◆校正ぷち成功術◆
娘がピアノを習っている先生のところで、もうすぐ発表会があります。娘はまだ新米なので、今回は様子見です。発表会のプログラムを戴いたのですが、残念なことにいくつか誤植があったそうです。私もその場で新たな間違いを見つけてしまい、先生は「ああ~!気がつかなかった」と、頭を抱えておられました。先生は発表会の準備で忙しいし、無理もないことですよね~。私は以前、仕事でこういうことを、たくさんやりましたので、実は得意分野だったりします。「先生、次回は校正の時、協力しますから!」と、言っておきました。こういう印刷物を作る時などに、自分で入力するにしても、他の人に打って貰うにしても、校正する段階がありますね。そういう時、心に留めておくと、けっこう役立つことが、いくつかあります。1.入力した人と別の人がチェックする。自分でチェックすると、たとえ間違いがあっても、原稿をすでに見て内容を知っているので、先入観で正しく読んでしまうものです。客観的に新しい気持ちでチェックすることが大切。できれば複数の第三者に校正してもらえればベターです。でもどうしても自分で両方しなければならない場合は、次の2、の精神でチェックして下さい。2.間違いはあるものだと思ってチェックする。間違えっこないと思ってさらっと見ていると、間違いは見つかりにくくなります。「間違いが隠れてるぞ、注意注意」という思いで見る必要があります。どんなに優秀なプロのパンチャーさんが打っても、たくさんの原稿を打つうちには必ず間違いがあるものです。間違い探しのつもりで気をつけてチェックしましょう。3.間違えてはいけないポイントは繰り返しチェック!タイトルや日時、人の名前などは、間違えては困る大切なポイント。大きなタイトルなどは、案外みんなが見逃してしまい、刷り上ってから、「ああ~間違ってる!」なんてことが、往々にしてあったりするものなんですよ!前の年のものを見て、今年用のものを作る時などに、06年が07年に直っていなかったり、日にちは直っているけれど、曜日が前のままだったり、そういう間違いはよくありますし、見逃しやすいものです。数字関係もさらっと流さず、しっかり見直しましょう。時にはカレンダーを出してのチェックが必要です。また、人名もややこしいものです。しかも間違えるとその当人に失礼になりますよね。原稿に忠実に一字一字よく確かめましょう。例えば同じ「わたなべさん」でも、渡辺、渡邊、渡邉、渡部と色んな字があります。分かればそれでいい、とこだわらない方ならよいのですが、うちはこの字だから、とこだわりがある方もいますので、注意が必要です。宣子さんと宜子さん、など間違えやすい字は、怪しいなと思ったら、ご本人の書いた署名などで、確かめるのが一番です。考えてみれば当たり前のことばかりなんですが、この3つを気にしているか、そうじゃないかで、だいぶ間違いの数が減ると思います。役員のお仕事などでプリントを作る機会があったら、ちょっと思い出してみて下さいね! 私はかつて出版社の編集部門にいました。流行最前線の雑誌とか、ベストセラー小説などの華やかな本ではなくて、専門性の高い、地味~な出版物を作ってました。朝の9時半から、夜の11時まで延々と、校正作業をして、それが3,4日も続く、なんてこともありました。夜眠っても校正の夢を一晩中見て、朝起きてまた仕事に行ったなんてこともあります。その頃は小説を読んでいても、頁をめくったとたん、誤植が目に飛び込んできて、興ざめするという現象が起こって困りました。目がすっかり校正仕様になっていたんですね…。でも好きな仕事だったので、生き生きと働いていた気がします。仲間たちもいい人が多くて楽しかったし。原稿を入力するパンチャーさんによって、間違いには量的な差がありました。でも優秀な人の打ったものは間違いがなかなかなくて、退屈なんですよね…。あまり赤(修正)を入れられないと、眠くなって困ります。かといって間違いが多すぎるのも困りますが…、眠くならない程度に、ほどほど赤が入る人が好きでした。ことによっては原稿自体に間違いがある場合もあります。おかしいと思ったら必ず辞書などで調べる、原本に当たる、は鉄則でした。手書きの原稿などには、謎がいっぱいあることがあります。スペイン語の文章で、分からない謎の文字がありました。一体これは何だろう?とみんなで調べてみて、疑問文の前には、?のさかさまにしたマークがついていて、最後に普通の?マークがつくものなのだ、と明らかになったこともあります。文頭のさかさまになった?マークが手書きだと全然分からなかったんですね。スペイン語を学んだ人がいれば、一発でわかったはずなんですが…。私は以前、イタリアのヴェローナで迷子になったことがありました。Via Pinaという通りにある宿を探していたのですが、どんなに地図で探しても分かりません。いろんな人が私の質問もろくに聴かず、勝手な答えをするものだから、散々歩き回った末、すごく遠くのユースに行かされてしまいました。結局、「地球の歩き方」の誤植で、Pignaのgが抜けていたのです。もし、校正の時、きちんと原本に当たって確認していてくれたら、私は重い荷物を背負ってヴェローナの街をうろつかなくて済んだはずです。まあ、そのユースでいい出会いがいっぱいあったので、結果オーライだったのですが。でもまあ、プロが何度みんなで見直しても、生き残る間違いはあるものです。それは誤植の常として、たくさん印刷されてしまってから発見されます。(アチャー!)でもベストを尽くしての間違いなら諦める他ありませんよね~~(結局そういうオチ?)。