出生前に超音波検査を繰り返し実施しても小児の発達は妨げられない
いままで、妊娠中の超音波は赤ちゃんには悪影響はないと思ってはいましたが、このような論文がでてほっとしました。Lancetという雑誌に「ランダム化試験における8年間の追跡調査により、小児の発達に悪影響がないことが証明」という論文がのりました。・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆●妊娠18週-38週の間に超音波画像およびドップラー法による臍動脈血流速度波形の検査を5回実施する群(多回検査群、n=1,490)、●妊娠18週時点で超音波画像検査を1回実施する群(通常検査群、n=1,477)に無作為に割り付けて調査しています。1歳、2歳、3歳、5歳、8歳の時点において、出生時に先天性異常のなかった小児と単胎児を評価し、多回検査群1,362例および通常検査群1,352例が対象となった。追跡調査率は1歳時85%(2,714例中2,310例)、8歳時75%(2,714例中2,042例)であった。1歳時およびそれ以降において、身体サイズの計測値は両群でほぼ同じであった。また、小児期の発語、言語、行動および神経学的発達に関する標準検査では、どの年齢においても有意な悪影響はみられなかった。「妊娠18週以降に出生前超音波検査を繰り返し実施することで、胎児の発育に小規模の影響が及ぶ可能性があるが、その後の小児期には成長が認められ、発達の転帰に関する測定値は、出生前に超音波スキャンを1回しか受けなかった小児とほぼ同じである」と著者らは記している。「今回の試験結果では超音波検査に関する再保証が得られたが、出生前超音波スキャンによる生体への潜在的影響について、さらに研究を実施する必要性が弱まるわけではない。本分野の研究は今後も継続すべきである。また、これらの研究では、最新のパルス・カラードップラー装置を用いたランダム化比較対照試験を実施し、今日の診療で超音波検査が実施される在胎齢の全範囲において検討する必要がある」・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・◆・・胎児の発育に小規模な影響が及ぶ可能性があるなら、不必要な検査はやっぱり極力避けるべきということを覚えておきたいと思います。