超長期休暇が子供達に与える影響は教育格差
新年明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いします。 昨年末が忙しかったこともあり、今軽い「燃え尽き症候群」になっております。 実際のところ出版に向けてかなり加筆し、修整を入れなければならないため、まだ全然ゴールではないのですが、なんとなく一区切りがついた達成感と虚脱感です。 そこで、開き直って三が日は何もしなかったのですが、すると何もしないと決めると今度はゴソゴソと何かしたくなります。 そんな訳で今日が秘密の仕事始めとなりました。 対外的には6日が仕事始めと触れ回っているのでお仕事をしていることは秘密です。 今回の年末年始はキッチリとした曜日配列になった為、殆どの業種で土日絡みの「プレミアム」がつかなかったのではないでしょうか? 例えば4日が始業の業界でも4日が土曜日で完全週休二日の会社の場合、自動的に五日の日曜日まで冬休みになり、4日が日曜日でも今度は12月の28日の御用納めが日曜日ですから、自動的にその前日の27日の土曜日が冬休みの始まりとなるという寸法です。 この「プレミアム」によって9日間の冬休みができるのですが、今回は見事に絡まないので最短のお休みとなっているのではないでしょうか? 中小企業の場合には29日、30日まで出勤というのも珍しくなく、完全週休二日も実施されていないので、このプレミアムをうけることもあまり多くないのですがね。 私の最後の勤務先の場合は29日まで働いて、4日から出勤でしたから今年は5日間の冬休みということです。 はてさて、そんな中小企業に勤務することの多い我が地元、足立区民(私のまわりだけかも知れません)ですが、この地元小中学校の今回の「冬休み」がなんと18日間です。 12月23日からお休みに入り、1月9日の「成人の日」までが冬休みです。 一ヶ月の半分以上がお休みで「休み明け」からいきなり授業となります。 昭和の子供達のように「始業式」だけで帰ることはありません。 しかも足立区は前期後期の2学期制を導入したため、新年の一発目に「始業式」もありません。 年度の区切り、年の区切り、行事の意味。 人間は機械ではありませんから、休んでいる状態からイキナリトップギアに持っていけるわけがありません。 その為にプロ野球選手でも自主トレをして、キャンプに入り、練習期間を経て「シーズン開幕」となります。 プロなら本番だけでも良さそうなモノですが、デジタルチックに対応できないために「プロとしての練習」が必要となります。 18日間勉強をしなかった子供脳味噌に何が詰まっているでしょうか? ムシキング、デュアル、おじゃ魔女、ウルトラマンマックス、どうぶつの森、クリスマスプレゼントで貰ったPSPに、お年玉で買ったゲームソフト。 「冬休みの宿題」をご指摘されるかも知れませんが、詰め込み教育の非難からか最近の宿題は笑ってしまうほど少ないのです。 昭和の子供からみれば天国のような少なさです。 ・・・もっとも少なくてもやらなかったのでしょうが。 ムシキングの詰まった脳味噌を抱えて、1月10日から普通に授業が始まります。 そしてここにはもう一つの問題があります。 「先生の調子」 です。 教師は聖職と呼ばれていましたし、そうあって欲しいと願っていますが、そこはそれ。 やっぱりお仕事でもあります。 どんな職業でも数日仕事から離れていた「初日」というのは、どうにも本調子にはなりません。 ただでさえ少なくなっている貴重な授業時間を、「休養明け」の試し運転中の先生が教えるということです。 もちろん、公立学校の教員は「地方公務員」ですから、就業規則に則って「年末年始」のお休みにはいることは間違いありません。 が、何故か学校に先生は少なくなります。 「研修」にいかれたり有給を使われたりと様々です。 クソ忙しい最中の昨年末ですが、ボランティアで企画管理している近所の小学校のHPを新年向けに更新しなければと26日に 「新年の学校だよりできていますか?」 と副校長先生に電話をかけたところ、 「・・・それが・・・」 と口ごもります。 学校だよりは先生が持ち回りで毎月書いており、当月の予定などがそこに記されているものです。 「普通の感覚」からすれば当月の予定は前月に決まっているものなので、年内には学校だよりの新年号はできているのだろうと時間のない中でもなんとか更新しようと思ったのですが、どうにもできていない様子で 「年明けですか?」 『・・・そうですね』 「すると10日過ぎでしょうか?」 『いやっ・・・や、そ、そうですね』 といいづらそうでした。 この副校長先生は民間にいっても充分に通じる程気配りと目配りができるかですので尊敬しているのですが・・・こういう先生ばかりではなく、自分の権利をとても大切にする方を多く拝見します。 ちなみに一般的な公務員は本日が仕事始めです。 完全週休二日でも子供達が通学してくる1月10日までは3日間もあるはずです。 なにもオモシロコラムを書いているわけではないので、この間に学校だよりを作ることは充分に可能です・・・が、職員室で先生方のお話を聞いていると 「時間がない」「忙しい」 が何とかの一つ覚えのようにこだましております。 それとも今日からの3日間は授業再開に向けた自主トレで忙しいからなのでしょうか? 児童生徒の休みになると先生の数が極端に減るのがいつも気になります。 その理由の多くは「研修」。 さぞや素晴らしい教育術を研修されていることでしょう。 研修結果が存分に発揮されることを期待してなりません・・・が。 古き良き昭和の頃は先生も含めて暖機運転の期間があり、ムシキング・・・私の頃はチョロQや再放送のアニメ番組でしたが、それらを追い出して「学校のある生活」へと馴染んでいったモノです。 最初の授業などは先生の正月話で「餅を何個食べた」や「正月遊び」などで次第に脱線していき、授業が丸々潰れることも珍しくありませんでした。 詰め込み教育と批判された昭和の方が、授業時間が多く土曜日も含めて学校へ通う日数の多く、その結果、遙かにゆとりのある教育が行われていたように感じます。 私が復活を期待して止まない「土曜の半ドン」の午後は宝物のようで朝から授業時間中もワクワクしていたものです。 とっとと帰れる始業式も終業式も好きでした。 しかし、今は初日からトップギアが求められます。 生徒も教師もです。 そこには「お屠蘇(とそ)気分」なんて情緒溢れる言葉はありません。 まぁ「成人式の翌日」ですから、お屠蘇というよりは一升瓶もって乱痴気騒ぎをおこす新成人といったところでしょうか。 そしてこの「超長期休暇」が子供達に与える影響は「教育格差」となって現れます。 これは休み期間中に塾に行って新しいことを覚えるのはモチロンですが、それ以上に大きな影響は学校が始まってからです。 先生が公務員の仕事始めである今日からしっかりと「自主練習」をして生徒を待ち受けていたとします。 塾に行っていた子供も「自主練習済み」ですから、万全体勢で「シーズン」に突入します。 「塾組」は「学習脳」で望んでいるわけです。 ところがチンタラボッタラ過ごし「ムシキング脳」でシーズンインした子供達は「思い出すまで」に時間がかかります。 なにせ頭の中には金ぴかのレアカードしかないわけですから、勉強の仕方を思い出すのに時間がかかってしまうのです。 授業時間にゆとりのない現状では、サクサクとカリキュラムが進められていきます。 それは始業式の日(ではないのですが)からです。 姪のところは始業式の翌日から6時間授業です。 ただでさえ塾での学習で差がついている学力が、授業の中でも開いていくということです。 学力の差はそのまま収入の差に直結することはあまり語られませんが事実です。 正面切っていう人は殆どいませんが、学歴社会は深く静かにより色濃く浸透していっています。 そんな中、 「どの大学にはいるか」 はその後の人生に大きな影響を与えるのです。 そして社会人になったとき、学生時代と同じ 「完全週休二日」 を甘受できる仕事とそうでない仕事は厳然とあります。 まして「高卒」で完全週休二日は職種が限られてきます。 するとどうでしょう? 親元に住んでいて取りあえず生活の・・・いや 「生きていくことへの心配のない子供」 が、就職を希望するでしょうか? あまりにも快適な学生生活がそのままフリーターの増加につながっているとみるのは飛躍しすぎでしょうか? 地元足立区で幼稚園から高校卒業まで区外にでることなく育つ子供は本当に沢山います。 そしてそのまま地元企業に就職すると・・・・盆も正月も土曜日もあんまり休みはありません。 平成18年、新年第1号発行に際して、 「教育」 について取り上げてみました。 昨日、妹と話した内容がネタモトです。 それでは今年もよろしくお願いします。