枇杷の花
そろそろ冬も終わりそうな気配ですが。。。この冬、とても感動したことがあります。少し前、お友達のところへお昼をおよばれに行った時のこと。彼女が枇杷の花の香りが好きだ、という話をはじめました。何と形容したかははっきり覚えてないのですが・・「もわっとこもったような」だったか、「獣っぽい」だったか、ようするに、花の香りとしてはあまり良い印象を与えない言葉で表現していたんですけど、それでも彼女はその香りが好きだと力説します。悪いけれどわたしは花の香りを嗅ぐことにかけては病的とも思えるところがあります。道端で咲いている花という花の香りをすべて確めて歩きたくなるほどです。地面に咲いた小さな花の香りを嗅ごうとしてひとりで這いつくばっていることもままあります。そういう私が、この話を聞いたら当然ながら嗅ぎたくなります!「嗅ぎたーい!」とだだをこねていると、彼女が家のそばの木がまだ咲いているかも、と言って一枝折って持ってきてくれました。枇杷の花はふつう12月ごろに咲くそうなのですが、この冬は2月に入ってもまだ咲いていたのです。ラッキーでした。わくわくしながら嗅いでみるとその香りは・・・『杏仁』そのもの!梅の香りにも少しにているように思ったけれど、もともとはどれも同じバラ科。そう、枇杷ってバラ科だったんだ、とあらためて認識させてくれるような香りでした。そういえば去年の夏、枇杷の実をいただいた後、種を齧ってみた時にも強い杏仁の香りがしてとても驚いたものです。ただし、ひじょーーに苦くもあり、その時は「えらいことしてしまった」と後悔もしましたが。。。あまりの苦さに恐ろしくなり、家族に「いま枇杷の種を齧った」と言い残しておいたほどです。(もし死んでしまったときのために。。生きてますが。)まぁそのはなしはさておき・・枇杷の花はたしかに見た目は獣っぽいかもしれないけれど、私にとってその香りは爽やかでこそあれ、「もわっとこもった」ような印象とはかけ離れていました。高いところで地味な花を咲かせながら、こんなにも華やかな香りを放っている枇杷の花。この冬の、静かな感動でした。