Trash We’d Love : the HIATUS
今日は、おいらにしては珍しいかも知れませんが、6月の頭にオリコンアルバムウィークリーチャートで1位を獲得したアルバムをご紹介してみますね。アルバム名は、「Trash We'd Love」アーティスト名は 「the HIATUS」HIATUS・・・ハイエイタスと読みますが、ヴォーカリスト細美武士率いるロックプロジェクトです。細美武士は、以前一度だけご紹介したことのあるロックバンド、「ELLEGARDEN」のヴォーカル&ギターを担当していた人物です。ELLEGARDENを紹介したのが、もう2年前の夏になるんですねえ。残念ながら、彼らは、昨年の9月を持って活動を休止してしまったんですわ・・・。おいらみたいな、おっさんが紹介してしまったからかっ!?笑公式には活動休止と言うことで発表されてますから、、解散と言う事でも無さそうですし、まだみんな若いですし、彼らほどの人気バンドですから、いつか必ず復活してくれるものと思ってるkado兄ィでございます。以前にも書いたかも知れませんが、どう考えても、ファン層の中心はティーンエイジャーから30歳代前半まででしょうから、43にもなる薄毛のおっさんが「復活して欲しい・・」などと、つぶらなキラキラ目になって、両手を胸の前でお祈りするなんて図は、想像するだけで、おぞましい上に、汚ならしい事この上無い訳なんですが、好きなサウンドなもので仕方がありません。で、そのエルレが活動停止宣言してから、実質一年弱で、届けられたのが細美武士のソロプロジェクトでの本アルバムと言う事になります。待ち焦がれたファンも非常に多かったのではないでしょうか?今回のアルバムを一言で言うと、「大人でも楽しめるロック」と言う事になりますかね?共作を除いて、ほぼ全曲、細美武士の作詞・作曲で綴られている本作ですが、非常にヘヴィで官能的なサウンドが展開されます。後で、ご紹介しますが、演奏陣のテクニックも見事です。歌詞自体は、エルレの頃からそうですが、英詩が中心ですので、対訳こそついているものの、詩に共感するというよりは、歌声自体もメロディ楽器の一つとして聴ける事から、イイ歳した「大人でも楽しめるロック」なのではないかな?と勝手に思っております。そして注目のバンドメンバーなのですが、Vo&Gt,細美武士Gt,masasucksBa,ウエノコウジDr,柏倉隆史Key,堀江博久よくぞ集まりましたね?というメンツです。ギター/masasucks・・・・木村カエラちゃんのサポートなどをしていたギタリストですが、なかなかのシャープさとハードさを兼ね備えたリフを弾く人ですね。ベース/ウエノコウジ・・・・言わずと知れた元thee michelle gun elephant(ミッシェル・ガン・エレファント)でその活動を長きに渡って支えた人物。速いのから遅いのまで、堅実かつ安定したリズムを刻む方です。ドラム/柏倉隆史・・・ここでも一度紹介して、ドラムスティックを持つ位置の短さがちょっとしたネタにもなった(笑)、toeというインスト・ロックバンドのドラマー。とにかくバカテクの持ち主で、現在の若手ではナンバーワンだと思いますし、今後の音楽界で、セッションドラマーの第一人者になるであろう叩き手の一人だとおいらは思っております。キーボード/堀江博久・・・・今回のアルバムでは、かなりの鍵となっている存在で、ツインギターと柏倉の織りなす疾走感バリバリのロックサウンドを叙情的かつリリカルなエッセンスのサウンドに仕上げた影の立役者ではないかと思います。かのコーネリアスバンドのサポートメンバーでもあります。音へのこだわりでは、一筋縄で行かない小山田圭吾氏の元でやってますから、その実力の程がうかがえます。さ、こんな豪華なメンバーでどんな音が綴られているか、聴いていきましょうか?01. Ghost In The Rain 02. Lone Train Running 03. Centipede 04. Silver Birch 05. 堕天 06. Storm Racers 07. Little Odyssey 08. The Flare 09. 紺碧の夜に 10. ユニコーン 11. Twisted Maple Trees 01. Ghost In The Rain 流れる様なメロディラインを持つポップロック。ピッチとしてはかなり速めで、柏倉のドラムもスピード感があるのですが、細美のエルレ時代とは違う抑えた歌い方のせいで、意外と気持ちよくゆったり聴ける楽曲。02. Lone Train Runningゆっくりとした前奏から、一転して疾走感のあるロックサウンドへと変貌するノリノリの楽曲。ウエノコウジの上から下まで縦横無尽に走り回るベースラインが魅力的な一曲です。03. Centipede 02からの流れを止めずにそのまま突っ走る軽快なサウンド。masaのギターリフが冴え渡るこれぞロックという一曲。04. Silver Birch ベン・フォールズ・ファイヴを彷彿とさせる様な堀江のピアノサウンドに乗ってリラックスした細美のヴォーカルが心地良い曲。05. 堕天ここで最初の日本語歌詞が登場。ツインギターとドラムの織りなすヘヴィーなサウンドに乗ってキャッチーなメロディラインが聴く者を飽きさせない曲。06. Storm Racersパンキーでスピード感のある、典型的な細美ロック。masaのギターのキレが見事です。07. Little Odyssey ここで一息入れて最初のバラード。ちょっとコステロあたりが唄ってもおかしくなさそうな雰囲気がある位、メロディアスに仕上がってます。やっぱり細美クンのソングライティング力はダテじゃ無い感じがします。08. The Flare ハードコアな全奏から一転して、メロディックなAメロで聴く者のハートをがっちりつかみ、ファーストコンタクトの柏倉のドラムがまた最高にクールです。サビの壮大な奥行き感、メランコリックな堀江のピアノと文句なくこのアルバムを象徴する一曲ですね。バンドとしてのまとまりを強く感じる名曲です。09. 紺碧の夜にエルレファンにもちょっとサービスしておこうかな?的な「紺碧の夜に」。ライブで盛り上がる曲でしょうね・笑10. ユニコーンおいら的には、このアルバムに入れなくても良かったのでは?と思う感じの曲でした。日本語歌詞の曲になるとちょっと稚拙な感じに聞こえてしまうのは、何故なんでしょうか?おいらだけかな?笑(悪い曲と言う訳ではないんですよ)11. Twisted Maple Treesこれは見事な構成です。細美クンのお得意中のお得意パターンではあるのですが、奥行き感のある壮大なバラードに仕上がってます。やはり柏倉のタイトでトリッキーなドラムサウンドが、バラードとは言いながら見事なロックバラードの仕上げに一役買っていて、正にアルバムを締めくくるのにふさわしい一曲です。ELLEGARDENの時代からそうなのですが、11曲あっても全体で40分弱。非常にコンパクトに仕上げられており、意図的に短い楽曲を次から次へと繰り出すことで、聴く者を飽きさせない効果を持った良質なロックアルバムだと思います。ただ、エルレのサウンドを期待すると、かなり肩透かしを喰う作品なのでは無いかと思います。期待するのはファンとして当然かも知れませんが、それでは、ソロになった意味も無い訳ですし、細美武士が現時点で一番やりたいサウンドを実現したエルレとは全く別物のアルバムとしてとらえるのが正しいのかなと思います。大変にテクニカルであり、エモーショナルでもあり、細美クンの新境地をキチンと開拓した本作は、聴けば聴くほど、その世界観にはまれるアルバムですね。彼の声が苦手という人がいるのも多く耳にしますが、この声を楽器として捉えて聴いてみると、こんな感じのエモーショナルでメロディックなロックサウンドも現在の日本のシーンの中では、なかなか珍しいと思いますよ。今後の活動に期待が持てるバンドです。※今回、やや音が良いので、veohにリンクしておりますが、上手くご覧になれない 方は下記のYou Tube版でどうぞ。 ♪♪The Flare ♪♪Ghost In The Rain