「くもをさがす・西 加奈子 著」を読みました
西 加奈子さんのノンフィクション「くもをさがす」を読みました。【作品紹介】【カナダでがんになった。あなたに、これを読んでほしいと思った。これは、たったひとりの「あなた」への物語。祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション。『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8ヶ月間を 克明に描いたノンフィクション作品。カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人達への溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間。切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた誰もが心を揺さぶられる傑作です。】2023年4月30日 初版発行のこの本を知ったのはNHK「あさイチ」でした。プレミアムトークに出演された西加奈子さんの言葉は、強い印象で残っています。乳房を切除しても 切除と同時に再建ができる。左の乳房を切除している看護師に聞かれて 西さんは「再建せんとく。でも乳首を残すかは迷ってる」と答える。「乳首?なんで?」と看護師。「将来再建したくなった時のために 乳首だけ残す方法もあるって」すると看護師の彼女は こう言う。「乳首って、いる?」いや~、西さんが話すと、西さんが書くと そうよねぇ~と吹き出しながら納得してしまう。しかもカナダ人の言葉は 全部関西弁で書いてあるのでこちらもまるっと受け止められる。驚いたのは 両乳房全摘手術なのに日帰り開始予定時間は12時、退院予定時間は15時15分!手術から退院まで約3時間って、しかもカナダで。私なら 不安過ぎて泣く西さんの、自分の心を労わり、自分の体に感謝する姿。ご本人は「闘病、という言葉を使うのをやめていた。これはあくまで治療だ。たまたま生まれて、生きようとしているがんが、私の右胸にある。それが事実で、それだけだ」なんてカッコイイ人なのだろう。「私は私だ。『見え』は関係がない。自分が、自分自身がどう思うかが大切なのだ。私は、私だ。私は女性で、そして最高だ」がんのことばかりではなく、カナダ先住民族の悲惨な歴史や名古屋出入国在留管理局に収容されていたウィシュマさんのことも書かれています。この本を読みたくて 静岡の友達に借りましたがその頃私の娘は、自分が乳がんではないかと疑って検査を受けていたので 結果がわかって安心するまでは読むことができませんでした。西加奈子さんは44歳の時に乳がんを発症。(2年前です)娘も44歳です。 会社から指定された検診センターで健康診断を受け、これまでもきちんと検診をしていた娘に 再検査通知が届きました。今まで受診していた病院でマンモグラフィーを受けると、5ミリくらいのものがあるけど 今の段階では小さすぎてわからないから 半年後に来てと言われ、せっかく見つけて貰ったのに 半年後まで自分の胸で育てるなんて待ってられないからと 友人が教えてくれた評判のいい外科へ。エコーと生検をしました。生検は「結果が分かりやすい太い針で!」と頼んだそうです(^-^;で、落武者みたいな、マンガみたいな絆創膏を貼られた、と電話してきましたそこでも まだどうこう言う段階じゃないし半年後と言われ医療センターを紹介して貰いました。私の娘、中3の受験生はいるし、来年大学受験の長男はいるし入院したり 会社を休んだり いろんなことが頭の中を駆け巡ったのだと思います。私は、娘じゃなくて 私なら良かったのにと思っていました。娘はまだこれから先 何十年も未来があります。私に「運」があるのなら 私の運も娘にあげたい。そして医療センターでMRIの結果、良性でしたがんと言われたら貰える保険金で 何を買おうかなとか思っていたらしくて 拍子抜けした顔でした最初からMRIをすれば良かったんじゃないの(^-^;?でもまさか、こんなに結果が出ないとは思わないですよね。そんなわけで、私は「くもをさがす」を読んだのは娘の結果が出てからでした。いろんな思いを抱えて読んだ「くもをさがす」。しなやかでまっすぐな西さんの、愛に溢れたノンフィクションです。