 隠れ家日記４　牡猫に　なつかれやむなく　頼みごと

  隠れ家には牡猫が二匹棲息しているが、そのうちの若くないほうになつかれる。気まぐれな猫になつかれるのは悪い気はしないが、未だに取り払われていない居間の掘り炬燵に座っているとその膝にあがり、くるっと丸くなって眠ってしまう。すると立って何かをすることができなくなってしまう。お茶を淹れてもらったり、新聞を取ってきてもらったり、原発反対の署名をしてもらったり、ボランティアの若者たちに大量の握り飯をふるまったり、オートバックスから買って来た音の出ない赤色灯を車の上に付けて、意味もなく辺りを走り回ったりすることもできないので、代わりに、新聞とお茶を頼んだりする。朝顔に釣瓶取られてもらい水

  2011.05.04

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• 隠れ家日記３の弐　弓道場

  ６　会　　詰め合い、そして、伸び合い、下足場の前に立つ。７　離れ　　ざらついた砂の感触と、UCLAの青い文字が、別事のように感じられ、気づくと言の葉を　記したものは、その中に入っていった。８　残心　　果たしてどう思ったのか、外履にはきかえて足早に過ぎていくその後姿からは、弓倒し　　し、物見を戻した身は、計り知れない。ただ、青い夏の空が広がっているだけである。

  2011.05.03

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• 隠れ家日記３　弓道場

  １　足踏み　　実際に足で測れば大した距離ではないことが分かるのだが、ここから見ると、とても到達　しないような気がした。だけど、切ない想いで的を見つめていると、自然と体が垂直に対峙　し、顔がその真先を捉え、足は扇形に落ち着いた。２　胴造り　　頭で昼な夜なに考えていたら、次第に体の中心にそれは下りて来、心気が丹田に収まっ　　た。３　弓構え　　熱い心を冷たい頭で掴み、夜明け前に、言の葉を見つけ、両の手で取懸けする。４　打起し　　あれほど沢山の想いが言葉となって降り積もっているのに、いざ、筆を持つと、わずかの　言葉しか手の中に残らないのはなぜだろう。次第に無心となる風情で書きつくる。５　引分け　　掌の中に残った言の葉を書き連ね、封をし、顔を上げると夜が明けてきた。水無月の中　　頃、既に夏のような気配だ。打ち出だす準備はできた。

  2011.05.03

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• 隠れ家日記２の弐　納豆餅も食べてみる

  訊いたところによると、この田楽茶屋の近くに、昔処刑場があり、処刑される前に田楽を食べさせたとかそうでないとか。よくわからない。しかし、死ぬ前に食べたいと思わせるお餅の味であることは確かだ。一人前では足りないので、納豆餅を一皿頼む。納豆はふつうだ。

  2011.05.02

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• 隠れ家日記２　どうやら哀しい歴史があるようだが美味しい田舎の田楽

  群れて、ひとりで、咲いている花を飽きもせずに眺めていたら、お腹がすいた。囲炉裏で、木串に刺して焼いている、昔ながらの田舎の田楽を食べに行く。田楽味噌もさることながら、餅が柔らかくて、脳から脊髄を通って全身にその快感が走る。余り考えたことは無いが、「死ぬ時に何かひとつ食べてよいと言われたら、少なくとも今はこの餅が食べたいと答えるだろう。」と思う。何の変哲もない番茶を飲みながら、少し塩っぱい田楽を黙々と食べる。しかし、一人前では少し足りないような気がする。

  2011.05.02

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• 隠れ家日記　群れで咲く桜のひとつひとつ咲く

  支那そばを食べたので、腹がくちくなり、隠れ家近くの黒々とした畑の傍らに咲く桜の木を眺める。時折、五月とは思えぬひんやりとした風が吹いて、風が桜色に流れる。ここに来て止まった人間の回転軸に少し遅れて、周りの時間軸も、ディレイして回転を止めた。

  2011.05.01

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• 久しぶりの支那そば中華

  久しぶりに隠れ家に行く。世の中の人は出かけるのを自粛しているからか、人気が無い。久しぶりに「支那そば」中華を食べる。これで内容・場所・状況は違えども、三日間連続でお昼に中華そばを食べている。明日から橘薫る皐月の空の五月メイなのに、何だか肌寒い。温かいラーメンが心に沁みる。

  2011.04.30

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• キタナシュラン中華～叉焼やわらか～

  所用でとある学校に行きました。午前中に会議や打ち合わせが４本、午後の会議では議長をやることになりました。警察署の取調べではカツ丼、学校でのお昼と言えば出前のラーメンと決まっています。他の方々は学校が取りまとめた変わり映えの無い箱弁をもそもそと食べています。学校に行く途中の店舗で、「この辺りで出前をしてくれる店は無いか、できればラーメンが食べたいのだが。」と訊いたところ、「テレビに出るような店（つまりキタナシュラン）なら知っているが、店もそうだが味は保証する。」とのことだったので、その店までの地図を書いてもらい行ってみました。なるほど、正真正銘の「テレビに出るような店」で、「テレビに出るようなおやじ」が出てきて、こちらの要望を快く聞いてくれました。学校での会議なので、例によって例の如く、予定時間を実際より長く設定してるため、30分も遅れて午前の会議が終わり、律儀に出前されたラーメンは半時分のびていました。だけど、麺、スープともに遜色はなく、叉焼に至っては、柔らかく、☆三つをあげましょう。皆さんも、学校や官公庁等で会議があった場合、是非とも箱弁などで妥協せず、無断で、近隣の「テレビに出るような」ラーメン屋さんから出前を取ってみては如何でしょうか。

  2011.04.29

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• カレー中華

  気分を変えて、食堂に行く。食堂の食券売り場で食券を買う。まるで、かつてのデパートの最上階の「大食堂」のように、厚紙で作った食券を二つに?ぎり、半券を受け取る。カレー中華を食べながら、時にインドの情勢を、時に中国の民主化と経済と情報について考えをめぐらせ、久しぶりに汗をかいて、中国とインドが混ざり合ったスープを飲み干す。青森県黒石市のつゆやきそば（中華そばのスープにやきそばが入っている）を食べた時以来の、ダブルイニシアティヴな食感に包まれる。おそらく、その時周りに居た数十人の誰も、カレー中華を頼んでいなかった。中国四千年の摩訶不思議と、印度沙羅双樹の安寧を知るがよい。

  2011.04.28

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• 雨降りだからロシアンティでも飲もうか

  寒い春が過ぎて、桜の話もちらほらとみちのくの街角に出始めたが、寒の戻りのような、すこしだけ冷たい雨が降る。移動した先の一室の大きな窓から、秋田市内の建物と遠くの山々がよく見える。雨の朝は、町全体が煙っているようだ。そんな時は、体と心の温かさを失わないように、ロシアンティでも飲んで、一息つけばいい。

  2011.04.27

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• 知らないうちに桜は雨に咲いていた

  春の雨は優しいはずなのに（小椋佳）、冷たい雨が降っている（吉田拓郎）。雨が空から降れば（小室等）、雨の物語（イルカ）を思い出す。傘をあげて、ふと見上げれば、桜が咲いている。インダストリアの暗い建物が霞む雨の中、静かに桜が咲いている。集団で咲いている桜の、ひとつひとつの花を見るのが好きだ。

  2011.04.26

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• ハハヒヒフヘホ、カレー。みんな大好きハヒフホッ　カレー

  カレーは美味しい。家で、材料とルーを買って来て、圧力鍋で肉と大切りの野菜を煮詰めてから、ルーを入れてゆっくり煮込んだカレーをその日は食べずに一晩寝かせて翌日食べるカレーも美味しい。いろいろと面倒だったりしてカレー屋に行ってお気軽に注文して食べるカレーも美味しい。なんだかんだといろいろ言われたりするかもしれないけれど、新宿紀伊国屋書店の地下のカレーだって匂いだけというわけでもなかったりするし、蕎麦屋のそば粉を使ったもっちりしたカレーだって捨て難い。だから、チェーン店のフィッシュフライカレーのご飯はふつうの辛２にゆで卵トッピングだって、勿論美味しいのだ。たまに食べると、どうしてこんなに美味しいんだろう。

  2011.04.17

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• ふたたびイーハトーヴ「さらばモーリオ、開運橋を見下ろすホテル」

  ふたたびのイーハトーブでの仕事が終わった。今回のホテルは川沿いで窓下には開運橋が見えた。前回のホテルより朝食が良かったけれど、なんだか、シーズンオフのリゾートホテルにひとりで滞在しているような自由な寂しさを感じた。窓を開けると、朝には、こんな景色が見えたよ。みたびのイーハトーヴは、もっと厳しいものになるような予感がした。

  2011.04.16

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• ふたたびイーハトーヴ「議員会館食堂のきつねうどん、ご飯付」

  陸上自衛隊弘前連隊の駐屯に守られた議員会館の中に食堂があるという情報を得て、ひとり、食べに行った。昼時をすぎていたからなのか、人気はなく、入口の受付の女性がスリッパを出してくれた。食堂はこじんまりとしていて、きつねうどんを頼んだ。テレビの前の「議員席」に座って、震災情報の入った連続ドラマを見ながらきつねうどんを食べた。ごはんもついてきた。

  2011.04.15

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• ふたたびイーハトーヴヘ「初めて会ったのに中学の同級生のような」

  人の縁とは不思議なもので、初めて会ったのに、まるで中学時代の同級生の女の子と錯覚するようなそんな気がすることがある。童話の街、盛岡で、まるで宮沢賢治の童話のような「どっどどう、どどう」風が吹いた日、仕事の関係で会った人が、そうだった。そんなわけで喋って、飲んで、笑って、楽しい時を過ごした。２次会でカーペンターズを歌って、調子に乗って肩を軽く叩いたら、その華奢な体に気づいて、少し寡黙になった。だけど、次の日の昼飯では、また喋り続けだった。できればもっといろいろ話をしたいものだ。また、会おうぜ。

  2011.04.14

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• ふたたびイーハトーブへ「雄大な岩手山」

  盛岡の街中では、高いビルに邪魔されなければ、大体、岩手山を見つけることができる。富士山とか、東京タワーとか、北斗七星とか、バベルの塔とか、まあそういったものと同じなのだろう。いろいろ大騒ぎをしているけれど、いつも黙って座っているんだなあ。

  2011.04.13

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• ふたたびイーハトーヴへ「どこかで見たような岩手県公会堂のたたずまい」

  盛岡市内には古い建物が震災にも遭わずに残っている。昔の東京駅のような岩手銀行本店の建物や、どこか学生時代に見たことがあるような、岩手県公会堂の建物など。この公会堂は歴史的建造物だけれども今でも現役で、ミュージシャンのコンサートに使われたり、地下の食堂は普通に営業していたりする。バス停の向こうの公会堂を眺めながら、何だか学生に戻ったような錯覚に襲われる。ここは盛岡で、時は既に２１世紀を少し過ぎているのだけれども。

  2011.04.12

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• ふたたびイーハトーヴへ spring has come whenever

  岩手の地へふたたび。一週間ぶりに降り立った盛岡市は、こころなしか光が強くなったような気がする。川沿いのホテルから見下ろす街の様子は、何だか、勝鬨橋から眺めた、夕暮れの東京の下町のように、優しく、柔らかく、光に包まれていた。吉田拓郎の「隠恋慕」を思い出して、ふと口ずさむ。どんな時でもどんなところにでも、公平に春はやってくる。

  2011.04.11

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• 明日から再びのイーハトーヴ岩手へ

  明日から暫く、再び岩手に赴くことになった。果たしてどんなことがあるのか、とんと見当がつかない。どんなことがあっても、そんなこともあろうかと思うのかも知れない。群れから離れて、一羽だけ佇んでいる、白鳥の足元の静かな波紋を見る。

  2011.04.10

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• シベリア行きの風はまだ来ないのか白鳥たちよ

  数十年前に、杉並区の高円寺図書館の暗い部屋で正宗白鳥全集を読んでいた。秋田の湖沼には、北帰行の団体に乗り遅れたのか、数羽の白鳥が水面に佇んでいた。花粉症を悩ますような春の暖かい花曇の空の下。また再び、旅にでなくてはならなくなった。

  2011.04.09

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• そうは言っても時は太平季節は春、桜に登るは眠り猫

  東北も大分暖かくなってきたのというのに、寒がりが夜中にまた震えた。震えただけでなく、真っ暗になった。真っ暗になったので、仕方なく、みんな震えながら眠った。数日前に開花したかと思えば、霞むような上野の森の桜の雲の下、眠り猫が惰眠を貪っている。誰がなんと言おうか、誰が何に二度三度四度となろうが、ぐるりと回って春は静かに訪れる。

  2011.04.08

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• 空にペーパームーン

  今の職場は倉庫のように底冷えするので、外は晴れて暖かくてもセーターを羽織ったりしている。夜になって月が光りだすと、薄い銀の船のようなペーパームーンが浮かぶ。岩手に行っていた先週は、ちょうど新月になったころだったのだと気づく。体内に水を湛える生き物は、月の重力加減によって潮の満ち干のように影響を受ける。だから今週は底から上がってくるように次第に元気になってきたのかもしれない。ペーパームーンの上には、まるで書割の背景にぶら下がった塗り残しのある月の模型のように、うっすらと月の全景が浮かんでいる。そんな不器用な様が自然だったりする。

  2011.04.06

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• 岩手からようやく戻ると、そこは浦島太郎

  一週間滞在した岩手からようやく戻ってみると、経費節減だか何だか知らないが前の職場は無くなっており、無表情なビルの無感覚な部屋の中に大人数が詰め込まれて仕事をすることになっていた。前の職場の荷物は無造作に箱詰めされ積み上げられ、ロッカーはドアが半分しか開かない。文句を言って変るものでもないので黙っている。前の職場でよく酒を飲んだりギターを弾いたりした人なども居なくなっていた。春になったからだろうと納得させようとしたが、秋田市は吹雪の天気に変わった。この先どうなっていくのか見当がつかないが、一週間なのか50年なのかわからない空白を持て余して、まるで山のこだまを聞くかのようにメールを打ってみたりする。街を少し外れると、黒い土の上を籾殻でも燃やしたのか白い煙がゆっくりと棚引いている。それを見ていれば何にも変わっていないような気がする。

  2011.04.04

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• イーハトーヴの土産　グスコーブドリの伝記

  盛岡駅の新幹線改札までの空間は閑散としていた。ここから北へ西へ東へそして南へとどこへでも行けるはずなのに、行き場の無い空気がぐるぐると渦を巻いているようだ。土産を買うような気にもならず、さりとて何も持たずに帰るのも忍びなく、駅構内の書店で、宮沢賢治の本（漫画本だけど）「グスコーブドリの伝記」を買う。切なくなって、本を閉じる。

  2011.04.02

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• さよならイーハトーヴ　傷ついた日本の郷愁モーリオ

  盛岡での仕事が一段落したので帰ることとする。仕事帰りに歩いた街中は、黒服を着た高校生のような若者とボランティア帰りのような陽気な若者が酒を飲んで気勢をあげているぐらいで、それ以外の大人はあまり見かけなかった。食事を取った居酒屋も、何だか盂蘭盆会や年末の東京のように、人気が少なかった。何となく傷ついたような気がする盛岡の街には、外観だけでも中の様子が想像できるようなイマジネーションを喚起する素敵な店が多かった。再びまた訪れることがきっとあるだろうが、その時は、傷心から立ち直って、やさしく微笑みかけて欲しいと、心から思った。

  2011.04.01

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• イーハトーヴヘ　盛岡で何故かロシア料理そしてチェブラーシカ

  10年以上前に盛岡市に住んでいた時の知り合いの方と昼食を食べる。こんな統制化にあっても洋食屋は街中のそこかしこにあって、日差しも春めいてきたこともあり、すこし心が軽くなる。ロシア料理の店は明るくて広々とした２階にあり、そこで、香草とバターが中に入ったチキンカツレツとボルシチとパンを注文する。カリカリのチキンカツレツにナイフを入れると、中から融けたバターと香草の良い匂いがして暫く忘れていた食欲を思い出す。レジの近くにはロシアから直輸入したようなマトリョーシカとチェブラーシカのグッズが置かれていた。何だか第二次世界大戦後に連合国に分割されロシア領となった北東北の街にいま居るような錯覚を覚えた。

  2011.03.31

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• イーハトーヴヘ　仕事をする建物は要注意

  仕事をしている建物は、何だか人気がない。一階の奥の薄暗い廊下にある自動販売機のペットボトルのお茶も水もすべて売切れのままだ。その奥には食堂があるらしいが、気配すらしない。何だか重たい空気を背負って仕事をして夜に外に出てふと振り返ると、この建物に黄色い札が貼ってあることに気づいた。今までは見えなかった、壁や戸板の向こうが透けて見えたような気がして、身震いした。

  2011.03.30

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• イーハトーヴへ　同じ街でもどこかが違う1984か１Q84か

  青く晴れた盛岡の街は、特段変ったところもなく、過去の記憶をおさらいする。だけど、何かが違う。たとえば、岩手県庁前の駐車場には、自衛隊のトラックが無数に置かれ巨大な鉄製のパラボラアンテナが何かを迎撃するかのように真上の空を向いている。道行く人は、それを何の驚きもなく足早に過ぎていく。何だか背後からヤナーチェックが流れてきそうだ。

  2011.03.30

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• イーハトーヴへ　「人気の無い料亭の二階の小間の再会」

  盛岡市には10年以上前に住んでいたことがあった。城下町らしい家並みが続く通りや、郷愁を誘う、盛岡市役所裏の中津川沿いや、まるで顔を掴まれたかのように痛いマイナス12℃の気温や、ゆったりと流れる北上川の水面と岩手山から吹いてくる風のような街の人が話すことばの抑揚が、感触を伴った記憶として、深く残っている。秋田から転勤した女性と偶然にも再会する。なぜかひっそりとした料亭のような古い旅館のような大正時代の待合のような店の襖と障子戸で囲まれた小部屋で晩飯を食べる。懐かしく、そして少し切なく、聴くことができなかった三月のチャーリー・パーカーのブロウが、彼女の胸元からの微かな幻聴のブレスとして、耳元に流れる。日本酒で暖まることもなく、階段を降りる。

  2011.03.29

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• イーハトーヴへ

  岩手に行くことになった。秋田新幹線はかろうじて盛岡までは通じている。季節はずれ（と言っていいのだろう）の大雪の秋田市内は、なんだか戸惑っているよう。とりとめもなく、窓の外を見る。桜三月も終わろうとしているのに、県境の山間は、まだ雪に埋もれている。よく見ると、渓流沿いの木々の周りは雪が融けて丸く窪んで、春が近いことがわかる。いつ戻るか分からないが、岩手をめぐる旅が始まる。

  2011.03.28

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• まけるもんか、まけるもんか、まけるもんか

  それまで適当に学生時代を過ごしてきて、少し真面目になって社会に出ようとした時、うすうす気づいていた現実の厳しさと自分の無力さと、ついでに親知らず2本の津波のような痛みとで、倒れそうになりながら歩いていた時、テレビのＣＭに釘付けになった。どこまでも同じ景色が続く砂漠の道をバイクで爆走していくシーン。そして、その映像にかぶさるようにシャウトするハウンド・ドッグの「ＦＦ」。そして、そこに入っていくナレーション、「負けるもんか、負けるもんか、負けるもんか」。何だか、誰かが、自分を鼓舞してくれているような気がして、胸が熱くなった。オートリバースのようなＣＭしかないなら、昔のＣＭでもながしたらどうだろうという新聞の投書を読んで、四半世紀昔のカップヌードルのＣＭでも流したらどうだろうと思った。

  2011.03.23

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• 湯沢市の長寿軒の「ただの」ラーメンは一見あっさりのめば濃厚スープ

  折角湯沢市まで来たので、何か、と思ったがちょうど昼時だったし、ガソリンが供給不足でガソリンスタンドが長蛇の列だとの話を聞いて、お昼だけ食べて急いで帰ることとした。湯沢市役所近くの「長寿軒」を教えてもらい、老舗だけど新らしめの店に入る。なんだかだだっ広い感じを受ける木造の店の厨房には女性とその小学生？の子供と思しき店員の二人だけ。メニューは「ラーメン500円」と「大盛650円」と「ビール」だけ。眠くなると困るのでラーメンを頼む。香ばしい匂いがしてきて、出てきたラーメンはスープがすりきりたっぷり。一見、鰹だしのあっさりスープの十文字ラーメンを連想したが（麩が載っているのが同じ）、飲んでみると、表面にこってりの脂があり濃い目のスープだった。一気に食べると、これは北国雪国のラーメンだという気がした。さすがにスープは半分ほど残した。これを食べて長寿になるという意味なのだろうか。

  2011.03.14

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• 秋田県湯沢市雄勝横堀の小町堂で今世小町の幻想をみる

  どうしてなのかわからないが、こんな時期に秋田県の最南端の湯沢市雄勝まで出かける。秋田市から車で３～４時間はかかる距離だが、国道は異常なほど車が無い。快調に進んでいったが、ふと気がつくと、国道の両脇に高い雪の壁が出現してきたのでよく見ると横手市に入っていた。更に南下して湯沢市に入ると、廃屋などは未だに雪に包まれている。小野小町の故郷（と秋田県の人は言っている）の湯沢市雄勝横堀の小町堂に寄ってみるが、ここもまた雪に取り囲まれてしまっている。毎年初夏の６月にはここで小町祭りが執り行われ、市女笠を被った現代小町七人が舞を奉納するという。そんな小町娘のひとりに恋をしてしまい、転勤することも忘れ、長くこの地に留まっている幻想を抱いた。しかし、雪解けの雨音に吾に返ると、小町堂は雪の壁の中に静かに佇んでいた。

  2011.03.14

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• 何かの予感

  パソコンが新しくなったからか、久々に仙台のギター居酒屋で人前で何曲か歌ったからか、急に寒くなってきたからか、あんまり、キリッとしない感じがする。そう思うと、空の様子も何だか不穏な気配がする。何かが近づいて来ているのに、そこには誰もいないような、そんな風景。

  2011.03.10

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• どうして「LOST」のダーマの秘密基地が気になるのだろう

  パソコンが新しくなって、それまでの中国の水墨画のような壁紙がなくなってしまった。仕方が無いのでいろいろ物色していたら、一時期はまってしまった米国の連続テレビドラマ「LOST」の画像を見つけたのでそれを貼り付けた。このドラマの中で島に以前あった巨大な石像と地下にあるダーマの秘密基地が気になる。秘密基地の中には、オープンリールのテープレコーダーとレコードプレイヤーと沢山のレコードとアンプがあった。食べるところはそこだけダイナーのテーブル席のような作りになっていて、気になる。もう一度見たい気はするが、最初からとなると、あの膨大な時間を考えて躊躇する。

  2011.03.08

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• ミュージックマンは今日もゆく～仙台のギター酒場で甲斐バンドとスタンドバイミー～

  人気のない東北の山間のダム管理事務所で黙々と仕事をしていると、世の中がどんなで組織がどんなで、国分町の人通りが少なくなったかどうかなんて知らず気にせず過ごしている。だけどそれで澄むわけではないが、かといって、戸惑い、諦め、能天気さを失った人々と酒を飲んで同調するわけにもいかない。お偉いさんとの飲み会を断固拒否して、打ちひしがれた人々と飲んで少しそんな気分にかぶれかけたけれど、地下のギター酒場「海風」に行って、「stand by me john lennon ver.」をマスターのベースとギターでシャウトしたり、甲斐よしひろがライブでやったように、ギター１本で「テレホンノイローゼ」を歌ってみたりしたら、すっきりした。本筋から離れて、水を湛えたダムの様子と無機質な計器類を眺めているけれど、楽天的に能天気に元気に昔と今とその先を同期的に過ごしていくことにしよう。しかし、深夜１時過ぎのカラオケボックス「招き猫」での焼きそばはうまかったな。いっぱい歌うと腹が減る。

  2011.03.03

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• 快晴で風が強くてすんごく寒い仙台で、いわずと知れた牛タン定食

  仕事で仙台にでかける。天気は良くて雪も無い（たまに舞っている）が、風が冷たくて手袋が必要だったと後悔する。何かの一つ覚えのように、仙台と言えば牛タンなので、寒風の中、団体様のお陰で回転が悪くなった「牛たん利休」の店の前で１５分ほど立ち尽くし、ようやく２階席で食べる。麦飯とテールスープと高菜と牛タンの取り合わせは絶妙で、何度食べても食べ飽きない。おまけに店員にそそのかされてとろろまでかけてしまったものだから、がっちり食べ過ぎて午後は眠気との戦いだった。

  2011.03.02

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• 午後の何度目かのメイプルシロップ

  何十年も前、幼稚園から帰ると、よくホットケーキを焼いてもらった。熱々のホットケーキの上には、溶解を始めて動き出したバターと、えもいわれぬかおりを発する松脂のような濁りを帯びたどろりとした液体がかかっていた。小学生の高学年から甘いものが苦手になり、ホットケーキとも縁遠くなった。時代は大きく変り、老若男女や動物までもが甘いものを平気で食べるようになった。そして、体は年を取り、いつしか、決して手を出さなかった鯛焼きやケンタッキーフライドチキンのビスケットが食べたいと思うようになった。熱々のビスケットにメイプルシロップをかけて食べる。ドリップしたての濃いコーヒーに合う。あの幼稚園の午後から数えて（大いなる空白期を経て）何度目のメイプルシロップなのだろう。ひとつじゃ足りないな。

  2011.02.26

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• ちょっと前の和歌の時代から推測する近未来の詞（ことば）と詩（うた）

  最近では、小学校も教えることが無くなったのか、落語の「じゅげむ日本人なら誰でも知っている「寿限無」を唱える小学生をみかける。今では、読み手のＣＤ付の百人一首が売っていたりする。個人的には、業界の商戦として（或いはムーブメントとして）自堕落な大正昭和の文化が再興しようが、高雅な古典を懐古しようが、単純に原則的にやらないことをやってみようという好奇心がブーム（親父・老人の居酒屋ゴルフパチンコ競馬囲碁将棋登山盆栽カメラ真空管オーディオアマチュア無線プラモデル製作などを若い婦女子が行うこと）になろうが、あまり関心はないが、これだけ毎日のように諸外国の過去を包含した現代の有様を普通に見聞きすると、過去を断絶した上にあるような日本の今が不安定な心持にならないのが不思議だ。ありていに言えば、ケータイメールのデコメール（やったことはないが）のその先には、業界商戦等による和歌ブーム（来るかどうか不明だがあらゆるものを食べつくす貪欲な業界なら遅かれ早かれ触手は伸びるだろう）が到来し、その副産物として「五七五でラブを伝えんのって良くね」となり、「メールで相聞歌」の時代が来ることを、ここに予測する。居酒屋の入口の下駄箱に書かれたいろは歌を眺めて、ふと、そう思った。ねえ、人麻呂（猿丸太夫）さん、そうだといいね。

  2011.02.25

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• 氷雨降る秋田の街のなまはげの居酒屋で氷竹酒を堪能する

  日本の土地それぞれに、大なり小なりご当地の郷土料理がある。情報氾濫の世の中で、田舎の若者が行ったこともない渋谷の宇田川町の裏のおしゃれな店を何故か知っていたりするように、初めて秋田に来た人であっても徒や疎かにはできない。それならば、現実にはあり得ない、秋田の古民家で秋田の郷土料理のほとんどが堪能できる架空空間はどうかと思った。ＪＲ秋田駅から近いところにある、巨大ななまはげのお面が店の壁面で脅す「秋田長屋酒場」にお客さんをお連れする。詳しくはわからないが、とんぶり（箒の実）、ハタハタ（魚偏に神と書く日本海沿岸の雑魚、その焼き魚と飯寿司（発酵ずし））、きりたんぽ（マタギの携行非常食、炊いた米を練って木に巻いて囲炉裏で炙って乾燥させたもので鍋に入れる）、えご天（海藻のエゴを寒天に入れたもの）、いぶりがっこ（大根を漬けずにスモークしたもの）、ちょろぎ（渦巻貝のような形をしたピンク色の漬物・実体は不明）などが出てくる。以前、青森市内の魚介類が沢山あって安くて美味しい店に行った際、日本酒を竹筒の銚子に入れて出てきたことがあったが、同じように「氷竹酒」というのがあったので頼む。クラッシュアイスから伸びた長い竹の先端を斜めに切って、そこからかぐや姫ならぬ日本酒が出てくる。それをコップからあふれるほど注ぐ。ほどよく酔って、ほどよく食べて、氷雨降る秋田の夜は、それなりに更けてゆく。

  2011.02.24

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• ひとつとおなじ春はなし

  ここ数年、毎年春先になると眼の周りが腫れぼったくて、鼻が出て、なんだかだるいような風邪の症状が出ていた。だけど、風邪薬をいくら飲もうが、背中が痛くなるくらい寝ていようが、味噌ラーメンにバターとラー油とニンニクとしょうがと胡椒を入れて食べようが、一向に「それにより回復した」という状態にならなかった。小説の探偵役が、最後の最後にようやっと犯人特定のヒントを掴んだように、ようやく気がついた。「花粉症だったのではないか」そこで風邪薬も十分すぎる睡眠もいろいろ入った味噌ラーメンもやめて、鼻炎薬を飲むことにした。どうやら効いているみたい（昼に薬を飲むと午後の会議で眠くなってしまうのはご愛嬌）。気がついたら家に居たのが青い鳥だと良かったのに、花粉症とはね。まあ、これで疾病的には都会的になったわけだ。

  2011.02.21

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• 最近は目玉焼き弁当がいいですね

  一時、ご飯の上に筋子の醤油漬けを載せるお弁当がよかったが、最近は目玉焼きを大胆にもご飯の上に載せたお弁当が良い。なんだか子供の朝御飯のようで、元気が出るような気がする。４日も休んで復活した一週間だったが、喉の痛みはなくなったものの、鼻の具合がいまひとつで、もしかしたら？とは思っているが、まだ、自分なりの答えが見出せないでいる。この土日で完全に体調は復調するのだろうか。

  2011.02.18

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• いなだと野菜の煮付けのおばちゃん定食は体がすっきりするのだ

  ここんとこのお弁当やコンビニおにぎりとコールスローサラダ生活のせいか、実に暫く昼に外食をしていないことに気づいた。来週、復活した仕事の関係で、仙台から人が来るので、昼食場所を考えていて、昔たまに行っていた、おばちゃん一人でやっている定食屋を思い出し、出かけた。ビルの地下にある定食屋「鈴の家」は、一時に比べて人が少なげだったが、和と洋の２品しかない定食は健在で、何とか最後の「和」の定食を頼む。覚えていないと思っていたおばちゃんも何故か覚えていてくれて、来週のお昼の席を予約した。定食はいなだの煮たのと野菜の煮付け。非常に地味だが体は喜んでいるのがわかる。久しぶりに新聞も読まずにゆっくりお昼を食べ、食後にコーヒーを飲み、北斗の拳（サウザーの秘密編）を読む。暖かいのか、外に出ると、細かい雨が降り出していた。

  2011.02.17

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• 病み上がりの昼下がりの薔薇

  建国記念の日を含む３日間、過労のため寝込んでいた。自己管理も自己分析も碌にできないけれど、どうやら、ひさしぶりの仕事が加わって、その意識下での緊張とエネルギーの放出による疲労が、一週間経ってから出てきたらしい。まあ、寒さがぶり返したりもしたしね。どうも最近このところちょくちょく、疲れて寝込むと回復するのに数日を要するようになった。リカバリー能力も減退しているようだ。まいったな、まったく。ようやっと元気を取り戻してきたけれど、中途半端に出て迷惑をかけるのもなんなので今日一日大事を取って休む。ちょっとだけ、街に出て、花屋で薔薇を買う。世間は奥歯が疼きそうな甘ったるい合戦の最中のようだが、戦後も暫く立って、エコだ、地場産業だ、世界第３位だ、などと、変な作られたカテゴリーに振り回される時代も終焉しつつあるので、ここいらは、ジェントルに、ひとつ、どうでしょうか。昔から、女の子からのアクションを放課後まで用もないのに教室辺りをウロウロする徒労には、疑問があったのだ。その後の発展があるかはさておき、まあ、ジェントルに、いいのではないか。Rose is a rose is a rose.

  2011.02.14

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