[ひぐらし]の記事一覧 | こころに映るよしなしごと

ミンティア箱買いの巻

かの井上陽水は、フォーライフレコード第一弾のLＰレコードのライナーノーツに、特にほしいものもやりたいこともないが、マージャンだけはとことんやると書いていた。今、どうしてもほしいものはないが、これがないと落ち着かず精神が不安定になるので、箱買いしてしまった。これで冬ごもりのムーミン谷でも大丈夫。ぱくかいしちやたよ。いや～たまらん、ミンティア。

2015.12.29

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大晦日は床屋で過ごす

天邪鬼なので、慌ただしい時には、静かな床屋で一人ゆく年くる年。同じ趣味の人は少ないようで、ひっそり過ごす。

2014.12.31

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寒さに寄り添う人とてない冬の夜のきらめきの孤独

定禅寺通りの樹々を縛りつけて煌々と輝く光のページェントから少し離れた勾当台公園の光は、暖かく青くある。残雪を踏みしめて近づけば、寄り添う二人組のシルエットが浮かぶ。もう少しそこで光を見て居たかったが、久々の孤独感に追われその場を去る。静かな夜気は、無感覚に凍てついている。

2014.12.18

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あさがおのめがでたよ。ちいさいふたばがむっくりでたよ。

一週間ほど前に蒔いた朝顔の芽が出た。小さな双葉はまだ皺があって、まるで生まれたての赤ん坊のようだ。はっぱの先に種の殻をつけたままのものもいる。低温だったが、５月に入ってから種を蒔いたので心配だった。プランターも種も土も腐葉土も、すべて百円ショップで購入したお手軽品だったが、生命はものの価格とも職業の貴賎ともまったく関わりなく、朝顔の上にも下にも朝顔を作らない。毎朝晩、水をやって、庭に緑のカーテンを作って、綺麗な花を咲かせてほしい。

2011.06.08

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夏の雲は３D

夏の空は、奥が深い。真っ青な空の手前に白く光る雲が湧き起こり、その前を鈍色の薄い流れ雲が漂っている。見上げていると、はるかとおく、空の高みから、キーンと金属音が聞こえてきそうだ。それはまるで、昭和20年の夏の日のような、それはまるで、「海辺のカフカ」の岡持節子先生が見た銀色の物体のような、13歳の夏の日に底のないような青空に囚われてしまったままの自分の何かのような。ёゞブログ開設４年と８か月で60,000アクセス到達、方丈の庵の壁にむかいてツイッタるような戯言　をご覧いただき、心より感謝申し上げます。今後も心情により近いメタファーを駆使して書きつくれ　ば、あやしゅうこそもの狂ほしけれ。

2010.07.27

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夏の午後の訪問者ゴマダラカミキリと遠いひぐらし

暑くて眠れなくてソファーで二度寝して不愉快な気分で目覚める。残りご飯をわさび茶漬けにして流し込む。溜め込んだドラマを寝たりおきたりしながら見て、DVDレコーダーのHDDを軽くする。郵便配達さえ来ない暑い夏の午後に、ベランダからゴマダラカミキリの訪問を受ける。夏の河原の柳の木にノコギリクワガタとカナブンとスズメバチとアゲハと一緒にいた、あのカミキリは、頭と帽子の間に入れて家まで運んだ。その間、ずっと「キュキュッ」とないていたが、何本か髪の毛を切られ、その「かみ切り」だということを知った。収集欲の対象ではなくなった彼の触覚をもてあそんでいると、嫌がるように、すっと飛び立っていった。ぼんやりと座っていた書斎の窓の向こうから、夕方の風とともに、ひぐらしのこだまが微かに聞こえた。

2010.07.25

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逢うは別れのはじまり

いつも、sweetでbitterなお菓子をくれる才色兼備の女子が退職することになった。来年の春、自分も秋田にいる可能性は限りなく少ないけれど、もう、あの、庭で咲き乱れる薔薇の花を分けてもらえることもない。自分は自分の、人は人の人生の、その偶然の交差点での出会いと別れでしかないのか。何をするでもなく、刻々と時間は過ぎていく。そして僕は途方に暮れる。青森から仙台の支店に異動した彼に、「チャンスの女神は後ろ髪がない」って言ってやったのに、もうすでに時は取り返しがきかない。

2009.09.16

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虹を見たぜ

虹を見た。朝に見た。雨が降って、日が照って、雨と太陽が虹を織った。虹の形は半月の半分。まるで、空に向かって進んでいく、虹色の龍のようだ。

2009.09.14

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虹を見たかい～have you ever seen the rainbow?～

暑い暑いと思っていたら、急に冷たくなったステディな女の子のように、涼しくなっていた。それも、雨降りの後の朝、広大な秋田の農地の上に巨大で美しい虹がかかっていた。虹なんて日常茶飯事的気象事象なんだけど、そうそうしょっちゅう見るものでもなく、たまに見ると、それはなんとも言い難い感慨があるもので。だけど、虹を良く見ると七色すべてが見えるわけではなく、４色か３色ぐらいしかわからない。簡易版の虹とでも言ったところか。そういうわけで、ひとときの、お試し版の秋のはじまりを肌で感じるのである。

2009.08.24

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秋のおだやかな日に動物園に行きませんか

動物園は、たとえば、本屋とか居酒屋とかカラオケボックスとかほど頻繁には行かない。もしかしたら、映画館や美術館、はたまた海水浴よりも頻度が低いのかも知れない。確かに、春の興奮した動物たちを見て回るのも疲れそうだし、夏の暑い盛りにぐったりしたライオンの横腹の動きを黙ってみているのもつらいものだし、そもそも冬に動物園に行った記憶がない。動物園に行くなら、秋の、それもできれば晩秋のおだやかな日に、ゆっくりと園内を歩いて、優しい目つきになった動物たちと無言の会話をして、少し汗ばんだらセーターを脱いで、熱いコーヒーでも飲みながら一休みして、夕方が始まり出した頃に家路につく、というのはどうだろう。カンガルーさんも同意してくれそうだ。

2009.08.21

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太鼓橋気絶事件を回想して聖橋湯島聖堂に願掛けに行く

今更もう遅いのかもしれないが、「幼稚園太鼓橋転落気絶脳震盪その後の体たらく」事件の今後の影響を少しでも軽減するべく、太鼓橋ときたら聖橋なので湯島聖堂に行って孔子さまにお参りする。美術学校の学生が絵を描いていたり、外国人が何かを理解か誤解していたり、思ったとおり人気はあまりないが、「猫が入るので扉をすばやく閉めてください」と書いてある扉を忍者のようにすばやく開け閉めして、湯島聖堂鉛筆12本を買う。12本だからダースです。もしかしたら、転落気絶するまではぼんやりしていたのに、脳に刺激が行って少しは頭が働くようになったのかも知れぬ。

2009.08.15

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我輩は猫である。名前は夏目金之助。

夏目金之助君と会う。職業柄、繊細で臆病で気分屋が多いのに、彼は人なつっこい性格のやうだ。黒子美人とはご婦人のことであるが、彼は白い素地に黒い星のような斑点が手先付近にぽつぽつとあり、それもまた愛嬌である。特に何を話すと言うわけではないが、だうやら共通の趣味に興じているらしく、同じ時を過ごして、ただ安穏と、流れるありさまを眺めているだけである。

2009.08.12

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人間ドック終了、とりあえずファミレスでハンバーグなどを

年に一度の人間ドックを受ける。血とか写真とかいろいろとられる。ひととおり終わった後の熱いほうじ茶と玄米ビスケットが美味しい。絶食状態が２食分も続いたので、何を食べようか考えたら、ファミレスのイージーなランチメニューが浮かんだ。ガストでチキンカレーアンドハンバーグを食べる。喉が渇いて人参ジュースを何杯か飲む。かぼちゃの冷スープが美味しい。まるで仇を討つみたいにガツガツ食べる。とりあえず今日ぐらいはいいだろうと甘くなる。

2009.06.25

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あるがままの小確幸

ちょうど１年の半ばぐらい。梅雨入りしているが、雨は降らない。夕焼けが美しい。星ではなく、夕映えを追いかけながら帰路につく。人に誇れない、人も羨まない、人と比較できない、そんな小さいけれど確かな幸せ「小確幸」（by村上春樹）を、ふと感じたような。

2009.06.17

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薔薇の名前

素敵なひとが薔薇を持ってきた。自宅の庭に８０種類も咲くうちのいくつかだと言う。白い薔薇と、ピンク色の薔薇とオレンジがかった薔薇を持ってきてくれた。そのひとのように、さり気なく、優しげで、気高げで、微笑んでいるようなバラたちが、空いている席の机の上にたたずんでいる。匂うような薔薇の色が、殺風景な職場の空気に混じった。「薔薇の名前」という映画は、青森の庵でBS－hiで見た。不思議な映画だった。そこで映画のタイトルの「薔薇の名前」とは・・・。映画は語るより観るものです。花も語るより愛でるものです。ちなみに、このバラたちにもちゃんと名前があるそうで教えてもらったがそのはしから忘れていった。

2009.06.10

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いにしえのビリヤード場で気づいたことなど

秋田市では連日の暑さからか、市街地に立つホテルの屋上でビアガーデンの営業を開始しているというニュースを聞く。金曜日は週末なので、気が付くと人がほとんどいなくなっている。仕事があるような一段落ついたような、不思議な感覚で、窓の外を眺めながらお茶を飲む。なんだか急にビリヤードがしたくなり、若い職員に連絡して、街中のいにしえのビリヤード場を探して行ってみる。思ったようにショットが決まったり、思わぬ結果が出たり、まるで人生のようだ。いにしえのビリヤード場は、ギラギラした「ビリヤード以外に関心があるもの」はおらず、初夏の芝生のような緑色のラシャの上を滑走する重量感のある色球の行方にのみ、眼を走らせている。若手を連れてきて周りを気にしていたが、そんなことは徒労だと気づき、こちらもゲームに集中する。勝って勝って負けて勝って。結果なんかどうでもいい。キューを握って、ショットを打つ瞬間が大事なのだ。古くて汚くて２階は雀荘になっているところだが、ビリヤード台はきちんと整備されていて料金も安い。２０代の前半に仕事帰りに毎日同僚の男と二人で３か月間もプールバーに通ったころのように、「その瞬間」にのめりこみたくなった。その瞬間の先には何があるか。何もない。ただ、一過性の生の実感に満ちた「一瞬」があるだけだ。

2009.06.05

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雨降りなので、初めてのアイロンがけなどしてみんと欲す

アイロンは、一、二度ハンカチかバンダナにかけたことはあった。雨降りで、外を眺めているのにも飽きたので、シャツにアイロンをかけてみることにした。本当はダメダメなんだろうけれど、しわしわが取れてすっきりしていく様は実に清清しい。乾いた洗濯物をきちんと畳んだり、衣服にプレスして買ったときのように再生してあげたりすることは、とても気持ちの良いものだ。火事に気をつけて家事をやろう。

2009.05.31

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空を見上げて伝えたいこと～たとえば飛行機雲だよ、とか～

何か伝えたい気持ちがあるけど、伝えたいものがない時、そらを見上げると飛行機雲が音も無く、外科医のメスのように青い空に白線を引く。そんなたわいのないことを伝える。だけど、喧嘩するとぱったり。いい恋しろよ。

2009.05.27

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穏やかで密やかで愉しげな大人の密会（のような飲み会）

仕事がひと段落着いたので関係者数人と酒を飲みに行く。秋田市内を流れる川沿いに飲食店街が並んでいる通称「川反（かわばた）通り」にある日本酒と魚と鶏の店に行く。日の高いうち（もちろん勤務時間終了後）に行ったので界隈は人影まばらで業者がちらほら歩いているだけ。がやがやして安い・早い・若いの三拍子揃ったお手軽居酒屋でもいいかと思っていたら、幹事が見つけてきたところは宴会場とこじんままりしたこあがりが別棟で別れているところで、我々は一番奥の少し薄暗い、密会にはもってこいの（だけどトイレの向かいの）掘りごたつ式のコーナーに通される。ビールやら秋田の日本酒やら刺身やら山菜のてんぷらやらを食べ飲みしたが、いつもと違って何だか愉悦を感じる。変な気を使わず、会話が柔らかく綺麗な形で広がっていくこの雰囲気は何ものにも代え難い。　気が付くとあっという間に閉店時間になっていて、気分が心地良いのでタクシーに乗って一番近いカラオケボックスへと向かう。結局は歩いて10分ぐらいのところにあった焼肉屋の２階のカラオケ屋で、お好み焼きを頼むと「チジミ」が出てきた。　80年代70年代の歌を中心に２時まで楽しむ。　眠るときまで穏やかな愉しみに満ちていた。

2009.05.15

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白いカーネーションお花の中ではカーネーション一番好きな花

まったく自慢できないが、昔から花の名前をほとんど知らない。知っていたらいいだろうなと思いながら、実際に実用性のないギリシャ語のように覚えることができない。チューリップは間違うことはないと思うが、水仙とヒヤシンスの区別もつかない。桜は大丈夫かと思っていたが、山に咲く桜のようなもの（八重桜なのかな）と桃（北国は桜の辺りに桃が咲いたりしてしまうのだ）の区別がつかない。というわけで、毎年、井上陽水の名曲「白いカーネーション」を聞きながら、胸ポケットに白いカーネーションを一輪差して街を歩こうと思いつつ、ちょっと気恥ずかしくて、実行に移せないわけである。なお、この「白いカーネーション」（セカンドアルバム「センチメンタル」に収録）はギター（アルペジオ）でもピアノで弾いても良い曲である。

2009.05.10

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桜の終わりと連休の始まり

陽気に誘われ、ドアを開ける。だけど足は街中ではなく山の中へ。いろいろな鳥の鳴き声の間に静寂が浮かぶ、森閑とした林の中を進むと、忘れられた流行のように、最後の桜が咲いていた。しばらく桜の樹の前にたたずんで、その有様を見る。待ちきれなくなった山の風が、ざわっ、と吹いて、桃色の風のように花びらを散らす。静寂に色が付いて、そこだけ、もう１℃、暖かいようだ。

2009.05.02

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古代の神のような猫と２０世紀少年の動揺

高校まで子供を迎えに行く。相変わらず、あっけらかんとしたオプティミストと幼いペシミストが混沌としている不思議な活力と怠惰を感じるところだ。もうすっかり、その影響は受けないはずなのに、なんだか、どこかわからないところで感じて受け入れて、影響されてしまいそうだ。そんなおじさんの動揺を、古代の壁画のような、夏目漱石の処女作の表紙のような猫が、何だか「困ったもんだぜまったく」と言うように、目を閉じて見ている。

2009.05.01

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ピカチュウのころ

子供が小さい時、テレ東のアニメの肩のりキャラクターに夢中になった。毎年ピカチュウの絵を描いていると段々と上手になっていった。絵心が無いのでピカチュウと云えども自在に描けることに感心したものだ。そんな二次元のピカチュウとスーパーマーケットで出会った。すっかり大きくなってもう肩には乗れないみたいだ。

2009.04.26

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何だろうこの寒さは

春になってしばらく経つのに、自転車で朝の街を走ると手が冷たい。束の間の連休が近づいて来るが予定が立たない。ぼんやりとパソコンわきの観葉植物に藍い地球のような水差しスプレーで水をやる。気がつくと週末だ。

2009.04.24

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桜の花の満開の下

　北の陸奥（みちのく）の秋田にもやうやく桜の頃が来た。　桜の花、若しくは桜の樹を眺めていると吉野の奥山の森閑として、人ひとりいない桜の森をさわさわと桜が舞っている様を思い描く。　そんな静謐と安らぎと恐怖が混在する有様は、坂口安吾でなくても、いろんなものを人に惹起させる。まるで麻薬で現世と別世が混濁したかのようなぐるぐる感がある。　それは桜の静過ぎる華やぎがなせる業か。　　だから喧騒の花見の宴は苦手なのだ。

2009.04.19

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自転車で街を歩くとその高低差と風を感じる

電車もバスも使わずに高校まで自転車で通うと言う娘と一緒にその道程を自転車で行ってみる。天気は気持ちよさを通り越して暑いような陽気で、漕ぎ出して暫くすると汗ばんでくる。前を行く新品の赤い自転車（4万円！）は快調で、こちらは遅れ気味になる。変な街なかを通って三輪車の子供に挨拶されたり、同じような親子連れの自転車組とすれ違ったり（お互い縦列ですれ違う）。こんなに高低差があったということに気づく。上野の界隈も、実際歩いてみると、登って降りてという山歩きのようだったが、この街も同じようだ。なんだか自分の高校時代に戻ったような錯覚とともに、その割には太腿が痛くなり息切れする不思議を感じながら、コンビニ前で自転車を停めて、バナナアイスをチョコでくるんだアイスを食べる。味がチョコバナナで、いきなり子供の頃の縁日にトリップする。そう考えると、コンビニは現代の縁日のようだ。アメリカンドックも売っているし、お好み焼きも焼きそばも、焼き鳥も売っている。さすがにプラモデルは売っていないが、くじ引きで当たる子供だましの玩具も売っている。ビールもある。日常化してしまった縁日だが、こうして、休日に自転車でふらりと寄ると、21世紀の縁日は、さらりとその実体を見せてくれる。明日の筋肉痛が少し頭を掠めながら、「下り坂の楽ちんさの哀しみ」をサドルの上で感じる。

2009.04.11

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硝子の醤油差し

醤油が大好きである。ついでに味の素も大好きである。醤油の薫りと紫の色合いとその味が好きである。そんな大好きなものを入れる入物を気にするのは止むを得ない。最近、とある店の中で見つけた醤油差しが気に入っている。硝子製で、予防注射を連想する蒼い色の防止に滑り防止の凹凸が付いていて、がっしりと四角形。大正時代風の上野のどこかの食堂のテーブルの上に置いてありそう。これで何に醤油を差すかと言うと、それはやはり大好物に、ということになる。

2009.04.06

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演劇を見に行く、そして眠る、視覚ではないものでそれを感じる

もらったチケットで演劇を見に行く。あまり興味の無いもので、案の定、後半は寝てしまう。むかし、19歳で初めて歌舞伎を見に行き、半ばをしっかり寝入ってしまったことを思い出す。だけど、本多劇場で観た野田秀樹（夢の遊民社「小指の思い出」）は面白くて寝るところではなかった。　つまり、寝るものは寝るし、寝ないものは寝ない、のだ。

2009.04.05

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雲間からの光

　１年を通じて節目はいろいろある。正月だったり盂蘭盆会だったり連休だったり、そして年度がわりだったり。　だけど月曜日から日曜日の一週間は何の中断も飛躍もなく、淡々と連綿と順番どおりに続いていく。　これといってさほどかわりばえのない毎日の中で、たとえば雲間から差し込む光を見たときのように、「具体的ではない何か」が形而上的な幸せの予感をもたらすこともある。　

2009.04.03

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毎日の何気ない積み重ねがこのいろどりを生むのかな

　毎日コンビニでお茶を１本買って、それを夕方までにチョビチョビ飲んでいる。　そんな日々が続いている。ちょっと前まで、サントリーのお茶に巾着が付いてきた。どうせついてくるならと、毎回違う色を選んでいた。気が付けば、８種類のうち７種類が揃っていた。並べてみるとなかなかのいろどり。　最後のひと色組は、娘が持っていた。それを合わせれば完成。　チルチルミチル。　

2009.04.02

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会うは別れのはじまり。別れは再会の約束。

春は旅立ちの季節である。朽葉は土の中へ、若葉は萌え出でて、空に伸びていく。職場のクールビューティなサックスプレイヤー女史が転勤になった。淡々と時を過ごしてきたけれど、年の割りに（歳のせいか）感傷的になる。できたこと、できなかったこと、いろいろあるけれど、後悔してもしょうがない。できたことだけをかみ締めておくことにする。唯一残念だったのは、ジャズバーで、生のスウィングとブロウを一緒に聴けなかったこと。まあ、それを再びの時の楽しみとして。

2009.03.31

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なごり霰

　秋田大学の近くの住宅街にある居酒屋「おもろ」で酒を飲む。辛口を求めて注文する。　「しそ巻き」を注文する。あまり仕込みがないとのことで、それでも８本頼んで堪能する。　店内は懐かしい茶褐色の光に包まれ、今が一体何時なのか、２０世紀なのか、昭和なのか、それとも未来の２１世紀なのか、一瞬、見失う。　店を出ると、待ち構えていたかのように、霰が降りつける。店とその前の道路と我々だけが映画のワンシーンの中に佇んでいるようだ。　そして店をかえて、最後のギターを弾く。その響きは胸に残っただろうか。　朝起きると、昨夜の名残の雪は消えていた。

2009.03.30

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どうしてあんまり楽しくないんだろう

　久しぶりにある種類の人間で酒を飲む。　ちょっとしゃれたようなところで飲む。　話の内容はあんまり洒落ておらず、大した話じゃないことを大仰に話す。　そんなたわいの無い夜に、どのように自分を持っていくか、少し考える。　酒を飲んでいろいろ話しても、すっきりしないときもある。

2009.03.04

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女性は大変だとつくづく思う今日であった

　相変わらず、相変わらずのことをしている今日このごろだが、何だかんだと言っても男は単純で簡単だと思った。　生まれて初めてルージュを買って思ったが、女性はいろいろと物が必要でそれぞれにこだわってしまうと時間的、金銭的、物質的、空間的、精神的に忙しくなるのではないかと思った。　まあ、それはそれで、それを楽しんでいるなら、何も言わないけれど。　だけど、口紅って、結構高いものだね。信じられない。

2009.02.22

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若い女性とひみつの買物

　雨が降って暖かい冬の土曜日。　疲れが取れない体を引きずって街に買物に行く。　いろいろと探し回る若い女性に引きずられて、新しい疲れが加わっていく。　遅い昼食をショッピングビルの中のレストランで食べる。あまり食欲が無く、グラタンとお代わり自由のまずいコーヒーを頼む。若い女性は、まずはそれだけでお腹が一杯になりそうなパフェを平らげ、その後にビーフドリアを食べ尽くす。　何とか無事に秘密の買物を終えて岐路に着く。２週間前に借りた本がまだ読了していないことを気に病んでいたためか、花屋を見つけられない。ようやっと見つけた花屋で軽口を叩くと店の女性に叱責される。　そういう感じで、ひどく疲れた一日だった。　まあ、楽しくない、と言われると楽しくなくも無い、土曜日だったのだが。

2009.02.21

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探すと無いのが喫茶店

　秋田市は冬に逆戻り。道路は凍てつき、ウエスタンブーツでは足元がこころもとない。いろいろあって職場にずっと座っていられなくて、あっちこっちと歩く。　歩き疲れて休もうと喫茶店を探すがなかなか見つからない。人もあまりいない。　大人の女性向けのブティックの２階に見つける。　２階の売り場だか喫茶店だか分からないテーブルに座って、疲れた心身のためにケーキセットを頼む。チーズケーキとりんごの入った「アップル・ボンバー」とコーヒーが出てくる。皿の上には砂糖をまぶして書いた店の名前が書いてある。なかなかおしゃれじゃん。　だけど一番気に入ったのはトイレ。シックでこんじまりしているところもよいが、ドアを開けて中に入ると便器の蓋が「いらっしゃいっ」とカバの口のように開くところが良い。　というわけで、カラーコンタクトをしたお姉さんがお相手をしてくれた喫茶店を後にする。疲れが少し和らいだような気がしないでもない。

2009.02.16

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１３日の金曜日は２月１４日の前の日であった

　甘いものが大嫌いで、昔からチョコレートを受け取ることがほとんどなかったので、世間のムーブメントも別の世界の話のようだった。実際、付き合っていた彼女もあげる気はなかったようで、若気の至りで世間並みにくれないかと頼んだところ、びっくりされて、それでもとりあえずもらったけれど、案の定、１年間、机の引き出しに仕舞われたままだった。　そんなこともありながら、今はしっかり甘いものも多少は食べられるようになり、いただけるものは有難く頂戴している。ジェイソン君もマスクかぶってないで食べてみればいいのに。

2009.02.13

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春のような陽気の休日は二日酔いで終わる

　昨日は午前２時まで飲んだ。だけど哀しいかな、５時間経つと目が覚める。まだまだ体中に酒がたっぷり残っているけど、腹が空いてしゃけと卵焼きと豆腐の味噌汁とご飯の朝飯を食べる。風呂を沸かしてゆっくり入る。DVDレコーダーに録画したドラマ（「ヴォイス」と「トライアングル」と「本日も晴れ。異状なし」）を観る。なかなかお腹が空かず、午後４時ごろ鍋焼きうどんとおにぎりを食べる。その後、またドラマを観ながら、小一時間眠る。目覚めると大分体調が戻っている。　春のような、温泉に浸かっているような、２月半ばの一日は、こうして終わる。

2009.02.11

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冬の再来の秋田でワイン色の温泉に浸かる

　１月そして２月のあたまと、秋田にしては春のような陽気（春の雨が降ったり）だったが、天候が崩れだし、雷が鳴って（ハタハタが雷鳴のドラムと稲妻のストロボライトにのって沿岸にやってくるらしい）、そして吹雪になった。　寒い日は、日本海沿岸の海底から噴出するワイン色の温泉に浸かって体の内側の寒さを感じてそして暖まることとしよう。　

2009.02.08

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ほろにがビターで元気回復

　職場の女性と音楽交換（というよりもらいっぱなしの感あり）をしていて、こちらは埃をかぶって黴の生えたような音楽しか提供できないので、嘉門雄三のレコード（未だにＣＤ化無し）をＭＴＲで録音してトラックダウンしてＣＤに落としたものを差し上げた。　そのお返しに、ほろにがビターのチョコビットをいただいた。頭が空腹で動かない時に服用すると効果的である。　期待せずにもらったものは大変有難く感じるものだ。

2009.02.04

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節分、豆撒き、立春、歳の数

　暦の上では明日から春の領域に入る。何だか、「建前では」、「とりあえず」、「ここだけの話だけど」みたい。豆撒きをしても、歳の数だけ豆を食べるのはしんどいので遠慮する。時間をかけてぼちぼち食べることにしよう。　服の内側の体とこころに福が満ちていれば、「福は服のうち」にある。見方を変えれば、鬼は福だし、福も鬼になる。相対的幸福論ではなく、絶対的幸福論のほうが、ゆるぎなく、猜疑心も不安もなく、心安らかに、中幸福と、小幸福を、しっかりと確かめることができる。　今、手のひらのなかにある、落花生の豆のように、確かに。

2009.02.03

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うさぎの耳の机上の観葉植物

　今まで机上にあって、干からびた心を癒してくれていたスレンダーな葉っぱの植物は退社後の極寒の室内に耐えられず枯れはじめたので、変わりに可愛いけど元気な、うさぎの耳のような観葉植物を持ってきた。　ネットで調べてみると、マダガスカル原産で、花が咲くらしい。　だけど何より、葉肉をつまむと柔らかい感触がうさぎの耳のようだ（触ったことないけど）。　そんなわけで、干からびた心を前にも増して癒してくれることを願うばかりだ。空気も乾燥して、すっかり乾ききってしまった。この間正月の餅を食べたかと思えばもう二月。こんどは豆を沢山食べなければならない。１０個前後で済んでいた頃が懐かしい。　

2009.01.29

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冬の空低く直立する巨大な北斗七星の柄杓

　晴れた日が続く。夜空も晴れている。空には巨大な北斗七星が直立して浮かんでいる。上が重い銀色の柄杓は、なんだかバランスが悪くて、今にもこちらに向かって倒れてきそうだ。　北の空には、そんな寓話のような暗喩のような冬の事象が浮かび上がっている。

2009.01.28

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白い冬の樹

　大雪の朝、街の木々は白いアンゴラのセーターを羽織る。きーんと冷えているが、なぜか暖かい気がする。転ばぬように足元に気遣いながら街を歩く。

2009.01.26

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休日はほんと、休む日になっちゃった

　昔は休みと言えば疲れるくらい出かけたり遊んだりしたもんだが、今は書いて字の如く休むだけ。起きて食べてうつらうつらして、DVDを観て、本を読んで、買物をして、録画をみてうつらうつらして、食べて、風呂入って、モヤモヤして、ビールを飲んで、本を読んで、寝るだけ。　まあ、平日の一週間と変化があっていいと言えばいいが。

2009.01.25

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気がつけば氷の世界

　先週までのあったか陽気はどこへやら。上から横から下から吹雪が吹きぬける。いつものスカイレストランに久しぶりに行くけれど、見渡す限り白い屋根と白い山で憂鬱な気持ちになる。こんな天気がずっと続くのだろうか。何時までも革靴でいられるのだろうか。　答えは雪の舞う風の中にある。BYボブ・ディラン。

2009.01.13

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あけおめ。ことよろ。

　また1年がぐるっと回った。去年の前半は青森だった。そして後半は秋田。　1月１日も12月31日も６月１５日も何ら変わりは無いけれど。　まあ、盆栽の紅梅でも見て、言祝ぎましょうか。

2009.01.01

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雪と風に閉ざされて一体どうしよう

　暴風雪は相変わらず続く。雪と風で閉ざされてどこにも行けないような予感。はてさて、こんな冬はどうしよう。本とＤＶＤで眼だけ使って過ごすのか、ロッキー３（？）のロシアの山篭りのように雪の中をベンツより速く走るのか、恋の歌でも作って、ＭＴＲを駆使して、オリジナルＣＤでもつくるのか、年賀状の構想すら浮かんでこない、年の瀬近くの年の瀬知らず、といったところ。　今年もあと５日ぐらいは残っている。

2008.12.27

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寒波の予感がする夜に地下のライブハウスでドキドキ

　秋田市内の某所へ飲みに行く。おじさん数人と美女軍団で歓談する。愚痴を言って酒をあおって泥酔することもなく、黙々と食ってお腹がくちくなって黙り込むわけでもなく、種の起源の系譜のようにどんどん話題が枝分かれして際限なく話し、笑う。　2次会は地下のライブハウス。今日はライブが無かったが、ステージを眺めながら、いろいろと話をする。若い女性からドキッとする発言を受ける。妙齢の女性からビクッとする提案を受ける。　今夜は、ここ数十年の中で、一、二を争そうくらい、素敵な夜となった。いつもの虚脱感を感じることなく4時間の睡眠でスッキリ起きる。ときめきは大切だ。ときメモは難しい。

2008.12.25

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