会陰切開
会陰切開について質問を受けました。いろんな切方があるのですか?必ず切りますか?切れることは多いですか?などなどいろんなことが心配になるようです。会陰切開で検索すると6万件ほどヒットします。それほど大きな関心ではないようですが、患者様によっては非常に気になるテーマらしい。まず医学的なデーターを検索してみました。会陰切開の方法日本産婦人科学会誌より分娩時の第3~4度会陰裂傷を引き起こす要因とその後の臨床的排便・排尿機能に及ぼす影響について【抄録】分娩時の第3~4度のような重篤な会陰裂傷は,排便・排尿機能にさまざまな影響を及ぼすと考えられる。今回,第1~2度,および第3~4度の会陰裂傷を引き起こす産科的リスク要因について検討するとともに,出産後5年以内の臨床的排便・排尿機能に及ぼす影響について検討した。産科的リスク要因についてみると,第1~2度裂傷群に比較して第3~4度裂傷群では,会陰切開,吸引分娩,クリステレル胎児圧出法に加えて,児体重,児身長,児頭周囲径,児肩甲周囲径との間に有意差が認められた。出産後の排便機能の変化をみると,便失禁の発症頻度は分娩1ヵ月後第1~2度裂傷群の9%に比較して,第3~4度裂傷群では22%と有意に高く,その後にも約22%に便失禁症状が持続していた。脱肛の頻度は第1~2度裂傷群において有意に高かった。排尿機能の変化をみると,分娩1ヵ月後尿失禁の発症は第1~2度裂傷群の21%に比較して第3~4度裂傷群では42%と,2倍以上の発症が認められ,その後は両群ともに約20%に症状が遺残していた。以上のことから,第3~4度の会陰裂傷は,その後に便失禁のみならず尿失禁を高率に引き起こしており,出産時の第3~4度会陰裂傷の予防,ならびに出産後のフォローの重要性が示唆された。分娩時の会陰損傷による後遺症の経過に関する研究【抄録】分娩時に, 第2度会陰裂傷となった褥婦と, 会陰切開術を受けた褥婦の産褥2ヵ月目までの後遺症の経過と2群の経過の差の有無を明らかにするため, 初産婦137名〔有効回答102名:74.5%, 第1度裂傷群36名(結果をより明らかにするためのコントロール群として採用), 第2度裂傷群29名, 切開群37名〕を対象に自記式質問紙を用いて縦断的調査を行った。その結果, 各調査時点(産褥早期, 産後1, 2ヵ月)での2群間の後遺症に差はみられなかった。産褥2ヵ月までの経過は各群共通であり, 生活動作の支障や尿意の低下および排尿困難は, 産褥1ヵ月目にはほぼ解消し, 排泄時の痛みや違和感は, 産褥2ヵ月間で徐々に軽減していくことや妊娠中からの尿失禁や会陰の痛み違和感が持続する不安感は, 産褥2ヵ月間では解消しないといった結果を得た。また, 産褥2ヵ月目において, 性交時の痛みや違和感がないとする者は, 30~40%であった。これらのことから, 分娩時の損傷が筋層までである場合, その発生が人為的か自然であるかにかかわらず, 産褥2ヵ月までの長期的な経過は同様であることが明らかとなった。高度会陰裂傷発生に対するリスク因子の検討妊娠時期による、妊娠・出産のイメージの変化健康女性における尿失禁発症の実態とリスク要因について