漆器の蓋物
先日の金属の蓋物についで今日は漆器の蓋物を紹介します。厚みこそ違いますが大きさはほぼ同じでどちらも直径7センチ半ほどです。 長年の使用で上塗りの朱漆が剥げたところから下塗りの黒漆がのぞいています。それぞれ深みのある朱と黒の対比が魅力的です。こういう漆器を根来と呼びます。 根来については過去に鉄の扉を見た時に紹介した気がして探してみたら文中に「大変高価な」などと記しています。確かに室町時代の根来の瓶子とかそういう名品は簡単に手の出るものではありませんがまだまだ数のある江戸期のお椀とかだと場合によってはしっかり作った現代のものよりも手を出しやすいぐっとお手ごろ価格になる訳です。 この蓋物も擦れも多く状態としてはあまりよいものではありませんし、前所蔵者が朱肉入れにしていたもののようで朱肉の匂いと油気が残っています。同じようなものがある茶道具の図録に「根来 一文字香合」として紹介されていましたが、漆器についてはまるで知識がありませんのでこの自家の蓋物の産地も時代も判りません。ただ色彩とかたちが気にいって求めたものです。 ちなみに先日朝鮮の立像のところで紹介した躊躇い無く求めた3点とは立像と、この根来、そして立像や根来を置いている真っ黒に煤けた使い込まれた文机(これが薄い杉材で作られたまたなんともいいかたちなんです!)です。