「直感」と「直観」についての考察
「直感」とは辞書で引くと、説明や証明によらず、すぐに感じ知ること。そして「直観」とは判断・推理などの思考作用によらず対象をすぐ了解すること。どちらも同じような意味に見えるのですが、ちょっと違うのがわかります。英語では 直観:intuition, feel, know 直感:intuition, six sense, gess, perceptior, sense, feel, knowそれというのも占星学では直観を必要とするのはよく言われることで、占星学の翻訳された本や日本の占星家などもこの「直感」ではなく「直観」という言葉を良く使っているのを見かけます。そうですね。直感とはすぐ感じとるというその現象自体を言っているのだと私は思います。私はずっとこの直観という言葉の本当の意味に敏感になり疑問に思っていたのですが、先日これについて話題になる機会があり、自分なりの考えをまとめようかなと思いました。占星術で直感または直観を使うという場合、どういうことなのかなということです。デビット・コクランという占星家はチャートを分析する場合体系的分析と非体系的というアプローチがあると言います。そうすると自分がしなければならないのはまず当然ながらある順序だてて体系的に分析するという作業ですが、それが一つ目でです。非体系的なアプローチというとある種の勘、ここで言う直感を使って何かを感じ取るという方法です。それは多くの経験から得られるもので、何となくチャート等からこの部分が非常に重要であるとか、重大な部分がわかるといったものです。時には出来事の予測など。その利点は、非常に重要なものを見落とすことがないということのようです。この実例として、シナストリーで二人の相性を見る場合、多くの惑星のインターアスペクトが非常に良いものであったとします。ここである直観で何かを感じることが出来れば、例えばASCに土星の乗った人は、もう一人のASCに金星の乗った人とはある重大な矛盾がお互いにあるかもしれないと推測するようなものです。占星術で直観あるいは直感を使うということは、使いすぎれば占う人間の見たいものを証明するための道具としてチャートなどが使われる危険があるし、例えば心理占星学は上手に使えば全く有用なのですが、そういう意味で完全に理解するのは難しいものに私は感じます。私の場合、自分が実際に分析するときは、一つの実例を一通り見ますが、それを詳細に記述するほどに時間をかけることはないと思います。クライアントがいる訳でない学習者なので、まずそうする必要がないのとそれ以上の知識を得る時間が絶対的に必要なので。だから、本当は体系的な分析を完全にするわけでもないし、それ以上の直観を得ようと知識をひたすら集めているのかもしれません。私は芸術家が必要とするインスピレーションや神秘的なことに喜びを感じるタイプではなく、もっと実際的な精神のレベルで生きているので、天から何かの啓示が降りてくるとかいうような種類の直感を当てにするタイプでもないし、それに期待をしようと思ったこともない人間なので、その直感と直観を混同してはいけないなと思っています。実際に予測の時にこの天から降りて来た直感が大当たりでそれが占星家としての評判を上げるようなことが起こるかもしれないけれど、これは占星学で言われる直観を必要とするということとは別の、霊感、テレパシーか第六感といった種類の、信じられないけど存在するごく一部の人に与えられた才能といえるのかもしれません。現実的に占星学を学ぶ上で理想とする直観を磨いてそれを活用するという、実際的な方法は、ある程度の努力と気持ちの持ちようでなんとか得られるものだと思っています。女性の直感は鋭いとかよく言われることですが、それはつまり特に人間関係で実際の経験や出来事の事実を男性より細かく記憶しているということかなと。そう言うと誤解を受けるかもしれないけれど、女性は人の心の動きや顔の表情の変化、その時の状況といったものを実に細かく覚えていることが多いです。だからこれらの経験は、次に同じ状況に来た場合フラッシュバックのように右脳から何かを直感として受け取ることが出来るということだと思っています。この経験から得られるものが直観だと私は思っています。実は人は実際に誰でも皆これを使っている訳です。それが人によって差がありどれだけ使うか、どのように使っているのかは知ることが出来ないので残念なところですが。リズ・グリーンが書いた本の中で火のサインは直観に優れているという記述が多々ありそれが当然のように書かれていることが、少し誇張されているなという印象がありましたが、一般に火の活動性はインスピレーションと指導力として発揮されると言われています。火の直観あるいは直感がギャンブルやゲームに向けられた時のその底力を実際に見たことがありますが、実に豪快で負け知らずです。分析はなくヤマ勘で行動していましたね。逆に負けるときも豪快ですが。日本のある占星家で自分は直観を使うタイプだと述べているのを数人見かけましたが、これが火のサインの特性からくるもののような気がします。ただチャートを読むときにすべてこの非体系的なアプローチ、直観で読むならば、それが誇張された創作にならないことを願うばかりです。ただでさえ巷の当たらない占いと同種に西洋占星術が見られるなら悲しいことですね。日本のプロの占い師には、ヨーロッパやアメリカなどのように西洋占星術の地位をもっと上げてもらえるように頑張ってもらいたいです。出来れば私がクライアントとして相談できるような占星家がいれば良いなと思うくらいです。