大松の追憶
なぜなぜ星人さんがクスノキの思い出を話してくれないので、一足お先に私が昔の思い出話を書きます。人には誰しも子供のころに思い出に残る樹があるもの。私の場合は大松でした。私の実家は知多市岡田というところ、家の近くに天然記念物の大松がありました。これです。清田のオオクスに優るとも劣らない大木でした。少し小高くなった台地に生えており、周りにはメダケが生えていました。メダケの間の小径を登っていくと、根元は大人が6~7人がかりでようやく囲えるほどの大きさでした。1ヶ所大きな洞があり、昔そこに住んでいた猿が樹から落ちて死んだというので、横に猿塚が作ってありました。これは、私の子供のころ、大きい子たちが並んで立っているところは地上から3mはあります。小さい子にはなかなか登ることができないもので、ここに登って立つことが子供たちの間では一種のステータスになっていました。私は実は高所恐怖症だったのです。ここへ登ることができないうちに、昭和34年伊勢湾台風の後、大松は枯れてしまったのです。友達がみんな登ったのに私だけ登れなかったというトラウマが残ってしまったのでした。この2枚の写真は、今年できた岡田村誕生四百年記念写真集に載ったものを拝借しました。泣きそうな顔でよじ登っているのは私ではありません。そこまでも行けなかったのです。今年、女房と行った広島市の森林公園、吊り橋がありました。女房はすたすたと渡っていきました。「あなた何してるの、早くいらっしゃいよ。」「そんなこと言ったって怖いんだもーん。」高所恐怖症は治りませんね。