他者依存のつけ
昨日は東京ビッグサイトで行われたスーパーマーケットショーに行ってきました。 ここ数年行っているのですが、今回は40回記念大会ということもあり大混雑です。入場するだけで10分の行列です。 行列を見るとスーツを着た会社員の集団が多く見られました。 このことからの実感です。「景気回復基調は本当だな」 会社員時代から、そして「独立」を強く意識してから、こういった展示会にはできる限り足を運ぶようにしていました。「公表」されている情報から本当の最新情報を拾うのは困難ですが、少なくとも「市中」に出回る前の情報ぐらいは仕入れられますし、メーカーの戦略や方向性、目指すポイントを推測する材料を手に入れられることが魅力でした。 そしてもう一つ。 データショーやプリンタフェアなどでの「コンパニオンのおねぇちゃんの肌の露出度」 が上がっていく姿が滑稽だったのです。 これはPC関連のショーでよく見かけるのですが、どうして最新プリンターのデモンストレーションで「半裸のお姉ちゃん」 が必要なんでしょうか? と思いつつも、そのお姉ちゃんを撮影して廻る「オタク」さんの姿も私にとっては一つの「セット」なんですが。 そして私も年を重ねたせいか半裸のお嬢ちゃんをみると「ウチに娘が生まれて・・・あんな格好をしていたら・・・」 と想像するだけで目頭が熱くなってしまいます。 倫理観はそれぞれですし、職業に貴賤はありませんが、似つかわしくない環境であり得ない格好をさせられることに違和感を感じるのです。 最終的には本人の決断なんですがね。 景気の底の底へと向かう90年代の終盤は、このお姉ちゃん達は減少傾向でした。 ITバブルの頃でさえ、ウィンドウズ95バブルがはじけた影響か、年々縮小していきました。 モチロン、お姉ちゃんも。 そして数の少なさに比例して、お姉ちゃんの身体を覆う布地も減少していきました。 一点豪華主義?に走ったためか、時代の趨勢かは分かりません。 その昔、「ハイレグ」というだけで「ひゅーひゅー」だった時代もありましたが、今では「非ハイレグ水着」を探す方が大変ですからね。 ところが昨年ぐらいからこういった展示会でのお姉ちゃん設置率が上がってきて、更には「コスプレ」傾向も加わり「半裸化とコスプレ化」 の二極化が進んでおります。 私は中小企業の地道な営業戦略や戦術しかやっておりませんが、こういう展示会に出展される方達はお姉ちゃん達が好きなようで、「お姉ちゃんの数は景気を映す鏡」 と言えるのではないでしょうか。 特に大企業は分かりやすいぐらいにお姉ちゃんの数が増減しますからね。 スーパーマーケットショーでもお姉ちゃんの数が増えてきましたが、それよりも私が注目したのが「見学者における平社員の多さ」 です。みんな同じ様なスーツを着ているので集団は一目瞭然ですし、ひとかたまりになった彼らはすれ違っても避けようとしないので簡単に見分けがつきます。 ちょっと大きくなった会社の経営者や管理職というのは景気がよいときは「後学のため」と会社は平社員をセミナーや展示会、勉強会に送りたがり、悪いときは「幹部セミナー」や「経営改善コンサルタント」を招く傾向があるからです。 昨日の東京ビッグサイトからは「景気回復の足音」がしっかりと聞こえてきました。 このスーパーマーケットショーは業界関係者限定という触れ込みなのですが、私はどうして入れたのでしょうか? これは我が社の専務の実家が八百屋さんで、そこのレジスターをいれている「寺岡精工」さんのご招待でした。 スーパーマーケットショーでは入場の際に、それぞれの職業毎に色分けされたネームプレートを首からぶら下げることになっています。 我が社の専務は「小売り」で、私は「その他」。 すると実に面白いことがおこります。「本当の人種差別」 です。「小売り」でギリギリ人として認められます。「スーパーマーケット」は特権階級で、「その他」は人に非ずです。 多くの出店者は「販路拡大」を目指している「スーパーマーケットショー」 ですから、当然といえば当然ですし、門外漢の私が入っていること自体が間違いかも知れませんので仕方がないのですが、あそこまで無視をされるとサスガに落ち込みます。 だって人の顔も見ずに首からぶら下げたネームプレートの「色」を判断した瞬間に「そこには存在していない人」 ですからね。 無視・・・ではなく「存在」がないんです。「小売り」の専務も、とあるブースで若手社員がサンプルを「どうぞ」と差し出そうとすると専務のプレートを素早くチェックした上司が、若手社員の腕を掴んでブースの裏手へ引っ張り、首を激しく横に振っていたそうです。「ちんけな小売りを相手にするんじゃねえ、 俺達はスーパー様を狙っているんだ!」 まぁ民間企業ですし、どんなやり方をされても結構ですが、こういうことをしているから中小企業ってきついんだなぁと再確認しました。 これは「楽天市場がなくなる日」でもテーマにしていることですが・・・ビジネス絡みのネタですので明日の「伸びる会社は知っている」にて。■伸びる会社は知っている(無料:毎週土曜日発行)http://www.as-mode.com/faxmagazine/index.html ・・・次回は、「スーパーマーケット」で参加してみるか、それともまた「その他」で「非人間扱い」を楽しむかを検討中です。 さて、防衛庁の「機密」がファイル交換ソフトのWinny(ウイニー)によって流出した事件がおき、同種の事件が連チャン中です。 本当なら万死にも値する出来事なのですが、国防いう文字を見ただけで眉間にしわを寄せる人が多いためか、あまり大騒ぎされていませんが本当はエライコッチャなのです。 が、今日の本題はそこではなく、スーパーマーケットショーにおける中小企業戦略と「楽天市場がなくなる日」のテーマの一つでもある「他者依存のつけ」 が問題の本質だというところです。 本来、パソコンというのは「ソフトなければただの箱」といわれその反面、ソフトがあれば何でも(語弊は覚悟の上)できることが特徴の機械です。 印刷機が印刷を、旋盤機械が旋盤をするように機械は一つの成果を得るための効率的な道具として発展してきました。 自動車などは多目的に見られがちですが基本は輸送です。 ところがコンピュータというのは、ソフト次第でゲームにもワープロにも計算機(本当はこれが本来の姿なのですが)になり今ではインターネットなどの情報通信端末として使われてと、これという形のない人類の歴史上異質な機械なのです。 その昔はこの異質な機械を操作できるのは、一部の技術者や専門家だけでした。 技術は必ず一般化します。 次第に進化して誰にでも使えるようになっていきました。「直感的に使える」 これに関してはマッキントッシュの方が今でも、何十倍も優れいますが、稀代のビジネスマン「ビル・ゲイツ」の巧みな販売戦略とマーケット戦略で「パソコンの一般化」にウィンドウズシリーズが貢献した功績だけは認めなければならないでしょう。 しかし、光があれば影が生まれます。 ウィンドウズのマイクロソフト社は営利団体ですから、ウィンドウズの進化の方向は自社の利益になるように舵を取ります。 舵は「パソコン」という機械を「ウィンドウズ」という機械に置き換える方向にです。 パソコンはソフトがあれば何でもできます。 しかし、ウィンドウズはウィンドウズで何でもできるようにしようとしています。 マイクロソフト社の「オフィス」などはその顕著な例です。 ワープロも表計算もプレゼンテーションもなんでもござれです。 パワーポイントは誰でも軽やかなプレゼンテーションを実現しました。 そしてプレゼンターから「創意」と「工夫」を略奪しました。 これを進化というか退化というか・・・というよりは「依存」や「中毒」と呼ぶほうが良いでしょう。 その結果、マイクロソフトのやりたい放題がまかり通るようになりました。 そしてウイニーによる流出騒動の素地ができたのです。 ファイル交換ソフトの是非については議論が分かれるところですが、ウイニーを使っていると全て流出するのかというと、それほど本来は危険なソフトではありません。 ザックリとですが、ウイニーはファイル(音楽データや動画も)を交換するためのソフトで、交換しても良いファイルを交換しても良いよとフォルダに入れておくと、ネット経由で欲しい人が「くださいな」 といって貰っていくというものです。 つまり、「交換したくないフォルダ」に入れておけば、ウィルスでもない限り流出することはないのです。 しかし、流出はおこりました。 これはウィンドウズの「マイドキュメント」の罪の部分です。「マイドキュメント」「マイミュージック」「マイピクチャ」 ウィンドウズXP以降、マイの下に全ての「個人情報」をまとめようというウィンドウズの、マイクロソフト社の戦術です。 善意で解釈すれば「どこに保存するか意識しなくてもすむ」と考えられますが、これが定着するとウィンドウズ以外のパソコンを使えなくなる危険性が高まります。 詳しい方は「外部ハードディスク」で、定期的にバックアップをとったり、機密書類はUSB接続の外部ディスクに保存して、使わないときは電源を切るといった自衛策を施していますが、詳しくない方は「マイ」に入れっぱなしです。「流出」もまさしくそうしておこりました。■ミヤワキの簡単なハードディスクバックアップ方法を紹介しています。http://www.as-mode.com/recom/hd_backup.html ウイニーの設定でも他のソフトの設定でも、保存先や保存場所は指定できるものです。 しかし、自覚症状がなく依存し中毒になった使用者は、「マイドキュメント」 になんの疑いもなく保存していきます。 そして多くのマイクロソフト社のソフトがそのことを推奨するかのような誘導をしています。 気づいたら「保存先はマイドキュメント」に違和感を感じなくなります。 そして各種流出事件につながりました。 これはマイクロソフト社の見事な戦略です。「ウィンドウズ以外のパソコンが使えなくなる」 からです。 だって保存先のオシキセなんて「ウィンドウズでしかやっていない変なルール」 なのですから。 技術的な話になるのも何ですので、これ以上踏み込みませんが、ハードディスクの使用方法や、容量との兼ね合いからもマイドキュメントに依存するのは大変危険・・・と、私は考えます。 私も商売柄、仕方なくウィンドウズを使いますが、重要なデータは外付けのハードディスクにいれています。 本業の集客もネットも使いますが、アナログなダイレクトメールを好んで使っています。 その昔、「楽天ビジネス」の説明会に行ったときに、実状がすすけてみえたこともありますが、商売で大切なことはまずお客さんを集めることですし、これを他者に依存することは大変で、楽天さんに期待することではないと結論付けました。 人脈や異業種交流会などを「活用」することも考えましたが、こちらも結局は他者依存です。 使わない手はありませんが、偏るのは危険です。 便利な道具や方法は是非にと使うべきなのでしょうが、その本質がどこによりかかり、何をなすべきものなのか? ことの本質を見誤ると・・・中毒が悪化してしまいます。 流出事件よりもマイクロソフト中毒が増えていることの方が・・・私には空恐ろしいのです。