星屑の片隅で
https://kyoto.uplink.co.jp/movie/2023/12605以前ドラッグストアで見た光景。化粧品売場のセルフのサンプルが並んでいる棚の前にいた若い女性とその娘と思われる3〜4歳の女の子。お母さんはしゃがんで下の棚の何かをあれこれ試している。傍らの女の子はちょうど目の高さにあったマニキュアをあれこれ選んでは自分の小さな爪に塗っている。ちょっと離れたところで私も何かを時間をかけて選んでいた。その親子は無言のまま、ずっとサンプルをあれこれ無心に試していた。女の子はあんなに小さくてもやっぱり女の子なんだ。母親と一緒に同じ興味のある商品の棚の前で時間を忘れて試しているその二人の様子が微笑ましかった。この映画のヒロインと小学校低学年位の彼女の娘を見てあの当時の光景を思い出した。このヒロインは如何にもな母性は全面に出さず、まるで娘と姉妹のようなやり取りをしている。娘もしっかりしていて、母親を冷めた目で見たり、母親のような態度をとったりしている。韓国もそうだけど、この香港の映画も子役が自然な演技をしている。セリフではなく普通の対話をしているよう。母子家庭でカツカツなのにその中で2人ともカラフルで可愛いオシャレをしている。路頭に迷う場面にはこちらまで胸が苦しくなった。実家には頼れないのだろうな。当たり前のように万引きをしたり、仕事でズルをするのもそれまでの成育歴なのだろうな。主人公の男性と深刻なトラブルで一旦縁が切れてしまうも、再会した時は希望があると思えた。ヒロインの娘もこれから安定した生活の中で成長すればちゃんとした女性になるはず、そんな予感を感じた静かなラストだった。