「ジャーナリズムの良心」を描くジョージ・クルーニー監督作品「グッドナイト&グッドラック」
昔の映画?と一瞬目を疑うようなモノクロのスタイリッシュな画面。1950年代のアメリカ。流れるジャズの名曲(黒人女性シンガーと、サキソフォーン、ベースとピアノのジャジーな雰囲気が素敵)、部屋に立ちこめる煙草の白い煙、シャツにタイ姿の男たちとフェミニンなスーツ姿の女たち、洪水のようにあふれる知的な会話。クールでスタイリッシュで渋くて骨太な映画です。 ジョージ・クルーニーの監督2作目、「グッドナイト&グッドラック」。1950年代、赤狩りによる共産主義排斥が進むアメリカを背景に、言葉の力で権力に挑んだ男エド・マロー!ジョージ・クルーニー監督作品!情熱的に正義を問い、心揺さぶる感動の実話!【DVD】◆グッドナイト&グッドラック◆ これは、エド・マローという、アメリカに実在したテレビキャスターとそのスタッフたちの実話です。(今でも「アメリカの良心」としてジャーナリズムの神様のように尊敬されている人だそうです)1950年代、マッカーシーによる「赤狩り」が社会中に吹き荒れるアメリカ。共産党主義に関わる、賛同した者たちが次々と職を失い人々はお互いに疑心暗鬼になっていく、そんな中で政治と報道のありかたを、「仕事生命(あるいは自分の生命も?)」を賭けてジャーナリズムというツールを武器に闘った男たちの物語。もちろん彼らの行く手には、潰しにかかろうという強力な圧力がのしかかってくるのだった。 Amazonでの説明がとても分かりやすかったので、お借りしますね。(Amazonより抜粋)【STORY】1954年、アメリカ。百万人の視聴者が、ひとりのニュースキャスターに未来を託した─これは、全米を勇気で満たした感動の実話である。1950年代アメリカ。マッカーシー上院議員による"赤狩り"が数千人に及ぶ国民から職を奪い、恐怖が全米を覆っていた。報復を恐れるマスコミが批判を控える中、議員の真の姿を報じ、アメリカに自由を取り戻したのは、一人のニュースキャスターと、彼と共に闘った記者たちだった。ジョージ・クルーニーの監督第2作は、大手テレビ局CBSの人気キャスターでありながら、自らの人生を危険に晒してまでも不当な権力と闘い、「テレビ・ジャーナリズムの父」と今も讃えられるエド・マローの実話に基づく物語。当時、全米を勇気と感動で満たしたマロー達の壮絶な闘いは、ニュースキャスターだった父をもつクルーニーにとって特別な意味をもっており、アメリカや世界がテロによって保守化する今、敢えて挑んだ渾身の一作である。(タイトルの「グッドナイト&グッドラック」は、番組を締めくくるのにマローが毎回使っていた言葉)JFKが、モンローが、アインシュタインが、愛してやまなかった男──エド・マローとは?エド・マロー(本名:エドワード・R・マロー)は、1930年代後半から50年代にかけて全米でもっとも高い人気を誇り、"アメリカの歴史を変えたひとり"とも称された伝説のニュースキャスターである。死後すでに40年が経過しているにもかかわらず、その名声は今なおアメリカ放送史の中で燦然と輝きつづけ、彼を信奉するジャーナリストは後を絶たない。「この試練の時代に、自ら巨悪と対決し、人々に勇気を与えたあなたを私は尊敬する」─アルバート・アインシュタイン「大統領がどれだけあなたを手本としていたか、覚えていてください。貴方はアメリカに再び誇りをもたらしました」─ジャクリーヌ・ケネディ エド・マロー役のデヴィッド・ストラザーンが渋いです。モノクロの画面の中で、知的で大人の「闘う男」を好演。彼はこれまで主役級を演じたことがなかったそうですがさすがジョージ・クルーニー、ぴったりな人を探してきましたね。彼が番組の最後で必ず締めくくりの言葉として伝える「Good night, and good luck」の低い声とその陰影のある表情が、その時々(ニュースの内容など)によって余韻があって素晴らしいです最後のスピーチで彼が伝えるメッセージが、この映画のメッセージと言えるでしょう。娯楽のためだけにテレビが存在するなら、それはただの箱。使う人たちの良心にかかっている。(映画どおりのセリフではないですが、大体こんな意味だったかな) そしてジョージ・クルーニーはもちろん当然素敵です彼が主役を演じる立場を選ばず(監督と共同脚本)主演はストラザーンに譲って、自分はいささか地味目な役に回ったところにも、彼のセンスの良さとこの映画に対する心意気を感じます。ところどころに挿入される、当時のフィルム(マッカーシーの公聴会など)がまたリアルな雰囲気を出しています。それにしてもこの映画に出てくる俳優さんたちの声の素敵なこと。キャスター役の人たちはもちろん、他の人たちもみんな全体的にトーンとテンションを抑えめにした、知的な会話にふさわしい、渋い声。女優さんたちの話し方も気に入りました。「グッドナイト&グッドラック」-オリジナル・サウンドトラック-/サントラ[CD]全体的にジャーナリズム系の単語が多く会話のスピードも早いですが、英語を学習している人には英会話リスニング教材としても、かなりお勧めです。