知って役立つ 暮らしの法律(10) 成年後見制度 本人に代わり財産管理
知って役立つ 暮らしの法律(10) 成年後見制度 本人に代わり財産管理「母の認知症が進み、施設に入ることになりました。入居金など費用を用意するために母の定期預金を解約したいのですが、母は自分ではできません。でも、銀行で、本人の意思確認ができないと解約手続きができないと言われました。どうしたらいいのでしょうか」こんな時に役立つのが成年後見制度です。加齢や認知症などによって本人の判断能力が後退した際に、「成年後見人」が本人に代わって財産の管理などをして、生活をサボートする制度です。どう選ぶ?家庭裁判所に「成年後見人を選んでほしい」という申し立てをします。申し立てができるのは、本人と4親等内の親族です。医師の診断書や本人の財産に関する資料等の提出が必要です。裁判所で成年後見人が必要だと認められた場合は、裁判所が、誰を後見人にするか決めます。申し立てる際に、後見人の候補者を立てることもできます。娘や息子などが候補者となり、選ばれることも珍しくありません。候補者がない場合は、裁判所が弁護士や司法書士などを選びます。後見人に不正な行為があった場合、親族などの申し立てで解任されることもあります。何をする?①すべての財産の管理成年後見人は、本人に代わってすべての財産管理を行います。たとえば、預金の管理(出金・入金)や不動産などの重要な財産を必要に応じて売買できます。介護契約、施設入所契約、医療(入院)契約など、生活に必要な契約をすることもできます。遺産分割協議もできます。②裁判所への報告成年後見人は、選任後すぐに本人の財産を調査し、年間の収支予定表を作って裁判所に報告します。さらに、少なくとも1年に1度は収支状況を裁判所に報告します。時にはかなり高額な資産を管理することにもなりますが、すべて本人のために管理する必要があります。裁判所は適正な財産管理がされているかチェックします。元気なうちに自分で決められる将来必要になった場合に備えて、自分が元気なうちに自分で後見人を決めておく制度(任意後見制度)もあります。将来サポートしてもらう後見人=任意後見人と、あらかじめ契約を結び、何を依頼するのか決めておきます。契約書は、公正証書でつくります。その後、後見人が必要になったときは、診断書等を添付して裁判所に「任意後見監督人」を選んでもらう申し立てをします。任意後見監督人は、任意後見人が適切に仕事をしているかチェックする人です。任意後見監督人が選ばれるのと同時に、任意後見人の仕事が始まります。大久保佐和子(弁護士・あかしあ法律事務所)おわり「しんぶん赤旗」日曜版 2016年11月27日付掲載成年後見人になったとしたら、かなりの仕事量になりますね。同居か、ご近所に住んでいないととても無理です。