獅子の舞
仕上げた論文の初稿校正も終わり、久しぶりに晴れ晴れとした気分で朝から「石橋」を鑑賞する。狂言方石田幸雄さんとシテ方宝生流田崎隆三さんの雙ノ会が5年目を迎え、記念の追加公演(若手能)となった朝の部は狂言が「清水」、能が「石橋」。 この「石橋」は、宝生流では前シテに該当する童子をツレの役者が行い、後シテとなる獅子のみをシテが行う。装束を替える必要がないため、間狂言もない。しかし、今回は<連獅子>の小書が付き、童子&赤獅子を田崎甫さん、白獅子を田崎隆三さんという形での上演。宝生流としては非常に珍しい。間狂言を野村萬斎さん。舞台には通常の紅白の牡丹に加えて、桃色牡丹も出される。 午後は雙ノ会の本公演であったが、それは観ずに国立能楽堂の山本会別会へ。「素袍落」、大曲「花子」、稀曲「政頼」の3番。「清水」から狂言4番というのもなかなか贅沢であった。 論文というのは1年のうちのほとんどが頭のある部分を占めているのだが、校正が終わる時というのは晴れ晴れとする。今回も(「も」だよ、トホホ)教育の論文で、文芸作品の論文とは違う葛藤を抱えつつの執筆であった。内容的にはもう少し、というか切り口をもう少し何とかできればと思われる展開であった。今回の論文の題目は「『高等小学読本』における教材化の一側面―能楽作品を例に―」というもので、学内機関雑誌での発表となる。前にも書いたが、当初集中的に調べていた内容が、ちょっと大きくなりすぎてしまったため、急遽こちらを先に完成させた。本来やりたかった、つまり自分の専門である分野の教材が先にできればよかったのだが、今回のものはその手がかりとなればいいな、という気持ちで仕上げた。事実の指摘としては結構面白いものができたのではないかと、これは自画自賛。