『冷温停止』という欺瞞/その1
【壊れていない通常の原発であれば「冷温停止」の意味はシンプルだ。停止中の原子炉が安定して冷却され、炉内の温度が100度未満に保たれている状態をいう。 しかし、燃料が溶融し、原子炉に穴があいている東京電力福島第1原発では、そう単純な話ではない。 細野豪志原発事故担当相はウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の年次総会で、福島第1原発の冷温停止時期について、「年内をめどに達成すべく全力を挙げる」と述べた。安定冷却と放射性物質放出の大幅な抑制をめざす政府の目標期限は来年1月であり、多少の前倒しを意識した表現だ。】(【】内は記事から一部引用、Google ニュース/毎日新聞:2011年9月21日) このブログでは、しばらく福島原発大人災ついての私見を控えてきた。しかし、その収束を担当する細野豪志原発事故担当相が、記事のようにIAEAの年次総会において、「冷温停止」に向けてと、大見得を切っていることへの抗議に代えて、あらためて私見をつづる。 そもそも、「冷温停止」とは、記事にもあるように、「停止中の原子炉が安定して冷却され、炉内の温度が100度未満に保たれている状態」をさすが、当然ながら「壊れていない通常の原発」について使用する概念だ。 それを、メルトダウンした原子炉に転用(誤用)して、収束?のための「工程表」に盛り込むこと自体が間違っているのだ。それにもかかわらず、政府や東京電力が、「冷温停止」を使用するのは、日本国民はもとより、原発に危惧を抱いている全世界の人たちを欺くことにある。 「冷温」や「停止」という言葉を、あえて使うことにより、ありとあらゆる甚大な被害をもたらせている放射能汚染の進行が、あたかも普通の(異常高温でない)状態で、「停止」に向かっているように見せかけているのだ。(その2に続く)エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイFC2ブログランキングにも登録しています。↓よろしければ、ご支援のクリックを↓