占い師の言葉のおはなし。
きのうと今日はこうして夜ふけてからブログ日記を書いている。なんでだろうね?いつもは朝書くのだけど。ひるまの暑さの影響もありそうな気配です。暑いとどうも言葉が眠ります。きっと夜ふけて書く言葉たちと朝書く言葉たちはニュアンスなんかが微妙に違ったりするのだろうと思ったりもしています。☆けさたまたま目にした日経朝刊のわたしの履歴書の見出しに目がとまり思わずそれを読みました。見出しの言葉は「占師が「文学はよせ」と」。書いている人は小田島雄志という人。わたしはこの方のことはぜんぜん知らなかったのだけど書いてある文章を読むうちにすばらしい言葉力だわたしの脳内構造や言語能力の栄養豊富なこやしになってくれる文章だと直感しました。それでネットで調べて生年月日からチャートを出したらみごとにわたしの水星に大きな天体とかがトラインとセクスタイルをかけていました。やったぁ!この方はシェークスピアの翻訳家の方で従来「生きるべきか、死ぬべきか」と訳されてきた『ハムレット』の有名な台詞「To be, or not to be」 を「このままでいいのか、いけないのか」と訳したことも知られる方でもあるとのこと。それにしてもおもしろいユーモアのある文章を書かれる方です。その占い師の予言の内容もチャートで検証しましたがわたし的にはふむふむという感じでしたかなぁ。その日経の文章をとても興味深いので一部引用してみます。☆ 昭和23年(1948年)12月、ぼくは福岡県庁前をふらふらと歩いていた。ふつうは息子が文学をやりたいと言えば父親は叱り付けるものだが、ぼくの場合父がすすめてくれたのである。だが臆病なぼくは踏み切れずに迷っていた。すると突然、天満宮の立て看板が見えた、というより、両目をつかんで引き寄せた。「九州一高島易断の大先生来たる」。ぼくは空前にしてたぶん絶後のチャンスをつかむ気になった。 社務所の奥まった一室で、高島聖道師はぼくの年齢、名前、手相などを見て、おもむろに口を開いた。主な点をまとめてみると-- 1.あなたは80歳以上まで生きるだろう。(そのときのぼくはもうすぐ18歳)。 2.職業は判事、弁護士など人の役に立つ仕事がいい。文学は趣味としてやればいい。 3.経済的には心配ない。中年以降は安定している。 4.結婚は25か7のとき良縁に恵まれる。妻となるのはおとなしい人より社交的な人があなたには必要だ。 5.環境を変えるには今冬から来春にかけて、方角は東北がいい。京都より東京がいい。 ぼくは東大文1から法学部を目指そう、と決意した。サラリーマンか弁護士かはあとで決めようと。そして、お礼はいかほど、と聞くと、聖道師の眼鏡の奥の目が閃光を放った。「300円いただきます」。え?見抜いたな!ぼくは月初めにもらった1ヵ月分の小遣い300円をまるまるとられて、無性に腹が立った。帰りの電車賃も無く30分の道を歩きながら「チクショー!文学をやってやる!」と胸中でどなっていた。 あとで思い出してみると、2.は別にして1.3.4.5.とみんな当たっていた。4.も、27歳で結婚し、妻は9人兄弟の末っ子でおおぜいで楽しむのが大好きであり、おかげで人見知りのぼくも友だちづきあいができるようになった。もしかしたら聖導師は、ぼくのあまのじゃくな性分まで見抜いて、文学を職業にするなと言えばやる気になる、と見たのかもしれない(まさか)。