『東日本大震災』ブログ記事アーカイブ(5)
(以下記事は2011年当時のものです。)福島県の原発事故のより設定された屋内退避地域に、必要な物資が届かないことに典型的に見られるように、今回の大震災後の「風評」は深刻な被害をもたらせている。また、原発事故による水道水の問題に端を発した、市販飲料水やレトルト食品などの買占め騒ぎも、東日本だけでなく、西日本まで波及した。 このように、大災害時においては、いわゆる「風評」は、必ずと言っていいほど起きる。それだけではない、大災害などの非常時においては、災害被害の大きさに比例して、「風評」の大きさと深刻さは増すと考えるべきだ。それは、昨日のブログ記事と関連するが、情報の不正確さや曖昧さが、「風評」の発生土壌となって、より不安を増大させるからだ。 例えば、福島原発事故の屋内退避地域の設定にあたり、屋内退避での生活の仕方は伝えられても、屋内退避地域への物資搬送は、安全に行えることをあわせて情報発信しなかったから、あらぬ「風評」を生み、結果として必要な物資・人材が屋内退避地域に届かないと言う事態を招いたのだ。 ようするに、大災害時にはその被害の大きさに比例して「風評」が流布されることを見越して、情報の発信にあたっては、前もって正確な情報をよく吟味し、わかりやすくすることが重要なのだ。この点は、各方面からの指摘もあり、改善の兆しはあるものの、まだまだ不十分なのが現状だ。 次に、「風評」が起こってしまってからの対応も、極めてお粗末な例が少なくない。例えば、町中のコンビニから一部の飲料水・レトルト商品・乾電池などが、急速に無くなってから、ある特命大臣がお供をゾロゾロ連れてコンビニ視察をする。これは、「風評」をさらに増大させるばかりか、視察のために費やされる時間とエネルギーを考えれば、省エネ・節電という特命任務自体と矛盾することになる。 「風評」後に、政府や自治体が取るべき対策は、その「風評」の源である不安を根本的に取り除く努力を、ひたむきに続ける以外にはないのだ。なお、原発事故に関連した計画停電を、事故当事者であり信用が失墜している東京電力まかせにしたことも、「風評被害」と準じた混乱を国民にもたらせたことも留意すべきだろう。(このブログ記事は、3月17日に書き始め、本日時点で追加・改定を加えている。)(続く)(以上は、2011年3月30日のブログ記事です。)エッセイは、次のページでいろいろ掲載しています。遊邑エッセイFC2ブログランキングにも登録しています。↓よろしければ、ご支援のクリックを↓多忙のため、コメントへ返信できない場合がありますので、ご了承の程よろしくお願いいたします。