認知の問題を情緒によって解決する
認知の問題を情緒によって解決する 認知的な問題と思われることも、情緒的に解決した方が良い場合があります。 例えば、「ゴミが落ち着ていた拾ってゴミ箱に捨てる」といった課題が良く分からない子がいたとします。そんな子には、ゴミがあることに気づかせ、さらにゴミ箱に入れるように教えることになります。普通であれば簡単に理解し、習得できる課題です。 しかし、狭い範囲に注意を集中させてしまって、例えば、ゴミを見たらゴミしか意識せず、ゴミ箱まで考えられない子の場合には、当然のことながら、ゴミしか意識しないわけですから、ゴミとゴミ箱をつなげて考えることは出来ないことになります。何回も「ゴミはゴミ箱へ」を教えていると、次第に「ゴミと言えばゴミ箱」という形で、ワンセットとして覚えられるようになります。 しかし、これは、ゴミとゴミ箱という異なる2つのもの結びつける力がついてきたというよりは、「ゴミとゴミ箱」というように1つのこととして意識しているだけで、ゴミしか考えられなかった時と頭の使い方は変わらないことになります。ですから、「雑巾でテーブルをふく」ということも、同じように何回も教えることで、雑巾とテーブルを一体化して覚えさせるしかないことになります。 大切なことは注意の幅を広げて、ゴミとゴミ箱という異なるものを同時に考えられるようにすることです。そうすると、雑巾とテーブルという2つのものも結びつけて考えられるようになり、すぐに学習できるようになります。 このような注意の幅を広げるといった認知的な問題は、教え込むという働きかけよりは、喜ばせてはリラックスさせるという働きかけによって、ゆったりできるようにして解決した方がよいと言えます。 情緒的な働きかけによって、リラックスできるようになれば、いろいろなことを同時に見られるようになり、いろいろなことを結びつけて考えられるようになるのです。いちいち教えなくても、子どもの方から気づいてくれるようになります。 ですから、認知的な問題のように見えても情緒的に解決することが大切になります。