公表されている数字からでも「あれ?」を発見
高度情報化社会・・・というより何でも垂れ流される時代となり、プライバシーの流出などのリスクはありますが、同時に全てを包み隠すことも難しく、為政者や権力者、既得権受益者にとってはやりずらい時代でもあります。 細かな数字が好きな人はほじくり返して欲しいのですが、私はスーパーの店頭で「割引価格」を計算するときも大雑把で、例えば「3割引き」ならば、100×0.7=70円 または100ー100×0.3=70円 とするのでしょうが、私はこうします。100×(10ー3)=700円の0をひとつとる だいたいで価格がわかれば、財布の中身との折り合いがつくというやり方です。そして整数。小数点や分数をいれると面倒なので。 と、いう「数字感」でお届けします。 原油が上がって大変な漁師、農業、輸送関係などはさておき、便乗値上げが相次いでおります。正直に言えば永らく続いた「デフレ圧力」 にプラスして「値下げして誠意をみせんかい、ゴルァ」 という「やかましい消費者」 が企業利益を極限まで削り、しわ寄せの波が中小零細にはビッグウェンズデー並の大波となり所得を押し下げ、さらにそれが「もっと安いものをださんかい」 というスパイラルを生み出していた面を鑑みると千載一遇の「値上げチャンス」 とみていました。 皆さん、すっかり忘れているようですが、昭和のころはずっと値上げベクトルで、ビールとタバコと少年ジャンプは定期的に値上げされていたものです。 だから「時代が戻った」と考えれば、それほど大騒ぎするほどでもなく、お金持ちのくせに庶民の味方をしたがる識者が「昭和と違うのは従業員の給料が上がっていない」 と悲嘆しますが、お金持ちになって忘れたのでしょうか。昭和のころも物価上昇に賃金が追いついてはいませんでした。だって、「年一回昇給」という制度の会社で見れば、販売価格は死活問題とすぐに値上げしたからと言って、社員の給料を翌月から上げることはできません。 と、いうのはこの道理でことを決めるのならば、売上が下がった翌月の給料を下げなければならないからです。そこで通年の利益と支払えるバランスで昇給が決定されるのです。 つまり、物価が上昇し続ければ給料は上げなければ、社員の生活はなり立たず、またはより多く支払う企業に移籍され、企業経営を揺るがすという圧力が賃金を押し上げる・・・というのは経済学以前の話しです。 だから物価上昇を政府や政治の責任として嘆くのは簡単ですがもっとも無責任な言説なのです。もちろん、そこに責任がないとはいいませんがね。 これは以前、指摘したことですが、物価上昇に伴い「実質賃金」要するに「使えるお金で買えるもの」が目減りしたことも嘆きますが、ならば「デフレスパイラル」の最中、「生活がしやすくなった」 と喜んだ識者がいたでしょうか。私は喜んでいました。その昔、ビールの特売といえば「バドワイザー」や「クアーズ」で円高差益での特売で、国内メーカー品は「高嶺の花」だった貧乏時代を思えば天国のようだと。また、BSEが起きる直前は米国産牛肉は特売で100g98円で販売されており、「牛肉だけで喜ぶ世代」 としてはこれまた夢のようでした。 そして今も高くなったとはいえ、昭和に比べればまだまだ割安だと見ています。 それでも高くなったなぁと思うガソリン価格がここにきて値下げ基調に変化しました。自動車利用を控えた需要減による「在庫増」で8月の頭には噂されていましたが、この時は「余剰ガソリンは中国などへの輸出」 して値下げは原油価格の高騰から考えられないと、元売り各社は口にしていました。ただ、この頃、上半期の増益が発表され方向転換へと模索する発言がでてきていました。 増益理由は「値上げ前の在庫販売による」という一時的な要因だと説明していましたが、だとすれば「なぜ価格据え置きしなかったか」 という突っ込みが上がります。 第一、街角のガソリンスタンドの閉鎖が相次ぐ中、元売り各社が潰れたという話しはありませんし、在庫計算の変更で多少のでこぼこはありましたが、軒並み儲かっております。もちろん、ガソリン以外の販売もあり、それが貢献しているのしょうが。 そしてここに来て原油価格は下落基調で、今朝方のWTIでは一時101ドルまで下げを記録しました。 てなわけでガソリンも下げます。と。 はい、ここからが数字の話しです。 昨年来「苦しい」を繰り返して、ガソリン価格を値上げに舵を切りました。それまでは「頑張った」と消費者も一定の理解を示したのですが、その後は皆さんも街角で見たことのある「月末のガソリンスタンド渋滞」 という風景となり毎月値上げしていきました。 2007年上期の大雑把なWTI原油価格は65ドル前後。 2007年上期の大雑把なガソリン価格は130円前後。 2008年の最高値近辺のWTIは140ドル前後。 2008年の同じくのガソリンは175円前後。 ※ガソリン価格は我が家の近所価格です。領収書より。 WTIの上昇率は2.15倍。 ガソリンのそれは1.35倍。 ちなみに今朝の最安価格101ドルで比較しても WTIの上昇率は1.55倍。 ガソリンのそれは1.35倍。(175円計算、ちなみにウチがいれているGSの現在 価格は162円でこれで換算すると1.25倍) ・・・原油高騰の価格転嫁により経営が苦しく、それによるのであればガソリン価格が下がるのはおかしな話しではないでしょうか? 血の滲む努力をしていたからだ! と元売り各社の関係者は反論されるかも知れませんが、きっちりと利益を確保し、あまつさえ「在庫差益」でも利益を上積みし、その反面、廃業するガソリンスタンドがあります。 これはざっくりとした数字の話し。 原油はそのままでガソリンとして使えるわけではなく、同じ原油でもガソリンにしやすいものと、そうでないものがあり、単純計算を結論とするのは無謀ではあります。 そして営利団体である企業に損をしろというつもりはさらさらなく、上手く情報をコントロールしているとして賞賛する気持ちもあります。商売人としては。 ただ、公表されている数字からでも「あれ?」を発見するのはよくあるよ。というお話しでした。