暗い性格(7)
暗い性格(7) 手応えの大切さ 物事を暗く考えてしまう子の場合、まず生きる意味を感じることが大切になります。生きる意味を感じるとは、何か手応えを感じるということです。自分のすること言うことに何らかの効果があると感じることです。何かやっても、反応がなかったり、否定的な反応しか返ってこなければ、やはり自分のやることに意味があると感じられません。生きている意味も感じられなくなってしまいます。ですから、何らかの反応を得ることが大切です。 何かするときに、周りの世界が動く、反応するという感覚を持つことで、もっと何かしてみようかという気持ちになります。例えば、棒で太鼓を叩くとします。太鼓がドーンと鳴る。すると、叩いた甲斐があったと感じます。太鼓で言うならば、ドーンという音が手応えとなります。手応えがあると、もっと叩こうという気持ちになります。そのうち、ドンドコドンドコと叩くようになりますが、次第に太鼓の音だけでは、満足できなくなります。人の反応を望むようになるのです。ドンドコ叩く時に、人が「すごいね」と反応すると、それがまた手応えになります。そして、さらに叩き続けようという気持ちになります。 太鼓なんか嫌だなどと、太鼓に対してネガティブな気持ちを持っていても、自由に叩けてしかも音が返ってくると叩き甲斐を感じて、もっと叩こうという気持ちになってきます。ですから、子どものやることに応じて反応を返してあげることが大切です。そして、さっき述べましたが、子どもの満足できる手応えのレベルがあります。 例えば、太鼓で言えば、音が出るだけで十分なレベルや人の反応が返ってくるのがよいレベル、さらに、いい叩き方ができていい音が出ることで満足するレベルというのがあります。 物事を否定的にとらえる子どもにとっては、否定の表現が受け入れられることが重要になります。否定的な感情がある以上、その感情を表現したくなりますし、表現する以上、それに対する反応があった方がいいわけです。例えば、「嫌だな」と言っても、「嫌なんだね。その気持ちは分かるよ」といった反応があることで、手応えを感じることができます。しかし中には、「お前には分からないだろう」と言って腹を立てるでしょう。そこまで行くと、暗い性格と言うよりは、反抗的な性格ということになるでしょう。とりあえず、「お前には分からないだろう」と言ってきたら、「自分の気持ちが簡単に人に分かってたまるか、という気持ちになるよね」と受け止めます。 単に受け入れるだけでなく、賞賛した方がいい場合もあります。例えば「嫌だな」という言葉に対して「よく言えたね。たいしたものだ」と誉めるのです。なかなか言いにくいことをよく言えたと評価するわけです。このような賞賛に対しても、「思っていないことを言う」と反発する場合があります。そんな時にも、「そう感じるのだね」と受けてあげるといいでしょう。 ともあれ、始めは気持ちを受けとめていることを伝えることが大切です。子どもは自分の言うことが伝わっていると感じるようになると、次第に気持ちを言いやすくなり、表現をエスカレートさせていくことになります。