桃源郷にあそぶ
日本のこの世に桃源郷があると聞いて行ってみる。どうせ人など誰も着ていないだろうと思ってたどり着くと、沢山の「もみじマーク」を付した国産乗用車が路駐している。数件の茅葺の家屋と水のない田んぼと、そして白、赤、桃色の桃の樹と花。中国の桃源郷の話は、王淵明(だったかな?)が書いた話で、川を遡っていくと桃林があり、その先の洞窟を抜けると漢の時代の人々が数百年にもわたって肥沃な土地で生活していた、戻って人に話して探してみると見つけられなかった、という話だったと思う。もう一度来ることはできないことではないが、雑事と言う妖術にかけられている現代人が再訪することは、そう容易いことではない。しばし、人の気配を忘れ、森閑とした風情に思いを馳せる。