懐かしの昭和フリーク マルカン百貨店大食堂は幸せな昭和の家族の匂い 花巻市
連日暑い日が続く。こうも暑いと、北のほうに行ってみたくなる。8月は宮澤賢治さんの誕生日があるので、花巻市に行ってみる。市街地は、なんだかのんびりして、セコセコしていない。夏でも黒い帽子を被り、マントを着た賢治さんが、困った顔をして、角から出てきそうな気配のする、マルカン百貨店(6階建て)の5階にある、大食堂に行ってみる。平日のお昼時なのに、広い店内は大盛況で、景色のよい窓際に空はなく、仕方なく中ほどに座る。エレベーター出口にガラスケースのショウウインドーがあり、サンプルが並んでいる。食券を購入して、ウエイトレス(ワンピースに白いレースのエプロンのあのウエイトレスです)にテーブル番号を言って待つ。しばらくすると、懐かしのオムライスが出てくる。シンプルな白い皿に黄色いオムライスと赤いケチャップソースが鮮やかだ。スプーンがピカピカしているのが何だか不思議だ。味は洒落たレストランのような凝ったものではなく、ケチャップ味の懐かしい味だ。昭和40年代。ガラスの中に噴水のようにオレンジジュースが吹き上がるジュースの自動販売機があった時代。土曜日も学校と仕事があって、貴重な日曜日を家族で買い物に出かけ、百貨店の大食堂で日の丸が載ったお子様ランチを食べた時代。カラーテレビもエアコンも無縁だったが、しあわせが手に取って感じることができた時代。もしかしたら、花巻の人々は、失われた昭和のしあわせを、未だに手に取って感じることができるのかも知れない。マルカン百貨店大食堂の盛況ぶりは、150円のドデカソフトクリームだけではないはずだ。