30年
かつて「10年ひと昔」と言われたが、今は社会や時代の変化が速いから、「5年ひと昔」あるいは3年かも知れない。それはともあれ、30年間あることを貫いてくるというのはなかなか大変なことだ。30年前と言えば、私は二十歳で大学3年生。やることなすことうまくいかない大学生活で、もがいていた頃だった。夏休みには、鉄道で45日間のヨーロッパ貧乏旅行を敢行した。柄でもない大学祭実行委員の一員として、心で泣いた日々もあった。カール・マンハイムの『イデオロギーとユートピア』に取り組むようになったのも、この年の秋か冬だ。長かったと言えば長く、しかしあっという間だったとも言えるこの30年――自分はどの程度成長したのだろうか?