オレの手のひらの好みのタバコ。
いつも吸っているタバコの銘柄、パーラメントのショート、正格にはショートではない、10センチの長さのヤツと8,5センチのヤツと長さが2種類ある、10センチのヤツは滅多に吸わないから、くわえて火をつける時、その長さのセイでどうも違和感がある、それとどうも味が変わるような気がして、吸殻をバラしてみると、フイルターの長さが5ミリ違う、この違いが、味を変えているように思う、8,5センチの短い方をいつも吸っている、買う時にショートといって通じるからショートと呼んでいる、オレの吸う長さのヤツを置いているタバコ屋さんが少ない、自動販売機では滅多のお目にかからない、だから近所のタバコ屋さんに置いてもらっている、人通りの多い道の角のよく売れるタバコ屋さんだが、このタバコはオレのほかに買う人が殆どいない様子、以前はパッケージが2種類あって、パッケージが違うだけで中身はまるっきり同じだが、ハード・パッケージ派が圧倒的、オレは専らソフト・パッケージであった、余計に売っている店が少なかった、しかしソフト・パッケージの方が生産中止になり、やむなく、今はハード・パッケージを買っている。 10箱入りのカートンで買えばいいものを、いつも買うのは3箱、毎年、正月も店を開けている気がして、大晦日の日も3箱だけ、元旦に買いに行くとシャッターが閉まっていて、3日間休みの張り紙、あのオヤジ、大晦日に正月は休むと一声かけてくれれば、2カートンほど買っておいたのに、と思いながら、店の横に置いてある3大の自動販売機を、帰る方角の向かい側に渡る信号が赤に変わったので、ユックリと見てみるが、勿論、オレの買いたいタバコは入っていない、パッケージのデザイン変更があった後と、最近は新製品を買って吸ったことが無いので、知らない銘柄のタバコが随分とある、ある時期まで新製品が発売されると、必ず買って吸っていたが、ドンドンとニコチンやタールの少ない、軽いタバコが新発売されるようになり、吸っても味も香りも無い、タバコを吸ったような気にならないのや、香料でタバコの香りをつけたものが増えてきて、このタイプは舌に残る後口が悪く苦手、買っても1本だけ吸って、これはアカンと、誰かにあげてしまう、そんなタイプの新製品のタバコが多くなりだし、買わなくなってしまっていた、今吸っているパーラメント、珍しい事に、もう10年以上も同じ銘柄が続いている、タバコを吸いだして約45年、随分と好みの銘柄は変わってきたが、この銘柄を吸っている期間が一番長い。 3台の自動販売機の中のいろんなタバコ見ていて、思わず目に留まったのが、「ラッキー・ストライク」の復刻版というヤツ、2種類、1916年と1942年の当時のブレンドの再現というヤツ、特に1942年はオレの生まれた年、面白そうなので両方とも買ってみた、日本の国旗のようなパッケージのデザインのこの銘柄には強烈な印象がある、子供の頃、アメリカの進駐軍、胸ポケットからこのタバコを取り出し、ヒョイと一振り、飛び出したタバコをカッコ良く咥え、ジッポーのオイル・ライターで、ジュッポーとばかりに火を着け、タバコの吸い方、咥え方、持ち方、その明るい、楽しそうな、大柄ながら、オレタチを見る目が青く済んでいて、優しい眼差し、その全てが眩しいほどカッコよく、このラッキー・ストライクのタバコと、ハーシーのチョコレートと、リグレーのチューインガムと、グレン・ミラー楽団の演奏の「アメリカン・パトロール」、これらが同じように強烈な印象として残っている。 その割に不思議なほどこのタバコを買ったことがなかった、ただ、吸ったことが無いわけではないが、その子供の頃のこのタバコに対するイメージと、実際に吸った時のこのタバコの味、これは完全にオレの好みの問題だが、フーン、アレがこの味なんかという期待ハズレが有ったように思う、兎に角、2種類を吸い比べてみた、1942年のヤツは余り癖が無く、吸うのに抵抗がある味ではなかった、1916年のヤツは少し癖があり、オレの好みから行くとこちらの方が好み、時々、吸ってみたくなる味だった。 両方とも長さが7センチのフイルター付タバコ、長さはショート・ホープと同じ、そしてソフトパッケージ、この寸法のタバコのパッケージ、オレの手の大きさに丁度具合が良い大きさ、片手でポケットから取り出し、口に運び、振って飛び出したやつを咥える、長くパーラメントのソフトパッケージを吸っていたのは、ポケットから取り出したときの手のひらの感覚、片手で出来るこの一連の動作、それとポケットの中でクシャクシャになるのが、嫌われた原因だが、オレはそこがむしろ好きだった、買ってまっさらの時、半分くらい吸った時、残りが数本になったとき、残りが1本になった時、そして無くなった時、ポケットから取り出した時に、それぞれ違う表情をしている、その点、ハードパッケージは中に20本入っている時も、中が空の時も同じ顔をしている、この長さのタバコのソフト・パッケージ、妙にオレの手のひらの大きさにあっていて、馴染み易い大きさ、パーラメントにこの7センチの長さで、ソフトパッケージがあれば、明日からでもこれにかえるだろう。 繊維製品を触るのが大好きだったオレの手のひら、ポケットから取り出すタバコにもこれだけの好みがある、バーボンのオンザロックの時は、底の厚さと、持った時のバランスはバカラのグラス、大きさは小ぶりのグラスが良い、万年筆やボールペンの握りは太い方が良い、女性のバストは、限りなくAカップが好みのようだ、オレの手のひらが。■「今日の言葉」■ 「 進歩と向上の道は困難が伴い 退歩の道は安易である 」 「 謹 賀 新 年 」 今年も、よろしくお願いします。