数学の教え方
新・学力への挑戦佐藤学先生という教育学の先生がいらっしゃいます。その先生が岩波ブックレットの中でご紹介なさっている仲本先生のご本です。習熟度別指導の何が問題かとにかく仲本先生の工夫の山に感嘆します。工夫の肝は「数学の本質を理解できる実験を身近なもので確かめる。」そこに味付けとして「びっくり」「ほぉー」といった仕掛けを絡めています。私も「本質を理解できる実験をふんだんに組み込む」ということがやりたいので、とても参考になりました。仲本先生はここでは明言されていませんが、「少人数・習熟度別」には多分反対のお立場だと思います。40人いるからこそ共有すれば大変な実験もできる。むしろ人数のスケールメリットを生かす教材が盛り込まれています。少人数・習熟度別については私も最近疑問を感じ始めています。少人数はいいんですよ。効果があると思います。私は究極の少人数であるマンツーマン指導が大好きです。生徒さん一人ひとりの良さが良く見える。そこに習熟度別を絡めると厄介になる。上位層には変な優越感が生まれて、しかも勉強するとは限らない。これから頑張れ層はもっと弊害が大きくて、無力感と烙印を押された感覚とで、潜在的に能力がある子供がほんの数回の不振で長期間伸び悩みます。もっといえば下がることもある。少人数+学力ランダムで適宜班別学習を盛り込む。子供同士の教えあいを勧める。これがいいですね。何とか実践したい。だってね。実社会は確かに競争社会だけど。競争するのは別のチームとの間であって、仲間内は色々な能力の人が補完的に助け合って、全体のパフォーマンスをあげないといけない。一人だけ突出して、しかも仲間の足を引っ張ったら何にもならないの。そこが理解できずに会社社会に適応できない偏差値秀才はたまにいる。