天の町やなぎ通り ぽんぽん山の月
注文していた絵本が届きました。今回は、大好きな絵本作家の一人、あまんきみこさんの絵本です。あまんきみこさんの本は、す~っと心の奥底の方から絵本の中に吸い込まれていき、読み終わった後、しばらくその世界から抜け出せなくなります。今回の本もやはりそうでした。 帰ってこないお母さんを待っている、こうさぎたちは夜空の月を見上げ、「あ、あんなとこにおかあちゃんが」「おもちついてるのかな。おだんごつくってるのかな。」とびっくり。実はおかあさんは、猟師に撃たれてすでに亡くなっているのです。でもこうさぎたちは、月を見上げて「おかあちゃん、おりといでよ。」「おなかすいたよう。」とよびはじめます。その、こうさぎたちの姿をふびんに思ったやまんばは、おだんごのつつみをそっと草の上において夢中で逃げ出します。恥ずかしがりやのやまんばが、だんごやの前を行ったりきたりしながら、やっと買ってきたおだんご。そのやまんばのすがたをみていて嬉しくなってついてきた、風の子。その風の子の風にのってやまんばに聞こえてきたのは、「おかあちゃんが月からおろしたんだ」「おかあちゃんは、ちゃあんとぼくたちを みてるんだねえ」と喜ぶこうさぎ達の声。そして、そんなこうさぎや、やまんばや、風の子の姿をみつめているお月さま・・・。そんな素敵なお話です。 そして、もうひとつ。これは、泣いてしまいました。 小さな町の小さな郵便局にたびたび届く、小さな子供が書いたらしい手紙。あて先がでたらめなので局長さんは困っていました。ところが、いつもは差出人が名前だけになっていたのに、ある日住所が書かれていたので、局長さんは、その差出人の住所先に行ってみることにします。そして、差出人の男の子に出会った局長さんが知ったのは、その子が出している手紙は、2か月前に亡くなったお母さん宛のもの。男の子は答えます。「お母さんは天の町にひっこしたんだよ」あて先に書かれている住所は、お父さんに教えてもらった、お母さんが今住んでいるという「やなぎ通り4丁目11番地」という住所。手紙の入った袋を握り締めている局長さんに嬉しそうに話す男の子。「お母ちゃんちはね、川のそばなんだ。屋根が青いんだよ。光っているんだよ。」そのあと、男の子と別れた局長さんは、自転車を降りゆっくりと歩きながら、幾百、幾千と輝く星を見上げます。そして「あああ、天の町、か。」とつぶやいたその時透き通った風がどうと吹いてきて・・・さらなる感動へお話は展開していきます。あまんきみこさんの、いつの間にか読んでいる自分自身が局長さんになって星空を見上げているような気持ちにさせていってしまう言葉、文章と、黒井健さんのやわらかい優しさ、愛情に満ちた絵とが、まさに一体となって、読み手の全身に深い感動を伝え、広げていきます。この絵本・・・たくさんの方に読んでほしいです。本当に読んでほしいです。