ひとくぎり
思うところあって2002年8月7日から長い間書き続けてきたこの「生畑皿山通信」ですがいったんここで更新を打ち切ります。現地点で108135のアクセスカウンターが示すように思い掛けないくらいの多くの方に読んでいただき、ここを通じてたくさんの思い出や交友を持つことが出来たことについても感謝しています。 こちらでは日々の個人生活とそのなかで見たこと出会ったこと感じたことや考えたことなどについての感想などを主に書きつづってきましたが、自分の生き方の中心にあるうつくしいものを見てうつくしいものを少しでもこしらえてということについては「生畑皿山窯」のホームページを通じて引き続き書き綴ってゆきたいと思っています。 少々気負ったことを言いますが最後だと思ってご笑覧下さい。 「うつくしいものさがします」は日々の日常の身の回りのものを少しもおろそかにしないという誓いに他ならず、それは言うまでもなく工芸だけのことではなくて自然環境や様々な人間の営みや、もちろん近しい人たち、家族や友人や恋人とのこころの繋がりについても誠実に丁寧に見つめて生きてゆきたいということです。うつくしいものとは真実が姿したもの以外ではありえないからです。 また「やきものをつくろう」はもちろんただやきもの入門というふうなことではなくうつくしいもの、つまり真実の具現がどういう背景から生れて来るのか、何によって裏打ちされているのかということについて自分の生涯を掛けて見つめてゆきたいというのが本願です。ものを作るとは言いますが、自分とはほんとうのところは未だこの世に生れてこない生れたがっているなにものかがようやく見付けたこの世にポッカリと開いたまあるい穴のようなものではないかと、そういうことがごくあたりまえのほんとうのように実感されるのです。 このサイトは自分にとってはこの6年間の生きた証の記録でもあり何か確かめたいことなどがあって過ぎた過去を時折振り返って見返せばすでに他人事のようで面白かったり、今よりも少し若くて生意気な自分やこう言うのも変ですががんばっている様や気負った物言いもすでに失われた古い交友も全ては懐かしく愛おしいような気がするのもまた正直なほんとうです。また他の誰かここをご覧の方にとっては何か役立ったり楽しめたりするかも知れないということもあり、このまま削除はしないで残しておくつもりではおりますがBBSと各記事へのコメントの書き込みおよびトラックバックは管理上の理由で停止します。何かご意見お問い合わせなどがある方はこのトップページの中央辺りにメールへのリンクが付けてありますのでこちらからお気軽にご連絡下さい。 右側メニューの中にある「やきものができるまで」はこれから陶器を作ろうという方にとっては少しは有意義なものに出来るのではないかと願ってはいたのですが残念ながら「薪」、「土」、「釉薬」についての下準備を簡単に書いただけで長年その先を書き進めないままにしてしまったことが唯一の心残りです。 いつか何かを切っ掛けとして更新の再開をするかも知れませんがまたその日まで。それは近い日のことか永遠にないことかはわかりません。もちろんなにか書きたいこと、書く必要のあることがあるときには明日にも再開することに躊躇いはありません。長い間ありがとうございました。ではひとまずこれでひとくぎりです。2008.8.29 生畑皿山窯 陶工 前野直史