鮨あさひ @五反田 ~お酒のペアリングが秀逸かつリーズナブル
鮨あさひ @五反田 ~お酒のペアリングが秀逸 お気に入りに登録してYouTubeの番組を見ていたら気になる投稿がありました。「月商1,200万円超え 高級寿司コースフル公開」です。ちなみに番組名は【飲食店経営塾】Food Business School LEOです。※ホームページ今回紹介されていたのは五反田にあります『鮨あさひ』というお店で、20品提供して8,800円(税込)のコースでやっているとのことです。私の会員はコース料理が2万円~5万円に設定している店が比較的多いのですが、コンサルティングの依頼は6,000円~1万円以内のコースにすることが多いため、早速、勉強をかねて訪問しようと思いました。今回の体験がとても参考になりましたので共有します。 早速、「食べログ」を見ますと「辣油は飲み物」さんの好レビューがありました。早速、予約して訪問しようと思います。こちらの会社は日本酒バーを経営していたようで日本酒の提供に強みがあり、【当日予約も歓迎】というコピーの「極上SAKE ペアリング付き あさびおまかせコース(20品)」14,300円(税込)で予約します。 お店は、客単価がやや高めで1,000万円以上売り上げる店だけあったテーブル席に重きをおいているようで、カウンター6席のお店です。店に入った瞬間は、大人数を想定したテーブル配置だなと思いましたが、五反田は大人数サラリーマンが来店するようで、実際、大人数のフリー客が来店していました。コロナ禍であらかじめ計画した飲み会や宴会は減っていますが、流れにまかせて大人数なるというのはサラリーマンならよくあり、その場合の店選びはなかなか苦労するものです。少し前までなら大手チェーンの居酒屋に行っていたのでしょうが、無駄なお金を使わなくなり、店を厳選するようになりました。誰かが一度利用して良かった店で当日でも入れそうな店をその場で誰かがリーダーシップをとって選ぶという傾向にあるように見えます。食べログに【当日予約も歓迎】というコピーが書いてあり、大人数が入るように見えるテーブル配置は、うまく売上アップにつながっているように思います。 外観はミシュランのガイドブックに掲載される鮨店の雰囲気で、お店の中の様子を窺えるようにガラスの窓に木の装飾をしていています。 店内に入ると奥にカウンターがあり、入口付近に大人数で入ることができるようにテーブル配置してあり、ややカジュアルな雰囲気です。それでは、料理とペアリングの展開をみてゆきましょう。まずは、ペアリングを予約していたお客様に食前酒に1ドリンクサービスということです。一般論としては単価誘導の方向でペアリングを無理に売らんかなという店が多い中、不意打ちのメニューに書いていないサービス、やりますね。私は生ビール(800円)にしましたが、初っぱなから大サービスですね。 そして、メニューブックにあるQRコードを読み込みLINEのお友達登録をすると本日のコースの内容が読み込むことができますと案内されます。家に戻ると店舗の体験に対するアンケートがきます。高級ホテルのようです。まずは、ビールと一緒に前菜が提供されます。京人参とほうれん草のお浸し、クリームチーズ、自家製豆腐きのこあんの三点盛りです。小ポーションで提供され、流れが自然です。おひたしはテクスチャが良く、豆腐も出汁感があって良いです。基本的に好き嫌いの出にくいお料理が提供されていると思います。テンポ良く、二品目はワンスプーンにのせた雲丹と永井酒造のクリア(スパークリング)が提供されます。ワンスプーンでの提供プレゼンテーションが良いですね。日本酒バーをやっていただけあって、お酒のボトルを目の前に置いて写真をとれるようにしてくれます。すばらしい。グラスの口の部分には墨塩がついています。クリアを飲みながら、大昔に本出版のためにフランソワ・クープランが来日して、永井酒造のゲストハウスで日本の野菜や野草の写真を撮らせていただき、先代の社長が手料理で山菜を振る舞ってくれて、最初はポール・ロジャーを飲んで、まだ発売したばかりスパークリングを4人で3本飲んでへろへろになった想い出がよぎりました。 話は戻りまして、お酒のペアリングは各ペアリングにテーマを持たせていて、まずは「同調」というテーマで展開します。同調」とは香りや味の似たもの同士を合わせて料理と酒がお互いを殺さず混然一体となって美味しさを生み出す効果です。一般的に鮨店のペアリングは店主が勝手にいろいろ出しますが、当店はこのように「テーマ」を決めて、一品ひとつの料理でなく複数の品数まで提供するという方式でペアリングしています。とても良いですね。同調というテーマで提供するお酒は「富久長 海風土」です。柑橘系の酸のあるお酒を、酸味のある三種類の料理(石鰈、もずく酢、水蛸)と合わせるということです。・石鰈を煎り酒で・沖縄県産のもずく、叩いた山芋とガリ もずくの合わせ酢は酢の強いインパクトと高級店にはない甘さのインパクトがあります。 ・そして、握りが提供されます。酢橘を絞った水蛸 水蛸のテクスチャと酢橘の酸味がとても良いです。「同調」は接点となるる共通した要素を見つけて、そして味や香りのトーンを揃えます。 続いては「補完」というテーマでペアリングが展開されます。お料理の淡白さをお酒のフルーティさと旨みで「補完」します。写楽 純米吟醸 おりがらみお料理は「帆立の焼き浸しと蕪のすり流し」です。味わいは淡泊ですが、なかなかおいしいです。本日のガリ続いてふたつめの握りの久絵です。続いて鮃です。身はいかっています。 続いてのペアリングのテーマは「マスキング」です。お料理の磯風味をマスキングするとのことで、お酒は「日髙見 初しぼり 無濾過生酒」令和4年の新酒です。 お料理は「名物!!蒸し鮑のトリプリング」です。肝のソースと6時間煮た柔らかな鮑と炊いた獺祭の酒米と獺祭を添えられています。肝のソースは札幌の『すし 宮川』のような雰囲気。そう言えば、昔『よしたけ』で茹でたアスパラと提供していましたが、あれは好きでした。この御量、コースの値段が税込8,800円を考えれば楽しめる演出とお値打ちある提供だと思います。最後に肝ソースに炊いた獺祭の酒米を入れます。 ここで、シャリの大きさはいかがですか、聞かれます。北寄貝の握り 本鮪この価格帯で本鮪を入れるのはいかなる鮪でも大変でしょうけど入れることで満足度は高くなるでしょう。温度変化による濃淡の変化を楽しんでくださいとのことです。 続いてのお酒は「勝駒」です。昔、『江戸前晋作』が本郷にオープンした頃、金沢の酒屋の中川さんに買ってきてもらいましたお酒ですね。また、懐かしいです。「牡蠣の小丼と出汁のマリアージュ」まず、牡蠣ご飯を食べて、後からバターの入ったおだしでいただきます。インパクトがある見た目の料理ですね。味にパンチがあります。後からバターの入ったおだしでいただきます。味わい深い「勝駒」と合います。それにしてもペアリングのコストパフォーマンスが良いですね。小鰭 コースの流れを切り返す小鰭ですね。漬け鮪 すった柚を中に射込んでいます。『秦野よしき』風ですね。続いてのお酒は燗酒に「久頭龍 燗ためし」42度のぬる燗で鰆の西京焼き クロムツ脂がのっていておいしいです。トロタク。あと玉子でコースは終了だそうで、追加をしようと思います。追加のメニューです。〆鯖握り(700円)、烏賊握り(700円)、平目握り(700円)、帆立握り(700円)、いくら小丼(1,200円)、車海老(1,200円)、厳選雲丹(2,500円)、干瓢巻き(600円)、穴子手巻き(600円)、雲丹手巻き(3,000円)、煮穴子の丼(2,000円)、【限定7食】鮨カクテル(2,000円) 結構、席数があって、フリ客も入れるのか結構ありますね。価格設定は鮨屋としては決して高くないですが、コースの価格設定を考えるとやや高く感じますね。それくらいコース税込8,800円というのが魅力的だということです。また、コースのボリュームを考えるとお酒を飲んで追加する人も少ないと思いますが。一応調査なので、干瓢巻き(600円)、穴子手巻き(600円)、車海老(1,200円)。・追加1 干瓢巻き(600円) 少し汁気が多いですね。・追加2 穴子手巻き(600円)・追加3の車海老 追加とは言え、車海老があるのは嬉しいですね。追加のあと、蜆汁が出てきます。最後にデザートの位置づけキャラメリゼしたで玉子焼きと黒龍の貴醸酒。 提供のテンポ良くて、私には、とても良い流れでした。コースの途中にインパクトがある料理が出てきて、組み立てがとてもよくできていると思います。とくに、日本酒との組み合わせはとても素晴らしく、勉強になりました。会員の皆様へ学びについては『四方よし通信2月号』で共有します。鮨あさひ〒141-0022 東京都品川区東五反田1丁目11−8 大阪屋ビル 1F電話 03-6277-1132