情緒が変われば、考え方も変わる
情緒が変われば、考え方も変わる 何かに対する不安がどんどん大きくなるということは、根底に安心感不足があると考えられます。物事を肯定的にとらえれば、不安はなくなると言われていますが、認知的な対処だけでは不安は解決しません。 例えば、「サボテンのトゲに刺さらないから安心だ」と思い込んでも、根底に安心感が不足していれば、そう考えても安心感が発生しないために、感情の支えがない空疎な信念になってしまいます。 逆に、安心感の不足は、不安感を生み出しますから、「サボテンのトゲに刺さらないから安心だ」と思い込んでも、「でも刺さると嫌だな」と考えて不安になってしまいます。むしろ、不安があるから、つい考えてしまうということになります。つまり、感情が先にあって、否定的に考えてしまうという傾向が作られるのです。 不安がそれほど強くなければ、考え方を変えることによって、気持ちも変えることができます。このように考え方を変えることで気持ちを変えることができたという人がいたとしても、不安の強い人には、役立ちません。考え方を変えても感情は変わらないからです。むしろ「考え方をポジティブにしても、気持ちは変わらない」という焦りから、不安がよけい増すこともあるわけです。 ですから、今持っている不安感は、考え方を変えることで良くなるレベルなのか、考え方を変えても変わらないレベルなのかをきちんと見極める必要があります。感情が強い場合は、感情を直接変えることを考えないといけません。つまり安心感を増やすようにしなければいけないのです。 安心感の元は、リラックスした喜びです。リラックスするためにはその前に緊張がなければなりません。例えば、算数の問題を解くために努力するとか、山に登るために頑張るとかです。その努力・緊張の後で問題が解けたり頂上にたどり着くなどして「ホッとして喜べば」、それが安心感を増やすことにつながります。 そのような「緊張+リラックスした喜び」の経験を繰り返せば、安心感が増えていきますから、ポジティブに考えろと言われなくても、ポジティブに考えられるようになっていきます。例え、条件反射的(無意識的)に否定的に考える傾向のある人でも、心の中に安心感が増えてくれば、否定的に考えてもそれほど不安を感じなくなり、むしろ肯定的に物事を考えられるようになっていきます。 認知で解決しない問題も情緒によって解決することができるのです。