「タコ」のモーリタニアで石油の商業生産開始
心地よい陽気に誘われて週末ジョギングをしたのですが、ハルマッタン(サハラ砂漠からの季節風。細かい砂を運ぶ)にのどをやられて、すっかりハスキーな声になってしまった。 さて、今日はタコと石油の話。タコと言えば明石ですが、その明石で「タコ検定」なるものが実施されたと最近のニュースで読みましたが、日本はかなりの量を輸入しているのです。もともとはモロッコからの輸入が多かったのですが、乱獲にたたられて生産量が激減。16年度の統計を見ると、セネガルの上にあるモーリタニアがなんと一位になっていました。食品については原産地の表示が義務付けられていますので、今度タコを買うときによく見てください。「モーリタニア」産の可能性があります。 そのモーリタニア。人口300万人に満たない小国ですが、国土は広い(ほとんど砂漠)。人口密度で言うとモンゴル、オーストラリアと肩を並べ世界最粗です(一平方キロメートルあたり2人)。産業と言えば水産業(多くのモーリタニア人は魚を食べないのでもっぱら輸出)と鉄鉱石が半分をしめる砂漠の貧困国なのですが、この2月24日から石油の商業生産が開始されました。 オフショアーの「シンゲッティ」(モーリタニアの内陸に同じ名前の世界遺産があるので混同しないでください)鉱区から生産される石油は一日最大75,000バレルと推測されており、政府は年間約250億円の石油収入を見込んでいます。予測経済成長率は約20%。90年代末に石油生産が始まった赤道ギニアでは統計上、経済成長率が70%という年がありましたが、人口が少ないので同じようなことが起きます。Woodside社(豪州)等の会社が投資しており、しばらく石油景気に沸くのではないかと思います。 アフリカには石油生産国がたくさんあります。米、中などもその石油資源の確保のために積極的な外交を行っている面があるわけですが、残念ながら、石油生産による富が貧しい人に分配されないで、一部の人間の懐を潤しているだけなのがアフリカの現状です。 モーリタニアでも国際社会が注視しているのは石油収入の透明性確保です。政府は石油収入を特別勘定に入れてきちんと管理すると言っていますが、さてどうなることでしょう。 週末は知り合いからいただいたタコを刺身、タコめし、キムチタコにして食べ幸せな気持ちになりましたが、石油がモーリタニアの人々を幸せにしてくれるよう国際社会が見守っていく必要があります。